●JRPS神奈川会報WEB版

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JRPS神奈川会報第109号

(表紙)
1971年 8月 7日 第三種郵便物認可(毎月6回 1の日・6の日発行)
2023年 11月2日発行 SSKA増刊通巻  第11151号

SSKA
あぁるぴぃ kanagawa 第109号2023 Winter

「世界網膜の日in神奈川」壇上で挨拶する今村会長

私たち自身で
治療法の確立と
生活の質の向上を目指す

**この会報誌は「NHK歳末たすけあい」の配分金により作成しています。 **
JRPS神奈川

(表紙終わり)

■あぁるぴぃ神奈川 第109号 目次

◆巻頭言
 2 見えなくなっても好きなこと

◆JRPS神奈川の活動
 3 総合カレンダー
【開催予定】
 4 医療講演会のご案内
 5 働く世代イベントのご案内

  【ご報告】
 6 連載:世界網膜の日in神奈川開催 第5回
 8 世界網膜の日in神奈川を振り返って
10 横須賀・三浦地区交流会の報告
11 横浜市港南区難病講演会の報告

◆情報コーナー
12 特定医療費(指定難病)医療受給者証受給者数
14 サキサキ先生の簡単パソコン活用講座(31)
16 第六回ロービジョン・ブラインド川柳コンクール開催のお知らせ
20 ちょっと話してみませんか?(ピア相談のご案内)
21 読書の薦め

◆投稿コーナー
23 夏休みの宿題
33 みんなの川柳・俳句
36 ウッチャンの落書きストーリー

◆編集後記
43 JRPSかながわ丸<船長今村の航海日誌>

表紙の写真:「世界網膜の日in神奈川」壇上で挨拶する今村会長


■巻頭言■
見えなくなっても好きなこと

役員 阿部 直之

 私は野球が大好きです。小学生の時は少年野球チームに所属し、6年生の時は3番バッターで活躍しました。そして中学に進学し、迷わず野球部に入りましたが、そこで壁にぶち当たりました。
最上級生となって新チーム結成後の最初の試合で私はライトで出場しました。試合は夕暮れに差し掛かり、打球が私のところに飛んできました。ボールを見失い、無情にも私の前で跳ねました。ボールが見えないのは致命傷で、悔しさを押し殺して私はレギュラーをあきらめ、マネージャーに専念しました。
この時は単純に鳥目なんだなと思い、特に病院へは行きませんでしたが、時が過ぎ社会人となって会社の野球部(草野球みたいなもの)に入ってまた野球をはじめてしばらくたったある日、練習でボールが目に当たってしまい、翌日会社の診療所で診てもらったことで奇しくもRPであることがわかりました。
それからはもう野球をやることは叶わなくなりましたが、野球観戦に行くことで、野球を楽しむようになりました。

 ここ5年ほどでだいぶ目の症状も進行し、ボールもほとんど見えなくなってきて、打者の動きや打球音などでボールがどこに飛んだか推測しています。見えないと楽しむことはできないんじゃないかと思うかもしれませんが、野球観戦には応援するという楽しみ方もあります。
 私はよく母校の応援で高校野球を観戦しに行っています。高校野球の応援は夏の甲子園などテレビでやっているのをみなさんもみたことがあると思いますが、それは、一体感、臨場感、迫力などを感じることができます。高校野球ではよく試合の始まる前や7回の攻撃の時に校歌を歌うのですが、母校の吹奏楽部が奏でる校歌はいつ聴いても鳥肌が立つほど素晴らしく、感動を味あわせてくれています。
 病状の進行で今まで出来ていたことが段々出来なくなっていくのはとてもつらいことでマイナス思考に陥りがちですが、なんとか楽しむ方法を見つけて人生を前向きに過ごすことが大切ではないかなと思いますので、私も今後見えなくなってもいつまでも野球を好きでいられるよう、楽しむことを続けて人生を豊かに出来ればなと思っています。

■JRPS神奈川の活動 

■総合カレンダー

◆12月予定
12月10日(日) 医療講演会 13時30分〜 県民センター711室
          *詳細は本誌参照

2024年
◆1月予定
1月14日(日) ミニ集会  13時〜 県民センター710室
1月28日(日) 働く世代のイベント
          *詳細は本誌参照

◆2月予定
2月11日(日) ミニ集会  13時〜 県民センター710室
2月25日(日) 会報発送

◆3月予定
3月10日(日) ミニ集会  13時〜 県民センター708室

 予定は変更される可能性があります。最新情報はホームページをご確認いただくか、下記連絡先まで照会願います。
 JRPS神奈川事務局 **********(留守番電話)
            https://www.rp-k.com

●ミニ集会および会報発送作業の会場(かながわ県民センター:電話045−312−1121)は、横浜駅西口からヨドバシカメラのビルに向かって進み、その手前の横断歩道を渡ったら、右に曲がります。100メートル程進んで、高速道路の先の信号のある交差点の左角の建物です。点字ブロックが駅から敷設されています。

■医療講演会のご案内「ロービジョンケアと心」
〜ロービジョンの方の心理的、精神的ケア〜

役員 神田 信

 我々の疾患、網膜色素変性症。現在、様々なアプローチで研究が進むものの治療法が確立されていません。見えにくい目で上手に暮らしていくためにロービジョンケアは欠かせません。そして、特に心の持ち方はとても重要とされています。
 今回は、「ロービジョンケアと心」について椎野めぐみ先生(八景駅前眼科院長)に講演をしていただきます。
【椎野めぐみ先生略歴】
 浜松医科大学卒業
 横浜市立大学眼科入局
 済生会南部病院で研修医
 藤沢市民病院、三浦市立病院などを経て、横浜市立大学眼科助教
 藤沢湘南台病院眼科医長
 国際親善病院眼科部長
 みなと赤十字病院眼科部長
 現在、八景駅前眼科院長および横浜市立大学ロービジョン外来担当講師

【日時】2023年12月10日(日)14時から16時
 ・開場受付開始13時30分 (終了時刻は予定です)
【参加方法】会場にお越しいただく方法とオンライン参加の2つの方法があります。椎野先生には、会場にお越しいただき講演をしていただきます。
 ・会場:かながわ県民センター711号室
 ・オンライン:会議システムZoomで行います。
 ※会場参加総数を先着40名、同様にオンラインは90名とします。
【参加費】会員無料 非会員500円(ヘルパー等介助者無料)
【申込】事前申込制です。12月8日(金)までに下記の申込先へ件名を「医療講演会申込み」として、なるべくメールでお申込ください。

【申込先】
 ・メール:**********
 ・電話(神田携帯):**********
 (18時30分以降にお願い致します)
※2日経っても確認の返信がない場合は、恐れ入りますが再度ご連絡をお願いします。
【記入事項】
1. お名前
2.会員、非会員の種別(県外会員も無料ですが、その旨お知らせください)
3.会場参加かオンライン参加をお知らせください。
  (会場参加は参加人数をお知らせください)
【注意事項】
・オンライン参加に関して、当日のヘルプ対応は基本的にできません。
 不安のある方は、お申込み時にご相談ください。

**この講演会は『NHK歳末たすけあい』の配分金により開催します。**

■神奈川・東京・ユース合同企画
働く世代イベントのご案内(予告)

役員 伊藤つえみ 

 恒例となりました、働く世代イベントですが昨年度は神奈川がお店での交流会を企画し、ほとんどの方が二次会まで残ってくださり、楽しい会となりました。
 本年度は、ユース部会が担当で、昨年同様お店での交流会を企画中とのことです。以下内容をご確認いただき、まずはご予定の確保をいただけましたら幸いです。

【日時】1月28日(日) 11時〜15時の間で(開催時間未確定)
【場所】東京都または神奈川県内
【対象】働く世代患者・家族・支援会員(他県の方・求職中の方も大歓迎)
 お店・参加費・時間等、詳細が決まりましたら神奈川HPや神奈川メーリングリストにてご案内いたしますので、内容ご確認の上、ユース部会の申し込み先まで直接お申し込みください。どうぞお楽しみに!
 なお、神奈川メーリングリストに未登録の方で、登録ご希望の方は、役員又は裏表紙の事務局までご連絡ください。

