●サキサキ先生の簡単パソコン活用講座・次々現れる歩行支援システム

第21回 2021年 5月

 スマートフォンを活用した視覚障害者の外出・歩行を支援するシステムが、次々に開発されています。特に警視庁が導入した歩行者用信号の状態をアナウンスする「信GO!(しんごー)」や、東京メトロが導入した「shikAI(しかい)」は大手であり、実用化が始まった点でも影響が大きいと言えます。 
しかし、本当に視覚障害者にとって安全で便利なのか?充分に当事者の意見が反映されているのか?など、私たちはその動向に関心を持って注視していきたいと思います。
 今回は、注目されるシステムについてご紹介します。いずれもスマートフォン使用が前提なので頑張りましょう。

●信GO!(しんごー)
 URL) https://www.signal.co.jp/spdf/9_20200424_pics.pdf

 「信GO!」は、高度化PICS機器が設置された交差点で、交差点の名称や歩行者用信号の情報を、○○方向が青です。などと音声や振動で教えてくれるスマートフォン用のアプリです。宮城県と静岡県で導入が始まっています。

●視覚障がい者向け駅構内ナビゲーションシステム「shikAI(しかい)」
 URL) https://www.tokyometro.jp/news/2021/209156.html

 東京メトロが1月より駅構内の点字ブロックにQRコードを設置し、iPhoneのカメラで読み取ることにより、目的地までの経路を案内するシステムを5駅で実施し、順次拡大すると発表しました。専用のアプリ「shikAI」はAppStoreから無料で入手できます。
  YouTube:https://www.youtube.com/watch?v=XHzWqhNbCaM

●コード化点字ブロック
 URL) https://www.u-presscenter.jp/article/post-45114.html

 金沢工業大学が開発した「Walk&Mobile -コード化点字ブロック認識アプリ」は、点字ブロックに着けられたコードをスマートフォンのカメラで読み取って、視覚障害者への案内を行います。また、地域情報や店舗情報、災害時の避難情報なども提供することで、一般の人の使用も想定しているとのことです。1月からアプリが公開され利用が開始されています。金沢へお出かけの際はぜひご利用ください。

●音声ナビ・アプリ「ナビレコ」
 URL) https://www.amedia.co.jp/product/smartphone/app/navirec/index.html

アメディアが開発したスマートフォンを利用する独自の音声ナビゲーションアプリです。公開されている地図情報を読み上げるのではなく、ユーザーや支援者が独自に経路情報を録音し専用ページ「ナビ広場」に登録することで、利用者全員で共有するというユニークな取り組みです。4月現在約1200の音声ナビ情報が登録されています。自分のよく利用する経路を支援者に録音してもらうことで、一人でもより安全に歩行できるようになる可能性があります。

●ナビレンズ
 URL) https://www.navilens.com/
 URL) https://mirukufu.com/2020/06/05/navilens/

 ナビレンズはQRコードに似たカラーの2次元コードです。スマホに専用アプリを入れてカメラでスキャンします。A4の大きなものは15メートル離れたところからも認識でき、内容だけでなく方向や距離も知らせてくれるそうです。日本ではこれからですが、欧米では拡がりつつあるようです。

●視覚障がい者向け歩行ナビゲーションシステム「あしらせ」
 URL) https://qzss.go.jp/usage/userreport/ashirase_200225.html

 「あしらせ」は、位置情報衛星「みちびき」からの情報を利用して視覚障害者の外出をサポートするツールです。ユニークなのは、インソール型のデバイスを通して振動で足に情報を伝えるところです。これにより聴覚情報を妨げることなく情報伝達できるといいます。来年中旬には発売を予定しているそうです。

スマートフォンを利用することで、専用機を開発するよりもずっと安価にシステムが開発できていると感じます。一方スマートフォンの操作は両手を使わなければならないことが多く、白杖やハーネスを持つ視覚障害者にとって不便なところもあります。歩行中の操作は厳禁なので、そのための工夫も必要でしょう。また、音声でのガイドは細かくなるほど邪魔にもなるということがあります。開発者さんのアイデアと技術力に期待しましょう。