「その状況の時に視覚以外の情報は何があるか」と考えてみると皆さんにもこの答えはわかると思いますよ!
Q1.家の中でも白杖を使うのですか?
A. 靴を脱いであがるような場所では、白杖は使いません。はじめて行く家でしたら、その様子がわかりませんので、その家の人に案内してもらいます。何度も行っているような知り合いの家でしたら、前にうかがったときに覚えておいたそのお宅の様子を思い出して、ひとりで動くこともできます。自分の家でしたら毎日住んでいるわけですからその様子はしっかりと覚えていますので、自由に動くことができます。
Q2. 物をさがすのは、どうやってさがすのですか?
A. 「覚えている情報」と「触覚情報」を組み合わせて探します。
ものは、いつも決めた場所にきちんと置くようにして、どこに何を置いたのかを覚えておきます。それでその場所に手を伸ばし手に触れた感覚で物を区別します。
Q3. 家の中で、困ることは何ですか。
A. 「覚えている情報」を活用できない状況にされてしまうことです。
いつも決まった場所に置いてあるものが、使った人が元にもどしておいてくれなかったときなどです。座卓など、いつも置いてある場所と違うところにあると突然ぶつかってしまい「あざ」をつくってしまうことが多いです。また、おもちゃなどが床に置きっぱなしになっていると、踏みつぶしてしまい、自分もけがをしてしまいますし、おもちゃもこわれてしまいます。
Q4.洋服はどうやって着るのですか?
A. 「覚えている情報」と「触覚情報」を組み合わせます。
「タンスの何段目の引き出しには何」と、あらかじめきちんと決めて洋服をしまっておきます。それを覚えておいて洋服を取り出します。生地の感触などから、その洋服が「どんな色でどんな柄なのか」が、わかるようにしておきます。同じもので色違いのものなんかは触った感触ではわかりませんので、「どの色にはどの印」と覚えておいて縫い取りの印を目立たないところにつけておいたり、点字の表示をつけておいたりして、自分で区別できるようにしておきます。首が出る場所、腕が出る場所なんかは、洋服の形を触ればわかりますので、ひとりで着ることができます。ズボンやスカートも同じです。
Q5.料理なんか、どうするのですか?
A. 「聴覚情報」「触覚情報」「嗅覚情報」「覚えている情報」を組み合わせて活用すること、見ないで使いやすい道具を使うこと、見ないで安全に道具を使いこなす方法を身につけることをして料理します。
包丁やまな板、お鍋やフライパンなど、料理に使う道具も見える人と同じものを使いますが、中には見えない人が使いやすいようにと工夫された道具もあります。収納庫や冷蔵庫の中は、どこに何をしまったかを覚えておきます。おなじような形状の容器は、その中身が何かを点字で貼っておいたり、輪ゴムをはめるなどをして印をつけておいて、わかるようにしておきます。食品は正味期限などもわかるようにしておくと便利です。
見える人も同じだと思いますが、一番気を付けるのは「火と包丁」です。ガスコンロに火をつけるときには、コンロの上を手でさわって、ふきんなどの燃えやすい者が近くにないことを確かめてから火をつけます。包丁は使い終わったら必ず決めた場所にしまうのはもちろんのこと、使っている途中で包丁を置くときには刃の向きもきちんと決めて、いつも決めた場所に置くようにします。野菜の皮むきは手で皮が残っていないかさわりながらむきます。皮が残っていることは手でさわるとわかります。切るときには手で大きさを確かめながら切ります。弱視の人が見やすいようにと、黒色と白色が裏表になったまな板もあります。計量には、一回押すと5cc出るようになっている容器や手でさわってわかる計りなどがあります。よく、「タマネギは透明になるまで炒めます」なんていうのがありますが、「透明」かどうかは見えないとわかりませんが、炒めている箸から伝わってくる感触で炒まったかどうかがわかります。揚げ物は揚がってくると音が変わりますし香もしてきます。このような感覚で判断するなどのこつは、自分よりも前に見えなくなった人が教えてくれたり、「日常生活訓練」で教わったりします。これも見える人が料理教室に行ったり口コミで料理のコツを教えてもらうのと同じといえば同じですね。
Q6.掃除や洗濯はどのようにするのですか?
A. 「触覚情報」「覚えている情報」の活用でしますが、時には見える人からの情報提供も受けます。
掃除も洗濯も見える人と同じ掃除機や洗濯機を使います。掃除はほこりが残っていないか手でさわって確かめます。カーペットにソースなどをこぼしたりしたときなど、しみなどが残っていないかなどはどうしても視力が必用となりますので、見える人に見てもらいます。
洗濯物は汚れがひどいと思われる場所はあらかじめ下洗いをしておきます。これは見える人もいっしょですね。洗濯機はユニバーサルデザインの考え方から点字表示が操作ボタンに付いているものもありますから、見えなくても使いやすい洗濯機を使っている人が多いです。シミが落ちたかどうかなど、どうしても視力が必用な時には見える人に見てもらって洗濯をします。洗濯物を外に干すのは、自分の家ですので、いつも使っているところなので「竿がどうなっているか」「洗濯ばさみはどこにあるか」など、覚えておいて干すことができます。アイロンは、見える人も同じですが、アイロン本体には触らないように注意しながら、しわが伸びたかどうか手で確かめながらかけます。
Q7.時計はどうやって見るのですか?
A. 「見えない・見えにくい人」から傷害を取り除くために作られた道具を利用します。
音声時計や、触ってわかる触読式(ショクドクシキ)時計があります。アラーム機能がついているものもあって、目覚まし時計にもなります。
現在では音声時計は量販店などでも売られていてユニバーサルデザイン製品の一つになっています。見える人も夜中に時間を知りたいときなど、照明を点灯させなくても音声で時間がわかって便利ですね。