■連載:世界網膜の日in神奈川2023開催 第5回

WRD実行委員会

 2023年9月24日の日曜日、神奈川県民ホールにて「世界網膜の日 in神奈川」を開催しました。今回は対面とYouTubeハイブリッドの併用で開催し、当日の来場者は250名、YouTube視聴者は850名と大盛況となりました。
 今回のテーマは「誰ひとり、取り残さない。切れ目のない支援の輪。」です。これは医療・行政・支援者間の連携を図り、患者をいかなる局面からもサポート出来るようにしたいという強い思いを表現したものです。昨年7月に専任組織「WRD実行委員会」を組成し、20数回のミーティングを重ね本会を迎えました。
 まず9月23日夜、懇親会を開催しました。全国からお越し頂いた参加者と和やかな会食を催し、演目としてJRPS神奈川会員による音楽演奏で華を添えました。
 そして9月24日当日です。午前のプログラムは先述の開催テーマに基づき、パネルディスカッションという新しい試みを行いました。本ディスカッションでは眼科医、行政/福祉担当者、各種訓練士の方々にご登壇頂き、今後の強固な連携に資する方策や既に実施している活動について議論を交わしました。 この企画に、各方面から高いご評価を頂きました事を付記させて頂きます。又、JRPS本部のHP(会員ページ)で映像をご覧になれますので、是非ご視聴下さい。
 昼食には横浜名物「崎陽軒のシウマイ弁当」を提供(予約された方対象)させて頂いたのち、午後は第27回JRPS研究助成授与式が行われました。授与式では長澤理事長によるご挨拶の後、再生医療・網膜シート移植・視機能評価といった最先端技術の研究をして下さっている3名の先生方への表彰と記念講演がありました(詳細は本部協会誌167号参照)。
 最後に、来年の開催地・大分県協会へ引継ぎ式を行い、閉幕致しました。当日は天候にも恵まれ、来場頂いた(ご視聴頂いた)お客様・会員の皆様にも、心に残る一日になったのではと思います。
 このようなイベントを開催出来たのも、お客様/会員の皆様を始め、スタッフ・ボランティア・登壇者の皆さまのご協力があったからです。本当に有難うございました。
 来年、大分県別府で開催される世界網膜の日でお会いしましょう!

写真1:懇親会の演奏
 23日懇親会での演奏写真
写真2:懇親会の演奏
 23日懇親会での演奏写真2
写真3:神奈川の今村会長から大分の渡辺会長へと旗が引き継がれました
 JRPSの旗が引き継がれた写真

■「世界網膜の日in神奈川」を振り返って

副会長・WRD実行委員長 伊藤 つえみ

 今から2年以上前、当時は副会長だった今村さんが、2023年度の世界網膜の日イベントは神奈川で立候補しませんか、と言われた時は、正直、何言っちゃってんの!と思いました。しかし、よく考えてみると、役員体制が充実していたことや、2009年にも開催経験があり、その時のノウハウを持っている役員・会員がいることから、非常に大変だろうという事は覚悟の上で賛同いたしました。
 昨年の初め頃から役員会でも話し合われ、現役員から6名と役員以外の会員2名を含め、8名で実行委員会を立ち上げました。
 昨年7月の初顔合わせの時に開催趣旨を確認し、それぞれの思いややりたいこと等、意見を出し合いました。最初は意見がバラバラでどうなることやら、と思いましたが、今でも後を絶たない情報難民がいて、苦労されている方を何とかしたいという思いは全員共通でした。その思いを表現したテーマ「誰ひとり、取り残さない。切れ目のない支援の輪。」が決まってからは、皆同じ方向を向くことができたと思います。
 その後は、月1〜2回のオンラインミーティングで進捗を管理し、パネリストや協力団体へのメールや足を運んでの挨拶や打ち合わせ、現地の下見も数回等々を経て、無事開催することができました。
 「連載・第5回」で報告の通り、大盛況だったわけですが、その影には、延べ約80名のボランティア、約30名の会員や支援者のご協力をいただいたお陰で開催できたと思っております。このように、我々を支えて下さる団体があります。いつもお手伝い下さる仲間がいます。治療法確立のために研究を続けて下さっている先生たちがいます。QOL向上のためにご尽力下さる支援者・団体がいます。今回の世界網膜の日イベントを通して、改めてそのことに気付かされました。
 その多くの方々のご恩に報いるよう、JRPS神奈川として、皆様により多くの情報を提供できるよう、また個人としては改善にはつながらなくても、状況を伝えることで社会の理解が進むと信じて活動して行きたいと思います。イベントに参加くださるだけでも、みんなの力になります。是非これからも一緒に活動して行きましょう。治療法確立のその日まで!

写真1;パネルディスカッションの様子  壇上の5名のパネリストの写真。
写真2:閉会の挨拶をする伊藤副会長
 来場者、開催に協力いただいた方々にお礼を述べる伊藤副会長。。

■横須賀・三浦地区交流会の報告

役員 内田 知 

 横須賀三浦地区患者交流会を、7月22日(土)に数年ぶりに催しました。
梅雨明け早々の30度を超える暑さの中、多くの患者さんが参加してくださいました。
 交流会の前半は、毎月催されているミニ集会と同様に参加者の自己紹介・近況報告などで進め、後半はRPの情報・横須賀市・三浦市に関係する福祉制度の情報案内と、参加者からのRPに関わる悩みなどを聞いて、患者としての経験からのアドバイスや意見交換をし合いました。
 その中で、長くJRPS神奈川の活動に参加してきた役員も想定していなかった悩みを抱えた参加者もおられました。質問者の悩みを解決する回答を導くことが出来なかった事柄もありましたが、同じ病気の患者として悩みを共有して、一緒に今できる解決策を考える交流会となりました。
 少しでも重い気持ちを軽くして帰宅してもらいたいと、後半を音楽鑑賞の時間としました。長く横須賀で慰問活動をされている「めんごの会」のグループによるギター演奏、そしてそして、どこの都道府県のJRPSにもできないであろうJRPS神奈川の現会長・今村さんによるピアノ演奏。
 短い時間でも、心にリラックスを・・・との思いで企画した演奏会でした。演奏会では、アンコールの声が上がる盛り上がりを見せて終わりました。

**この交流会は「NHK歳末たすけあい」の配分金により開催しました**

■横浜市港南区難病講演会の報告

役員 佐々木 裕二

 去る、10月4日(水)横浜市港南区役所で「難病講演会・網膜色素変性症」が開催されました。あいにくの小雨模様のお天気でしたが、34名の患者・ご家族が参加されました。
 講演会は、翁長ファミリー眼科の翁長正樹(おなが まさき)院長が、スライドを使ってとても詳しくこの病気の説明やロービジョンケアについて話されました。
 JRPS神奈川からは4名が参加し、今村会長がJRPSの目的や活動について紹介し、4グループに分かれての交流会で質問や相談に対応しました。診断されて間もない人の仕事に関する相談や、もう高齢でもあり見えなくなってしまっているがiPS細胞を使っての治療は可能性があるのか、など質問がでました。今後も行政と協力して患者さんのサポートに力を入れたいと考えています。
写真:JRPSの紹介をする今村会長
JRPSの紹介をする今村会長

■情報コーナー 

■特定医療費(指定難病)医療受給者証受給者数(網膜色素変性症)

会長 今村 伸也 

 2022年度(2023年3月31日時点)と前2年度を比較すると56人の減少。近年の傾向ですが、煩雑な手続きで未更新の方が多かったようです。

市区町村 2022年度 2021年度 2020年度
横浜市 605 620 666
 鶴見区 49 52 52
 神奈川区 30 32 36
 西区 12 13 15  
中区 16 19 22
 南区 27 33 34
 港南区 37 36 41
 保土ヶ谷区 28 25 29
 旭区 53 58 66
 磯子区 30 32 34
 金沢区 46 43 49
 港北区 51 48 50
 緑区 32 28 34
 青葉区 34 36 36
 都筑区 23 24 22
泉区 39 49 49
 栄区 21 20 23
戸塚区 49 44 43
 瀬谷区 28 28 31
川崎市 163 168 178
 川崎区 29 30 30
 幸区 28 28 26
 中原区 21 26 27
 高津区 16 18 20
 宮前区 30 29 32
 多摩区 21 19 23
 麻生区 18 18 20
相模原市 175 180 183
 中央区 76 75 75
 緑区 48 47 57
 南区 51 58 51
横須賀市 65 72 76
平塚市 37 39 49
鎌倉市 32 32 31
藤沢市 70 77 76
小田原市 38 39 42
茅ケ崎市 37 42 44
逗子市 12 10 14
三浦市 9 10 9
秦野市 37 39 37
厚木市 52 54 60
大和市 28 29 31
伊勢原市 20 20 21
海老名市 20 21 23
座間市 25 28 27
南足柄市 4 5 5
綾瀬市 7 7 11
三浦郡葉山町 5 5 3
高座郡寒川町 5 5 6
中郡大磯町 6 6 6
中郡二宮町 4 3 4
足柄上郡中井町 4 4 4
足柄上郡大井町 1 1 1
足柄上郡松田町 1 1 1
足柄上郡山北町 3 4 3
足柄上郡開成町 1 2 2
足柄下郡箱根町 2 1 2
足柄下郡真鶴町 0 0 1
足柄下郡湯河原町 6 6 6
愛甲郡愛川町 7 7 9
愛甲郡清川村 1 1 1
県合計 1482 1538 1632

■サキサキ先生の簡単パソコン活用講座(31)
 〜進化する遠隔サポートサービス〜

役員 佐々木 裕二 

 以前紹介したスマホのカメラを使った遠隔サポートが進化しています。
 その1つは「Be My Eyes」。AIモードが追加され、ボランティアを呼び出さなくても写真の情景を詳しくガイドしてくれるようになりました。もう一つは「アイコサポート」。有料サービスですが、契約した企業などで無料で利用できるフリーエリアの営業展開を始めています。

●Be My Eyes
https://www.bemyeyes.com/language/japanese
 スマホのカメラを通して、ボランティアが視覚情報を提供してくれるお馴染みのサービスですが、AIを利用して撮影した画像を詳しく案内してくれる「バーチャルアシスタント機能」が追加されました。
 今までも、画像を解析して情景を案内してくれるアプリはいくつかありましたが、この「Be My AI」の細かな説明にはちょっと驚かされます。以下は、ある部屋を写した結果です。初めての場所を訪れたときなど役に立ちそうです。
 「この写真は、居間の一部を示しています。左側には、青と白の模様があるソファがあり、その上にはリモコンが置かれています。ソファの上には、天井に取り付けられた緑色のカーテンが見えます。部屋の中央には、テレビが木製のキャビネットの上に置かれており、テレビの画面には人物が表示されています。テレビの周りには、植物、鏡、絵画などが飾られています。部屋には、さまざまな装飾品があり、居心地が良く、暖かい雰囲気が感じられます。」
と、かなり細かな説明をしてくれます。
 また、この画面には「更に質問する」と「ボランティアに通話する」のボタンがあり、追加の質問や、今まで通り人の目でのサポートを受けることも容易です。また、カメラロールに保存した写真も共有から Be My AI を選択することで説明を聞くことができます。
 次に紹介するアイコサポートはサービス提供時間が決まっているので、時間外にはBe My Eyesを利用する、という人もいるようです。

●アイコサポート(Eyeco Support)
 https://eyecosupport.prime-as.co.jp/
 こちらは月5500円の有料サービスですが、ボランティアではなく研修を受けた専門のオペレーターが、利用者の地図上の位置を確認しながら視覚情報を提供してくれるところが大きな違いです。
 新しい取り組みとして、フリーエリアサービスの展開を行っています。フリーエリアとはその名の通り無料で利用できるサービスで、商業施設や行政機関での利用を想定しているようです。
 9月末まで横浜ジョイナスの無印良品店で実証実験が行われましたので、私も体験してきました。以下感想をお伝えします。
 まず事前に、アイコサポートアプリを入れて無料会員登録を済ませました。そして、白杖と買い物かごで手が塞がってもスマホの映像を送れるようネックストラップを準備して出かけました。
 当日は、横浜駅改札まで担当者が迎えに来てくれたので、ずぼらな私は、点字ブロックを使うことなくお店まで誘導してもらいました。お店に着いてからアプリを起動し、スマホを首からぶら下げてワイヤレスマイクでオペレーターと会話しながら商品を探しました。
 事前に無印良品のHPで、芋けんぴが話題になっていることなど情報を仕入れていましたが、私はレトルトカレーを買うことにしていました。いつもスーパーでの買い物は家内の腕につかまって歩いているので、一人で白杖とイヤホンからの言葉だけで歩くのはとても新鮮で驚きの感覚でした。
 レトルトカレーの売り場に着くと「キーマカレーとバターチキンはありますか?」と聞きました。イヤホンからは「ゆっくり左を向いて、今度は下へ。」などと誘導され、「あっ、ありました。キーマカレーです。」と言われて手を伸ばし、更に誘導されてキーマカレーをゲットすることができました。
 いくつかの商品をかごに入れて、今度はレジを目指します。「ちょっと止まって、人がいます。」「有人レジはずっと奥なのでそのまま進んで下さい。そこを左へ」などと案内されてレジに到着しました。
 レジで会計しながら、お店の人に「白い杖を持った人はたくさん来ましたか?」と聞くと「はい、大勢来ていただいています。」とのお返事でした。
 何とか一人での買い物に成功はしましたが、課題もありました。それは、通信が途絶えてしまうことです。冷蔵庫の近くは電波が弱かったようで何度もつなぎ直す必要がありました。しかし、アイコサポートのオペレーターが代わっても、私が何を探していたのかちゃんと伝わっていて同じ事を説明する必要もなく、かえってシステムの良いところが見えました。
 フリーエリアサービスはまだ始まったばかりで数は少ないですが、利用できるところが増えれば、お出かけが楽しくなることは間違いありません。アイコサポートには是非営業を頑張ってもらいたいものです。

■このコーナーのバックナンバーをご覧いただけます。
 https://www.rp-k.com/pc/pc-kyoushitsu/katsuyokoza_mokuji.html
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■「第六回ロービジョン・ブラインド川柳コンクール」開催のお知らせ&
 メディカル・トレーナー部門作品紹介

役員 神田 信 

 JRPS神奈川では「みんなの川柳」「ロービジョン川柳」などで川柳を楽しませていただいていますが、私の勤務する会社で視覚障害の理解啓発を目的に開催している「ロービジョン・ブラインド川柳コンクール」にもこれまでにたくさんのご応募をいただき感謝しております。
 お蔭さまで今年も開催することになりました。視覚障害の日常生活や想いを川柳にしてご応募いただけますでしょうか。目の悪くない方も応募できますので、広く周りの方にもお勧めいただき盛り上げていただければと思います。未発表のものに限りますが、一度に5句まで、何度でも応募することができます。

【応募期間】2023年12月1日から2024年1月31日まで
 応募部門は以下の3つ。視覚障害に因んだ川柳をそれぞれの立場から募集いたします。
1.見えにくさを感じている方部門 視覚・色覚に障害のある当事者の方。
2.メディカル・トレーナー部門 医師・看護師・視能訓練士・歩行訓練士・その他訓練施設等の先生方。
3.サポーター部門 家族、友人、職場の方、誘導ガイド、ヘルパー、商品開発、販売者などの支援者または一般の方。

 ご応募は、「ブラインド川柳」で検索して「第六回ロービジョン・ブラインド川柳コンクール」特設ホームページの専用フォームからお願いします。
 URL:https://www.paris-miki.co.jp/lv-senryu/
最優秀賞と各賞、および入選作品は2024年3月下旬発表予定です。
問合せ先:ロービジョン・ブラインド川柳コンクール事務局
メール:lv-senryu@paris-miki.jp
※ホームページからの応募が難しい方はこちらの問合せ先へご連絡ください。
 今回も沢山のご応募をお待ちしております。
 さて、本誌でこれまで見えにくさを感じている方部門の作品を取り上げてきましたが、世界網膜の日では、「支援の輪」がテーマでしたので、それに因んでメディカル・トレーナー部門の作品を掲載させていただきます。

1.医療現場にて
◎ 術後にて 「美人ばかり」と 経過良し
紫菊様/看護師
作者解説:手術を終えて通院されている患者さんがスタッフを見て、以前より見えるようになったことを「美人がこんなにいたとは」と冗談混じりに言われ、そうでしょう経過は良好ですねと返した場面を詠みました。
◎ 一歩前 寄り添う勇気 持ちましょう
あやしい眼科医様/医師
作者解説:ロービジョンにあまり関わってこなかった眼科開業医としてロービジョンやブラインドの患者さんが受診しても戸惑うことが多いです。そんな時に、こんな気持ちを持ちたいと思って作った川柳です。
◎ 検査だけ ではなく日常 よりそって
こじま様/視能訓練士
作者解説:いつもおしゃれで素敵な患者さん。ふとみると靴の加工が激しく痛んでいた。覚えている服でコーデをしても劣化の判別は難しい。勇気を出してお伝えしたところとても喜ばれ、こんな話も出来る関係でよかったと思えた。
◎ ロービジョン 見える歓び 分かち合う
PD60様/視能訓練士
作者解説:ルーペや遮光眼鏡などの補装具の選定で、患者様が見えることを喜んでくれた時、私も患者様も嬉しい気持ちになる。
◎ 繋げたい 今日はダメでも また今度
わいわい様/看護師
作者解説:次に繋がる情報提供をしようとしても、聞き入れてくれない時があります。でも、諦めないでまた今度という気持ちで続けていきたいです。
◎ 久々の 再診笑顔 白杖と
わいわい様/看護師
作者解説:AP術後にロービジョン外来を経て、訓練施設に紹介した患者さんが久しぶりに受診された時のこと。素敵な笑顔と一緒に、要らないと言っていた白杖と歩いて来ました。本当に嬉しい瞬間です。
◎ 最新の 情報収集 外来で
ロー美女医様/医師
作者解説:最新のアプリや支援機器の情報は、ベテラン患者さんから教えていただいています。今やロービジョン外来では、こちらが情報提供してもらっている始末。当事者力に脱帽です。
◎ この仔もね ロービジョンにて 犬にがて
山々様/医師
作者解説:盲導犬を連れて患者さんが外来に。先生、この仔も目やにが出てるようなんだ、診てくれない?犬の苦手な私は、腰が引けて、人間しかわからないので、ではなく犬怖いんですと釈明。

2.訓練、患者会、趣味の現場から
◎ こえていく 心とスキルで 笑顔くる
石川佳子様/訓練施設講師
作者解説:点字が読めてもパソコンができても白杖がうまく使えてもそれだけじゃ笑顔は生まれない、心のケアが大事だと訓練の皆さんから教えられます。
◎ 本音出る 交流会で 患者知る
守本典子様/医師
作者解説:眼科の視覚リハ外来で患者さんの困り事を伺ってはいますが、交流会に参加していただくと更なる悩み(最も苦しく思っておられる気持ち)を吐露されることがあり、「なるほどそうか・・・」と深く考えさせられます。
◎ 見えずとも 触れればわかる 落ち着いて
袋小路実篤様/訓練施設講師
作者解説:見えない、見えにくいことでの不自由さはわかるのですが、残された感覚を利用すれば案外色々なことがわかるもの。「僕も全く見えませんが触ればわかりますよ落ち着いてよく触ってみて」と諭すことが多いので。
◎ ブラインド ヨガすると ブライトに
加茂純子様/医師
作者解説:閉じこもっていた方がヨガに参加すると、明るい笑顔が溢れてきます。

3.社会に訴えたい!
◎ 命がけ 道路横断 駅利用
ゴールド様/歩行訓練士
作者解説:視覚障害の方が外出することは、危険が伴います。特に道路の横断や駅の利用は、見える方からのサポート(声掛け)が欲しいです。
◎ 歩行訓練士 絶滅危惧種も 保護は無し
字あまり訓練士様/歩行訓練士
作者解説:地域によっては歩行訓練士の配置事業(視覚リハ事業)が消滅したり、欠員補充がなかったり。まさに絶滅危惧種。しかし希少生物と違って社会的保護はほとんどなく、いくつかの地域で絶滅寸前である。
◎ これでどう? 音響式の 信号機
守本典子様/医師
作者解説:音響式信号が近隣住民の騒音問題から夜間は止まったり設置されなかったりする実態を憂いています。歩く方向の指標にならずとも青がわかる音量調整で解決を図っていただきたいと思っています。

4.風物詩となりつつあるコンクール・・・(コンクール事務局より)
 6回目を開催することができ、少しずつ”季節の催し”のようになってきたのではと感じています。
 そんな中での一句『川柳で 一年間を 振り返り(わいわい様/看護師)』、自分のしてきたロービジョンケアやうれしかったことを思い出し、いろいろ考える大切な時間になっています、とのコメントとともに寄せられました。事務局として大変うれしく励みとなりました。
 以上、ご覧いただきました作品は、前回惜しくも選考に漏れた作品です。コンクールホームページでは、過去の入賞入選作品もご覧いただけます。今年度も、皆様からのご応募をお待ちしております。

■ちょっと話してみませんか?(ピア相談のご案内)

心理相談員 石井 史子・板嶌 憲次郎

 ピア相談とは、病気などの悩みを同じ境遇の人が話を聴き、お互い前を向いていきましょうというものです。
 同じ患者同士、共感し合えることは多々あるはずです。なかなか周りの人に理解してもらえず困っている…。そんな気持ちをちょっと話して心を軽くしてみませんか。
 形式として、電話でのご相談を基本とし、40〜50分程度を目安としてお話をお聞かせいただきます。ご相談の内容・個人情報については「守秘義務」を厳守いたしますのでご安心ください。

【申し込み方法】
お申し込み窓口は電話、ホームページのお問い合わせフォーム、代表メールの3つとなります。
●電話番号
   ********** (基本留守番電話状態)
●JRPS神奈川お問い合わせフォームURL
http://www.rp-k.com/postmail/postmail.html
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■読書の薦め

横須賀市 内田 知

●『女副署長』
●『女副署長 緊急配備』
●『女副署長 祭礼』
松嶋 智左(まつしま ちさ)著
 ノンキャリの女副署長の活躍を描いたシリーズ3作。
 1作目、台風上陸で地域住民の安全確保のため動き出した所轄内で警察官の死体が発見された。犯人は所内にいるのか?そして犯人は警察官なのか?台風上陸の混乱の中、主人公が操作を開始する。操作経験ゼロの主人公が、いくつもの謎をどう解いていくのか。刑事課長との対立シーンは面白い。
 2作目、1作目で起きた事件の責任をとらされ、凶悪事件が長年起きていない田舎の街の所轄に移動となった主人公。だが、彼女が赴任早々に殺人事件が起きる。刑事課はあって刑事もいる。しかし、彼らは殺人事件の操作経験はない。その上、父親の介護やシングルマザーなど様々な悩みを抱える警官たちがいた。だが、彼らは警察官である。名もなき警察官たちの活躍を期待して読まれたし。
 3作目、一人の幼女が祭りのさなか行方不明になるシーンから始まる。物語の中心は、この行方不明事件なんだと読み進める。だがそうではなかった。主人公が勤務する女性署長のスキャンダル、逃亡犯の操作。ビルからの不信な転落事故などなどいくつもの事件が緊迫のラストへ向かう。ラストシーンにこんな展開が描かれるなんて誰も思わないだろう。ラストの再生時間1時間に驚きの展開が待っている。

●『タクジョ!』
●『タクジョ! みんなのみち』
小野寺 史宜(おのでら ふみのり)著
 シリーズ1作目、女性客が安心してタクシーに乗れるよう、自分が運転手になると決めた女子の姿を描いた連作短編集。乗客とのやりとり・タクシー会社の先輩や同期とのやりとりなどなど。心和む話がいっぱい。
 2作目、1作目とは違い、同じ営業所で働くタクシードライバーたちの日々を描いた連作短編集。2作目では、コロナ騒動の中で仕事をするドライバーたちを描いている。女性ドライバー発掘のため働く事務職員。元航空会社社員のイケメンドライバーなどなど、面白さがいっぱい。お薦めは、強面で元やくざと噂されている老ドライバーの話。この老ドライバーの話は泣ける。

●『横須賀ブロークンアロー 上下』
山田 深夜(やまだ しんや)著
 横須賀を舞台に描かれた冒険活劇。主人公は、能天気な性格のバス整備士の若者男子。彼は、地下壕跡で、旧日本軍の戦闘機の破片を拾う。それがネットオークションで高値で落札されたことから、俄然お宝探しに興味を持つ。
 お宝探しに夢中になり、主人公は米軍・自衛隊の管理区域周辺をうろつく。そんな若者を、正体不明の連中が襲い始める。彼を襲う者たちとは?彼が知ってはならない国家機密とは?主人公を中心に登場するわき役たちもくせ者ぞろい。公安刑事・元自衛官のニューハーフ・横須賀やっこと言われる男たちと地元の長老的存在の老人。彼らのネットワークが主人公をいくつもの危機から救う。横須賀・三浦中を縦横無尽にかけめぐる、スリリングな冒険活劇!ラストはどう終わるのか読んで確かめられたし。
そして、朗読のうまさに驚かれよ。

■投稿コーナー 

■夏休みの宿題

役員 萩原 徹 

 今年の夏は忘れられない思い出ができました。
私の職場の同僚の子供さんから盲導犬や視覚障害について、自由研究として調べたいのでお話を聞きたいと、音声データで声のお手紙をいただきました。
 以下は学校に提出した自由研究の抜粋です。同じものを日本盲導犬協会の「盲導犬自由研究2023」にも応募し、見事最優秀賞を受賞されました。
 多様性がすでに備わっている少年の未来に期待しています。

●もっとみんなに知ってほしい! 盲導犬ってなに?
5年1組 和泉*****

 今年の2月に学校の「福祉体験」の授業で、初めて盲導犬と生活している女性の話を聞く機会がありました。その時ぼくは初めて盲導犬を見て、「見た目は普通の犬と同じなのに、どうしてこんなにおりこうなんだろう?」と思いました。
(中略)
 ぼくは、今まで町の中で盲導犬を連れている人に出会ったことがありません。実際に盲導犬を連れて歩くのは、どういう感じなのか知りたいと思い、思い切ってお母さんの職場の盲導犬ユーザーである萩原徹さんに「盲導犬との町での生活の様子を見せて欲しい」とお手紙を書いてみたところ(萩原さんは文字がよく見えないので、ぼくが手紙を朗読した音声ファイルもお渡ししました)萩原さんの相棒の盲導犬、ノビアちゃんとのフォローアップ訓練があるとのことで、訓練の様子や町の中を歩いたり電車に乗り降りする様子を見せてもらえることになりました!

2023年7月28日(金) フォローアップ訓練の様子
 この日は萩原さんの職場の近くの桜木町にあるランドマークプラザ1階からクイーンズスクエア横浜を通り、みなとみらい駅までの道を訓練士さんも一緒に歩きながら確認していました。
 ぼくが見学させてもらったのは訓練の途中からで、すでに何度かランドマークプラザからの道を往復していました。ぼくから見るとしっかり歩いているように見えたノビアちゃんでしたが、萩原さんが言うには、最後はノビアちゃんの集中力も切れてしまっていたとのことでした。そう言われてみるとキョロキョロとしている姿もありました。
 この日はとてもいいお天気で、最高気温が34℃となりとても暑い日で、建物の中は涼しくても通路はとても暑くて、ぼくでも一緒に歩いていてのども乾いたし、足も疲れたのでノビアちゃんはいろいろと気をつかいながら歩いている分、きっともっと疲れているだろうなと思いました。
 訓練の最後にノビアちゃんの水分補給のために、萩原さんは「だれでもトイレ」を使っていました。盲導犬はお店にも連れて入れるけれど、お店にいる間も水を飲む事もできないし、大変だなと思いました。
 ぼくはちょうど全く同じこの道を、夏休みに入ってすぐ遊びに出かける時に家族で通ったばかりでした。その時は何とも思わなかったけれど、萩原さんとノビアちゃんの後ろから歩いてみて気が付いたことが色々とありました。

*通路をまっすぐ進めない?!
 ランドマークプラザは中心に大きな吹き抜けがあり、季節ごとにイベントが開催されていたり、クリスマスのシーズンには大きなクリスマスツリーが飾られていたりとすてきなスペースとなっています。
 でも、この吹き抜け部分があることで通路が直線ではなくなり、目が見えにくい人にとっては歩きづらくなってしまっているように思いました。
 また、通路の中央に置いてあるフロアガイドも、ぼくたちにはとても見やすいけれど、目が見えにくい人にとっては障害物になっているかもしれないと気が付きました。
 ランドマークプラザは、通路をまっすぐに進むとちょうどエスカレーターに乗れるようになっていて、これもぼくたちにはとても便利な作りだけれど、目が見えにくい人にとってはもしかしたら危険なデザインなのかもしれないと思いました。
 一緒に歩いてみて、たくさんの人にとっては便利な工夫も、不便に感じるひとがいるかもしれないということに初めて気が付きました。「みんな」に使いやすい工夫は難しいなと感じました。

*盲導犬ってかわいい!
 ぼくが萩原さんとノビアちゃんの後ろから歩いていて一番感じたのは周りの人からの視線でした。
 みんな、ノビアちゃんにとても興味があって、子どもに盲導犬の事を伝えているお母さんもいたり、一緒に歩いている人にノビアちゃんのことを教えたり、「えらいね〜」「すごいね〜」と周りの人たちはみんなニコニコしていました。とても暖かい視線ばかりでしたが、それだけ注目されているなかで集中してお仕事をするのはきっとすごく大変なんだろうなと思いました。
(中略)

*盲導犬にできる事とできない事
 盲導犬は「角で止まる」「段差で止まる」「障害物をよける」という3つの基本的な動作を組み合わせて歩いています。盲導犬はカーナビのように目的地に連れて行ってくれるわけではなく、ユーザーが頭の中で目的地までの地図を描きながら盲導犬に指示を出しています。初めての場所や歩き慣れていない場所では周囲のサポートが必要だったり、障害物をよけているうちに進んでいた方向が分からなくなってしまうこともあります。
 盲導犬は信号の色はわかりません。ユーザーは周りの車の音や様子などから安全を確認し、わたってもよいかを判断しています。ハイブリッド車は音があまりしないので特に注意が必要です。また、盲導犬はエスカレーターに乗れますが、エスカレーターの向き(上り・下り)はわかりません。

*町で盲導犬を連れた人に会ったら…
 ぼくたちにできるお手伝い
・最初に誰でもできるお手伝いは「そっと温かく見守る」こと。盲導犬が集中できなくならないように後ろからそっと見守るのも大事なお手伝いになります。
・信号待ちをしている時は「赤ですよ」「青になりましたよ」と一声かけるだけでも安心につながります。

*まずは声をかけよう
・声をかけるのは盲導犬ではなくユーザーさんに!
・聞こえにくいこともあるのではずかしがらず大きな声で正面から声をかけるのがポイント!

*実際に一緒に街の中を歩いたり電車に乗ってみた
 ランドマークプラザからJR桜木町駅まで一緒に歩いて京浜東北線に乗りました。ランドマークプラザから桜木町駅までは「動く歩道」があります。普段の通勤では動く歩道は利用せずに、人通りの少ない裏側の道を使っているとのことでしたが、この日はまだ日中でとても暑かったので、少しでも涼しいように屋根があるこちらのコースを選択しました。ノビアちゃんはエスカレーターと同じように動く歩道もすいすいと乗ることができました。駅改札口では、幅が広くない普通の改札口も問題なく通れます。いつも通っている道だからか、もうすぐ家に帰れることが分かっているからか、フォローアップ訓練の時よりも楽しそうに歩いているのがノビアちゃんのしっぽから伝わってきました。駅構内のエスカレーターでは、萩原さんもノビアちゃんも慣れている場所のためか、みなとみらい駅でのエスカレーターよりもスムーズで、右側を人が通れるように左側に意識して寄っていることが分かりました。

*電車に乗るとき
 普段全然意識していなくて気づいていませんでしたが、最近の電車は、ドアのところに点字ブロックが付いています。足でホームとの間隔を確認しながらノビアちゃんと息を合わせて電車に乗り込みます。普段乗り慣れている電車だからか、想像していたより電車に乗るのはとてもスムーズでした。

*電車の中では
 座席が空いていなかったことと、次の駅で降りることもあり、ドアのそばに立ちました。ノビアちゃんはその場で伏せて待ちます。はじめはゆったりとしたスペースがありましたが、発車時間が近づくにつれてだんだんと人も増えてきて奥の方へ詰めなければいけなくなりました。それに合わせてノビアちゃんも移動しなくてはいけません。盲導犬のユーザーさんは周囲の状況が見えない中で移動するのは難しいだろうなと思いました。座席に座れたら安全だと思いますが、奥の方の席だと人が多いと降りるときに間に合わないかもしれません。一番はしの席は出入口からも近いので優先席になっていればいいのになと思いました。
 車内では、ノビアちゃんのフサフサのかわいいしっぽが踏まれてしまっては大変です。ノビアちゃんが伏せるときは萩原さんがそっとノビアちゃんのしっぽを胴体の下に入れてあげていました。
(中略)

*乗り換え
 横浜駅で降りて他のJR線に乗り換えます。いつもの通勤経路なのでノビアちゃんも自信をもって歩いているのがよく分かりました。エスカレーターの場所もちゃんと分かっているようで、階段は通り過ぎてエスカレーターがある奥の通路まで迷うことなく進んでいました。萩原さんが後から教えてくれたのですが、ノビアちゃんは階段よりもエスカレーターが好きなんだそうです。
 今回の自由研究に協力してくださった萩原さんの愛犬ノビアちゃんは、2019年に相鉄グループから贈呈された犬でもあります。相鉄グループでは2006年から社会貢献活動の一つとして盲導犬の育成や普及のために募金やチャリティ活動にも取り組んでいて、ノビアちゃんは相鉄グループが贈呈した12頭目の盲導犬です。
 今年の3月に東急線との相互乗り入れが始まり、ますます便利になった相鉄線。ぼくは相鉄線の取り組みについても調べてみました。
*ホームドアの設置状況
 2016年3月6日に横浜駅3番線に初めてホームドアが設置されましたが、次のホームドアが設置されたのが2021年1月16日の相模大塚駅となかなか設置工事が進みませんでした。ところが、現在は2027年度に大規模改修工事と合わせて設置予定の海老名駅を除く、西谷駅より西の全駅でホームドアがすでに設置されており、また、現在ホームドアの設置されていない平沼橋駅〜上星川駅の区間も今年度中にはすべての駅にホームドアが設置される予定です。
 なぜこんなに急にホームドアの設置が進んだのかということと、東急線との直通運転には関係がありそうです。なぜなら、直通運転をする東急目黒線やその先の都営三田線、東京メトロ南北線・埼玉高速鉄道の全駅にはすでにホームドアが設置されているので、目黒線を走っている車両には「転落防止幌」がついていないからです。
 そこで、現在もホームドアが設置されていない海老名駅がどのような対策をしているのかを確認しに行ってみました。
 海老名駅で確認してみると、車両の連結部分にあたるところに「仮設転落防止柵」として黄色いフェンスがつけられていました。また、対策として駅員さんがホーム上で安全確認していました。

*駅には危ないことがたくさん
 ホームでしばらく乗降客の様子を見ていると、「歩きスマホ」をしている人がたくさんいることに気が付きました。また、ホーム上の点字ブロックの上を歩いている人もとても多いことに気が付きました。
2023年8月17日(木)11:55〜12:05の間の10分間で、ホームで歩きスマホをしていた人は35人。また、同じ10分間で点字ブロックの上を歩いて移動していた人は25人でした。
 海老名駅は相鉄本線の終着駅なので、到着した電車のほとんどは折り返して発車します。そのため、電車が発車する時にすぐに乗車できるようになるべくドアの近くの点字ブロックの上を歩いている人が多いように感じました。ただ、目の見えにくい人にとっては大事な点字ブロックだし、東急線の車両は転落防止幌もついていないので、仮設のフェンスがあるとはいってもとても危険だなと思いました。
 相鉄線の海老名駅の改札口は前方に1か所です。改札を出ると目の前にエスカレーターがありますが、ここでも気になる光景がありました。「エスカレーターの歩行」です。12:10〜12:20の10分間でどのくらいの人がエスカレーターで歩いているのかを調べてみました。(上りエスカレーター)21人、(下りエスカレーター)56人もの人がエスカレーターで歩いていました。意外だったのは体力的に大変な上りよりも、下りのエスカレーターの方が歩く人が多かったことです。エスカレーターのすぐ隣は階段なので、そちらを歩いた方がずっと安全なのにと思います。
(中略)
 エスカレーターの事を調べているうちに、相鉄線の改札口へ向かう人が増えている気がしたので、もう一度ホームに戻って歩きスマホをしている人の人数を数えてみました。
 14:00〜14:10で再度数えてみると、何と72人の人が歩きスマホをしていました。その中でも特に危ないなと思ったのは、イヤホンを付けながら動画を見ている人たちです。特に若い人達に多く見られました。イヤホンを付けながら歩きスマホをしている人たちは、画面しか見ていないような人が多かったです。駅のホームでは「歩きスマホは危険です」という注意の音声が流れていましたが、イヤホンをしていたらそれも聞こえません。ただ、音声メッセージもかなり注意して聞いていないと聞こえないくらいの音だったので、もっと多くの人の耳に届けばいいなと思いました。
 海老名駅の駅員さんに聞いたところ、海老名駅を利用する盲導犬ユーザーの方や白杖を使われている方は毎日10人前後いるそうです。一人一人が意識して、いつでも安心して使える駅になればいいなと思います。
(中略)
 萩原さんは網膜色素変性症(RP)という病気で、32歳の時に「いずれ失明します」と診断されたそうです。(詳しくは「JRPS神奈川会報第97号」に萩原さんの記事が載っています。)
 萩原さんに病気のことやノビアちゃんのことなど色々と質問させてもらいました。

                                  Q.萩原さんにはどんな風に見えていますか?
A.小さいときは普通に見えていて、野球なども楽しんでいました。小さいときから昼間は普通だったけれど、夕方になって暗くなってくると、友だちは見えているようなのに自分はボールが全然見えなかったけれど、視力が悪くなっているからだと思っていました。その後だんだんと視野が狭くなって今は左目は見えず、はしに明るさを感じる程度。右目は中心のみ視野が残っていて、眼鏡をかけて0.1〜0.3程度。でも実は紙に書いてある文字は見えません。パソコンやスマホを白黒反転させる(黒い背景に白い文字)と見えやすいので、それと音声読み上げ機能を使って仕事などをしています。
 昔は普通に見えていましたが、RPという病気はだんだんと視野がサランラップの芯くらいになり、そのうちにちくわの穴位、ストローでのぞいた位にと進行していく病気です。

Q.どうして盲導犬と生活することになったのですか?
A.32歳で病気が分かるまで、車の運転もしていたし普通に生活していたので、本当は病気が分かった時に白杖(目が見えにくい人が使う白い杖の事)を使わなくてはいけなかったけれど、恥ずかしくてなかなか白杖を使えず、かなり見えなくなった45歳くらいから隠れるようにして使っていました。白杖だと一歩一歩確認しながら歩くのでゆっくりしか歩けないし、よく物や人にぶつかっていました。そんな時に「盲導犬の体験歩行会」というのがあって、試しに盲導犬と歩かせてもらったら、以前の目が見えていた時のようなスピードで歩けたので、盲導犬を持とうと決めました。
(中略)

Q.ノビアちゃんを連れていてお店に入るときに断られたことはありますか?
A.出勤の時の昼食はいつもだいたい同じところで食べることが多いですが、横浜の周辺で入店を断られたことはありません。旅行で地方に行った時に、たまたま狭いお店だったこともあってか、一度断られたことはあります。いつも出勤の時にお昼を食べるお店は、ノビアがくるのを喜んでくれています。

Q.出勤の日はノビアちゃんのお昼はどうしていますか?
A.盲導犬は基本1日2食なので、私が会社にいるときは基本的には水しか飲みません。
(中略)
Q.乗り物に乗る時に困ることはありますか?
A.乗り降りには特に困りませんが、並ぶ場所が分かりません。どこに並んでいいのか人の気配で並んでいる感じです。それから、今まさに乗り込もうとしている瞬間にいきなり腕をつかまれたり、声をかけられて驚くこともあります。親切な気持ちでやってくださっていると思うのですが。

Q.ノビアちゃんの苦手ことはありますか?
A.犬によって色々と違うと思いますが、ノビアは拍手や大きな音楽がなっているところが苦手です。
(中略)

Q.ノビアちゃんのお世話にはどんな事がありますか?
A.朝起きたらまずトイレをさせます。その後ご飯をあげて食べさせたら歯磨きをします。出かけるために洋服を着せます。仕事から戻ったら、トイレをさせて、ご飯をあげたらブラッシングをします。その後濡れたタオルで体を拭いてあげます。毛も落ちるので、部屋の掃除も欠かせませんが、私はそういうことは全く苦ではありません。

Q.街で盲導犬を連れている人に出会った時、ぼくがどういうことをしたら助かりますか?
A.立ち止まってキョロキョロしている時などは、目的地の近くまでついているけれど建物の入り口が分からなかったり何か迷っている時なので、「何かお手伝いすることありますか?」声をかけてもらったらすごくうれしいです。それから、盲導犬は信号の色が分からないので、横断歩道を渡ろうとしている時は「今信号は青ですよ」とか「一緒にわたりましょうか?」と言ってもらえるととてもうれしいです。

Q.逆にぼくたちがしてはいけないことはありますか?
A.犬には声をかけないで欲しいです。盲導犬はとても人間のことが好きなので、声をかけたり触ったりされるととても喜んで動き回ってしまうので、そうすると盲導犬を連れているユーザーは方向が分からなくなってしまうので。

Q.最後に、もし1時間だけノビアちゃんと会話できたらどんなことを話したいですか?
A.ノビアはこちらが話していることはほとんど分かっているのでは?と思っているので、「家に来てどう?」とノビアの感想を聞いてみたいですね。

*感想
 今回盲導犬について色々と調べてみて、今まで盲導犬や白杖を使っている人は目をつむっているように何も見えないんだと思っていたけれど、「視覚障害」と言っても色々な見え方があるということを初めて知りました。また、実際に萩原さんやノビアちゃんと一緒に歩いたり、電車に乗ったことで、歩きスマホの事やホームドアの設置状況など、これまであまり気にしていなかった事に気が付くようになりました。フォローアップ訓練の様子も見せてもらい、普通はなかなかできないとても貴重な経験をさせてもらって、萩原さんとノビアちゃんには本当に感謝しています。どうもありがとうございました。
 盲導犬を一頭育成するには数百万円もの費用がかかるそうですが、日本盲導犬協会では育成費用の約90%が寄付によって成り立っているそうです。寄付の方法としては、毎月や毎年継続して寄付する賛助会員になる方法と、募金をする方法があります。ぼくは相鉄線横浜駅で駅員さんにお話を聞いたときに日本盲導犬協会の募金箱を見つけて、初めて盲導犬への募金をしました。その他にもボランティアになることも寄付と同じように盲導犬育成の支援になります。一人の力は小さくても、たくさんの人の力が集まればきっと大きな力になると思うので、みんなにとって過ごしやすい社会になるように、やさしい気持ちの輪がどんどんつながっていくといいなと思いました。
 萩原さん、ノビアちゃん本当にどうもありがとうございました。

■みんなの川柳・俳句

神奈川MLの皆さん・担当 準役員 横瀬 正英

●川柳
【小田原市】 チーちゃん
1)父母も 旅立ち次の 世代へと
2)旅立ちし 母の香残る 寝巻きかな
解説:前日息を引きとる時着ていた寝巻きを嗅いでみました。
3)主おらぬ 庭の手入れを 弟が
4)寺の庭 水蓮咲いて 極楽寺
5)似てくるね 私も従姉妹 母の声

【小田原市】 井手 章
< 2023年 秋川柳あれこれ >
1)藤井聡太 前人未踏 八冠に
解説:10月11日、永瀬拓矢 王座タイトル戦、3対1で勝利
八冠「王座、名人、竜王、棋王、王将、王位、棋聖、叡王」
2)進化する 見えなくなって 地獄耳
解説:聞きたくないニュースには困ります。
3)幼きころ 飛ぶ夢見たり 今はなし
解説:街並みに向けて、地面すれすれの低空飛行の夢を見ていました。今は体重80kgなので飛べません。
4)二刀流 満身創痍 翔平よ
解説:翔平の人がらを愛する、全世界の人々。44本のホームラン王に続き、MVPの獲得に期待。
5)スポーツ界 活躍映える 日本人

【横浜市】 森田 祐吉
1)信号で とまどうばかり 音が出ず
2)白杖と 地蝉がギーイと 挨拶を

【相模原市】 武川 ひろし
1)秋分を 過ぎてまだある かき氷
2)にわかファン 野球ラグビー サッカーと
3)敬老の 祝いを受けて 歳を知る

【横浜市】 今村 伸也
1)神奈川で 世界網膜 成功裡(せいこうり)
解説:先月のWRDの開催を祝して。
2)運営に 協力いただき 感謝の意
解説:WRDは支援者・ボランティアンのご協力の賜物です。
3)ボランティア 心づくしの ご誘導
解説:当日の誘導には、各方面からご評価を頂きました。
4)誰ひとり 取り残さない 支援の輪!
解説:ずばり今回の開催テーマです。
5)来年も また会いましょう 大分で
解説;来年のWRDでの再会を願って

【横浜市】 nobia-kawaii
1)バス乗り場 行先どこか アナウンス
解説:バス乗り場が新しくなり、バスが来ていることは分かりますが、どこ行きかわからないので、行先や系統をアナウンスしてほしいものです。
2)来てますよ 一緒に並ぶ 優しい声
3)バスの中 みんなが シッポを気にしてる
解説:ノビアの大きいシッポを踏まないよう配慮いただき、感謝です。
4)そんな中 ノビアは本気で イビキかく
解説:大物です。
5)バス車内 ワタシの歴史を 見てくれてる
解説:先日バス車内で声をかけられ、「お兄さん。最初は杖なし、その後白杖をついて心配していたけれど、ワンちゃんと楽しそうにやってるみたいでよかったね」。見守ってくれている方がいると分かりうれしくなりました。

【小田原市】 Edi of Zizii
《2023年秋 爺々の時事ネタ川柳etc》
1)インフレの 円安進む 物価高
解説:今や日本はデフレからインフレに、1ドル150円時代、どうする金融政策。
2)長かった 18年ぶりの あれー
解説:セリーグ優勝、阪神タイガーズ(岡田監督)18年ぶり優勝。パリーグオリックス「中島監督」、3連覇優勝。
3)ビッグ不正 信じられない 保険サギ
解説:会社は社会の公器のはずだが、前代未聞の車輌保険サギが発覚。トップは自社株を持ったまま辞任。
4)永久凍土 北極圏に 雨が降る
解説:国連のグテーレス事務総長発言「世界的温暖化から地球沸騰の時代に入った。」
5)認知症 今年発売 治療薬
解説:認知症の原因の「アミロイドベータ」の除去に作用するエーザイの治療薬「レカネマブ」が発売に。

●俳句
【横浜市】 森田 祐吉
1)長雨で 梅雨のにおいが 庭おおう
2)納涼を 求め木陰で 風を待つ
3)ドンのねで 思いめぐらす 花火空

■ウッチャンの落書きストーリー
笑ってこらえろ!ヤマーダ奮闘記! 8

横須賀市 内田 知 

 関東エリアでチェーン展開されている某有名ラーメン店がある。そんな店があるのをウッチャンが知ったのはヤマーダと出会ってからである。
 ある日の事。
「お昼どうしますか」
とヤマーダに聞かれたウッチャンは
「ラーメンが食べたいんだけど…どこも高いからなあ」
その言葉にヤマーダは
「そこそこおいしくて安いラーメン店があるんですが行ってみますか」
と言った。それじゃあ行ってみようかとヤマーダに案内されて行ってみた。

 そして、驚いた。なんとラーメンが390円。
「俺はラーメンでいい」
「わかりました中華そばですね」とヤマーダは答える。
「俺が食べたいのは中華そばじゃなくてラーメンだ」
とボケツッコミをするウッチャン。これに
「中華そばは、ラーメンの事です」
と真面目に反応するヤマーダ。
「そうなのか、じゃ中華そばでいい」
と返事をするしかないウッチャンの肩はガクリと落ちる。

「大盛が無料になるクーポンがあるんですがどうしますか」
「そんな物、なんでヤマーダが持っているんだ」
「ここで食べて帰る際には、大盛が無料になるクーポンがもらえるんです」この言葉にしばし考えウッチャンは言った。
「普通でいい。」
「わかりました」
と言うヤマーダが遠慮がちにウッチャンに言った。
「私、大盛にしていいですか?」
「大盛にして食べられるなら好きにすれば」
とウッチャンは言った。
「ありがとうございます」と答えるヤマーダに 「食べたい物を食べたいだけ食べるのは個人の自由、俺にありがとうなんて言うな!」
この言葉の後は、ヤマーダのいつもの「すいません」と言う返事となる。

 さて、店員さんを呼んで普通盛と大盛の中華そばを注文する。テーブル席には男女が座っている。店員さんも含め、誰もが大盛は男が食べると思うだろう。だから運ばれてきた大盛はウッチャンの前に置かれて当然なのだ。
 店員さんは、ウッチャンの前に大盛を置こうとする。それを静止するようにヤマーダが
「大盛は私です」と言う。
それを聞いて
「失礼しました」
と言いながら大盛をヤマーダの前に置き直し、普通盛をウッチャンの前に置く。二人のテーブルを離れて行きながら店員さんは思っただろう。「逆もあるんだ」と…。

 ヤマーダに箸を渡され食べようとするウッチャンはヤマーダに聞いた。
「俺の方に置かれようとした丼が大盛だとなんでわかったんだ」
「麺の盛りが違いますから誰にでもわかります」
それもそうかと思いながら食べ始めたウッチャンだった。
 さて、このラーメン店はそこそこ乗降客がある駅には必ずあって当たり前の店で、どこの駅で降りてもヤマーダは「○○店がありますね」と言う。だが、なぜかウッチャンの最寄り駅の久里浜には無かったのである。できてほしいと願い続けてやっとその店が駅近くにできた。よって、月に2回は通うようになった。

 となれば、何を注文しても普通盛のウッチャンに大盛を注文するヤマーダ。最初の頃は「大盛は私です」と言っていたヤマーダの前に、普通に大盛の丼が置かれるようになる。
大盛を食べているヤマーダに聞いてみた。
「大盛食べてお腹が苦しくなったりしないのか」
「あまりないですね」
「ヤマーダは大食いなのか」
「はい、食べるのが好きですからそこそこ食べても大丈夫です」
「そんじゃあ、テレビでやってる大食い番組出れるんじゃないの」
「テレビに出られるほどは食べられませんけど、出演するための一次予選を突破できるかもしれないくらいは食べられます」
このよくわからない自信はなんだ、とウッチャンは突っ込むのを忘れて、ただ麺をすすっているヤマーダを見つめるしかなかった。

 さて、ヤマーダに教えられたのはラーメン店だけではない。夏のある日、冷やし中華に飽きていたウッチャンはヤマーダに
「そばかうどんのさっぱりしたのが食べたい。どこか安く食べられる所知らないか?」と聞いた。
「そういうことでしたら、ぶっかけうどんですね」
「なんだ、そのぶっかけうどんってのは」
「ウッチャン知らないんですか」
「知らない」
この返事にどこか自慢げにヤマーダはぶっかけうどんをウッチャンに説明した。

 関東で言うたぬきうどんのおつゆではなく、出汁をそのままかけて食べるのをぶっかけうどんと言って、もともとは香川県や岡山県の倉敷あたりの郷土料理だったとヤマーダは話す。このぶっかけうどんをメインにしてチェーン展開されている店にウッチャンはラーメン店同様に初めて行く事になる。
 行って驚いた、うどんの量が普通と大盛ではなく、大中小に分かれていて 中が一般的な普通盛になるという事らしい。

 ウッチャンは小を頼んだ。「小でいいんですか?」とヤマーダは聞く。
「俺はヤマーダと違って小食なんだよ。足りなきゃ家で何か食べるから心配するな。それよりここでも大盛食べるのか」と聞くウッチャンにヤマーダは
「今日は中にします」
「どうした。体の具合がよくないのか?」
「体の調子は悪くないです。ただなんとなく中でいいかなと思っただけです」
この言葉を信じていいのかと思うウッチャン。なぜかって、大盛を注文するヤマーダが当たり前だと思っていたからである。そう思うほどヤマーダは大食いなのである。

 さて、大盛を食べている人より普通盛を食べている人が先に食べ終わるのは当たり前なのである。よって、ウッチャンはいつもヤマーダが食べ終わるのを待つ。そして、生真面目なヤマーダは自分が食べ終わるのを待ってくれているウッチャンに申し訳ないと思う。だから急いで食べようとする。
「もうすぐ食べ終わりますから…」と言うヤマーダ。
「気にするな。ゆっくり食べろ」
と答えるウッチャンに
「すいません」
と返すヤマーダ。これに
「ゆっくり食べろ。物を口に入れている時にしゃべるんじゃない。だいたい、モグモグいって何を言っているのかわからない。それにあんたは年をとってはいても嫁入り前の身なんだから、口の中にモノを入れている時にしゃべるなんてはしたない事をするんじゃない」。
 これに口に物が入ったままで
「すいません」
と言う。それを聞いて
「だからしゃべるな。食べる事に専念しろって言っているだろう」
とウッチャンが言う。ヤマーダは口に物を入れたままで「はい」と答える。
 ヤマーダの「はい」を聞きながらウッチャンは自分の発した言葉を思い返す。「年はとっても嫁入り前の身」…これは使える。別の機会に使ってみようと考えていた。
 また、自分をネタにされるとも思っていないヤマーダは大盛を食べた満足感から
「アー!オイシカッタア。ごちそうさまでした」
と箸を置く。
 コロナで飲食業界は大打撃をこうむった。閉店してしまう店も多かった。
ウッチャンを連れて外出先で閉店した店を見つけるとヤマーダは「かわいそう」と言う。食べることが大好きなヤマーダにとっては他人事ではないのだろう。

 コロナの中で生き残った店も、材料費の値上げで商品を値上げするしかなかった。その中で、大盛無料のクーポンを廃止しても390円でラーメンが食べられる店は生き残っている。その店に行く。注文をする。 「大盛にしなくていいのか」
と聞くウッチャンに
「大盛にしてもらわなくても、タップリ食べられるのを頼みましたから大丈夫です」
と答えるヤマーダ。
 それを聞きながらウッチャンは、大丈夫ってか、俺は何も心配しているんじゃないんだけどなあと心の中でつぶやく。

 そして、いつもの会話が始まる。
「ゆっくり食べろ。何度言ったらわかるんだ。嫁入り前の身なんだから、口の中に物を入れたまましゃべるんじゃない」
ヤマーダはこれに口をモグモグさせながら
「はい」
と答えていた。

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■光学堂 ロービジョンルーム

視覚障害者用福祉機器 / メガネ・特殊メガネ 取扱店
目がご不自由な弱視の方へ
視覚に障害のある方や、見えにくくてお困りの方におすすめしたい商品を多数取り揃えております。
一般的にあまり出会う事のない商品を多数展示・販売をしております。
是非、ご相談や情報収集にご来店お待ちしております。

遮光眼鏡(医療用フィルターレンズ)
眩しくて見えにくい方に光の波長をコントロール!
無料で2週間貸出し個別に対応しますご相談実施中
高倍率ルーペ(拡大鏡)
常時、店頭に450種類ご用意 実際に見比べてください。
音声式・触読式時計
時刻を音声でお知らせする音声式腕時計や置時計
指で直接針を触わる事の出来る触読式腕時計
拡大読書器 据置型や携帯型など最新型拡大読書器を店内25台用意
実物のデモ機をご用意!自分の眼に合った見え方、映り方をする使いやすい機種や用途で比べて探して下さい。
プレクストーク(視覚障害者用ポータブルレコーダ)
音声図書館で借りたデイジー図書などの再生や音楽CDを聴く、メモ録!最近はポケットサイズの 小型も大人気
タッチボイス(ICタグレコーダ)
触ってわかりにくい物にタグに音声でメモ録!
テルミ..(活字読み上げ装置)
SPコード付の手紙や案内を音声で読み上げます!
電子ルーペ
持ち運べる拡大機能がある簡易機で大変便利です。
音声体重計・音声血圧計
音声で誘導して体重などをお知らせ。
音声機器はいろいろ便利にございます。
単眼鏡 弱視眼鏡 など

光学堂ロービジョンルーム
〒220−0051 横浜市西区中央2丁目6−5 めがねの光学堂内
毎週水曜日定休日 営業時間:am10:00〜pm7:00
完全予約制:ご来店の際は必ずお電話でご予約して下さい。
045−290−0048
詳しくは、テキスト
">URLテキスト
検索 光学堂 横浜市

■アイネットワークからのお知らせ

アイネットワークでは、見え方、使い方に応じて選べるよう、他社には無いもので、ご要望の有るモデルを開発して、お試しいただいています。

◎ 音声で読み上げして使えるモデル。
日常生活用具の活字文書読上げ装置という項目で、手帳1級と2級の方が、給付を受けられる アイビジョンスピーチオ99,800円が有ります。給付の要件であるSPコードという音声コードを解読出来るだけでなく、新聞、雑誌、本などを読み上げ出来るという、この項目では他社には無いものです。拡大読書器を使用中のかたも、項目が別なので給付を受けられます。所得の有るかたは、原則1割負担で 9,980 円の自己負担です。
地方税が非課税のかたは免除されますので無料です。

◎ 音声で読み上げ出来るし、画面を見て使う事も出来る拡大読書器のモデル。
15.6インチ画面の ノート型のモデル。Windows 11 で動いているものです。

◎ 画面を見て使う拡大読書器のモデル。
アイパッドなどに内蔵の、オートフォーカス式ズームレンズは高性能なので、これを使ったモデルが各種あります。
@ 10インチ画面、500グラムのアイパッド使用モデル。出先でも使える軽量、薄型。
A 4.7インチ画面、150グラムのアイフォーン・エス・イー使用モデル。出先で使えます。
B アイフォーン・エス・イー画面に、簡単操作板を貼り付けてあり、拡大、縮小、反転、基準ライン、などを簡単操作し、付属の21インチモニターの画面を見て使うモデル。

これらの拡大読書器はどれも 198,000 円(非課税)で、所得の有るかたは、原則1割負担で 19,800 円の自己負担。地方税が非課税のかたは免除されますので無料です。

お試しいただける方法、資料送付など。
◎ 毎月下旬に、日野市勤労・青年会館の集会室で、体験会を開催しています。
◎ ご自宅でお試しいただけます。送料、返送料を含め、すべて無料です。
◎ 大きな文字のカタログ、紹介のCDが有りますのでお送りします。無料です。

ご連絡は、下記へお願いいたします。
アイネットワーク有限会社 担当は みやたけ です。
携帯電話 080-8034-1163
〒191-0055 東京都日野市西平山5-23-12      TEL&FAX 042-583-7450
メール テキスト
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◎ スピーチオ、SPコードは株式会社廣済堂の登録商標です。
◎ アイビジョンはアイネットワーク(有)の登録商標です。

■編集後記

JRPSかながわ丸<船長今村の航海日誌>
「かながわで 世界網膜 成功裡(せいこうり)」
今号の「みんなの川柳」で上記一句を投稿した私ですが、世界網膜の日in神奈川の当日、式典の合間に会場周辺を歩きました。印象的だったのが、参加者・ボランティアの皆様のこぼれるような笑顔です。「有難う、助かります」、「お久しぶり。やっと会えたね〜」の声・声・声。 こんな日常的なやりとりに、安堵の思いと開催出来た充実感を感じました。そして心に刻みました「誰ひとり、取り残さない。切れ目の無い支援の輪」

◆JRPS神奈川会報は下記の3形式でお届けしています。
 変更を希望されるかたは、下記連絡先までご連絡下さい。
 1)墨字版:印刷物、大きめの文字
 2)デイジー版:デイジー形式の録音CD
 3)メール版:テキストメール

◆神奈川県網膜色素変性症協会(JRPS神奈川)連絡先

・事務局 萩原 徹
 〒240−0024 横浜市保土ヶ谷区**********
 TEL:**********(留守番電話)
・会長 今村 伸也
 〒225−0001 横浜市青葉区********
 TEL:**********(携帯18時以降)
 E-mail:*************

・編集 JRPS神奈川編集部
発行人 特定非営利活動法人障害者団体定期刊行物協会
〒157-0072東京都世田谷区祖師谷3-1-17
          ヴェルドゥーラ祖師谷102号室

https://www.rp-k.com
(定価 200円)
(裏表紙おわり)