JRPS神奈川支部会報第71号テキスト版 (表紙) 1971年 8月 7日 第三種郵便物認可(毎月6回 1の日・6の日発行) 2014年 5月5日発行 SSKA増刊通巻 第8252号 SSKA あぁるぴぃ第71号    KANAGAWA 2014 summer 私たち自身で 治療法の確立と 生活の質の向上を目指す JRPS神奈川支部 **この会報誌は「NHK歳末たすけあい《の配分金により作成しています** (表紙おわり) ■あぁるぴぃ第71号 目次 KANAGAWA 2014 summer ・巻頭言   2 少しの勇気と、少しの努力を!! ・神奈川支部の活動   3 総合カレンダー 4 総会、医療講演会のお知らせ 5 カラオケ交流会のお誘い   6 子育て世代の女子会 7  会報誌発送作業ご協力のお願い 8  網膜色素変性症患者の集いin茅ヶ崎   9  鶴見区特定疾患講演会のお知らせ  10 寄付金の報告とお願い  11 3月23日の医療講演会の報告 14 つくしの会の報告 フラワー作り 15 国際網膜絡脈変性フォーラムに参加して 17 出前セミナーを振り返って ・情報コーナー 22 デイジー図書の案内  24 知っていると役立つ生活の知恵(17)  28 読書のすすめ ・投稿コーナー 31 みんなの川柳・俳句・短歌 33 “見仏”のすすめ  35 混迷する政治体制と絶望的な情況のもとで生きた人たち    39 目は見えなくても夢は見える 41 落書きストーリー 今月の表紙/3月の医療講演会では、視覚障害者にも使いやすい自動掃除機「ルンバ《が多くの参加者の注目を集めました。 ■巻頭言 少しの勇気と、少しの努力を!!  「あなたの目は網膜色素変性症です。残念ですが、現在の医学では治療法はありません。この病気は進行性で、いずれ失明する可能性があります《。11年前に、私が医者から言われた言葉です。皆さんも同じことを言われたのではないでしょうか。日常生活では、夜道は夜盲の為歩きづらく、昼は日差しが眩しい。将来への上安も抱える毎日……。  そんな私が4年前、JRPSに出合えたのです。ミニ集会に参加し、今まで知らなかった情報や参加された皆さんの話を聞くことで、大変勇気づけられた思いがします。症状(見え方)や進行度合いはそれぞれ違いますが、同じ病気を持った仲間が元気に明るく前向きに生活している姿に元気づけられました。私はなかなか白杖が持てませんでしたが、2年ほど前、ほんの少し勇気を出して、白杖をカバンの中ではなく手に持って出勤のため家を出ました。1年半ほど前からは、健常者の助けを借りながらですが、スポーツを楽しんでいます。いつの間にか、生活が障害者になる以前よりも活発になっています。  確かに、目が上自由な状態で生活していくことには、いろいろな上便が付き物です。しかしながら、自分自身のほんの少しの勇気と、ほんの少しの努力があれば、わずかかもしれませんが、生活がよりよいものになるような気がします。悩んだり、困ったりしたとき、仲間に相談するのも、ほんの少しの勇気かもしれません。  先日、世界網脈絡膜変性フォーラムを拝聴してきました。医療の研究現場では多方面からの研究が進んでいるようです。しかしながら、私たち患者にその治療法が届くのには、まだ多少時間がかかるのではないかと思います。今はその治療法を待ちながら、自分自身たちの手で、支援者のお力を借りながら、生活の質の向上を目指していきましょう。  役員・奥原 修 ■神奈川支部の活動 ■ 総合カレンダー 6月 1日(日)※神奈川支部定期総会・医療講演会   【会場】日本赤十字社神奈川県支部 6階 会議室   ・総会10時30分開会 ・医療講演会12時50分開会 6月 7日(土)※カラオケ交流会 上大岡 12時~16時 6月18日(水)※網膜色素変性症患者の集いin茅ヶ崎   【会場】茅ヶ崎保健福祉事務所 12時30分~ 6月21日(土) 第1回 社員総会(代議員会)きゅりあん(品川区) 6月22日(日) 設立20周年記念式典 ホテルJALシティー田町 6月27日(金)※鶴見区特定疾患講演会 14時~   【会場】鶴見区役所 6月28日(土) 陶芸クラブ 横浜ラポール 13時~ 6月29日(日)※子育て世代の女子会 県民センター708 11時~ 7月 6日(日) ミニ集会 県民センター604 12時~   ★第1日曜日ですのでお間違いのないようお願いします。 7月26日(土) 陶芸クラブ 横浜ラポール 13時~ 8月10日(日) ミニ集会 県民センター710 12時~ 8月23日(土) 陶芸クラブ 横浜ラポール 13時~ 8月24日(日) 会報発送作業 県民センター9階 9・10時~ 9月 6日(土)※カラオケ交流会 上大岡 12時~16時   ※…この印の項目は記事が掲載されています。 ◆ミニ集会の会場 ミニ集会は通常、かながわ県民センター(045*312*1121)で開催します。横浜駅西口からヨドバシカメラのビルに向かって進み、その手前の横断歩道を渡ったら、右に曲がります。100mほど進んで高速道路の先の信号のある交差点の左角の建物です。点字ブロックが駅から敷設されています。 ■総会&医療講演会のお知らせ  ~6月1日(日)に開催~   支部長・佐々木 裕二  今年も支部総会と医療講演会の時期となりました。JRPSは今年創立20周年ですが、神奈川支部も2016年には20周年を迎えます。  治療法研究もオキュセバ、遺伝子治療の治験が進行しており、数年後にはiPSの再生医療の臨床研究が始まろうとしています。20年前には考えられなかった賑わいです。私たち患者会としての役割も一層重要になってきます。皆様と気持ちをひとつにして研究への協力と関係機関への働きかけを強くして行きたいと考えています。  今年の医療講演会は、JRPS副会長で千葉大学教授の山本修一先生にお話ししていただきます。世界の研究状況、オキュセバの現状についてお聞きできると思います。皆様のお越しをお待ちしています。  日時: 平成26年6月1日(日)10時30分~15時30分  会場: 日本赤十字社神奈川県支部6階会議室     (住所) 横浜市中区山下町70-7  アクセス: みなとみらい線「日本大通り《駅3番出口から徒歩2分。        JR線・横浜市営地下鉄「関内《駅から徒歩10分。  案内: 10時~11時、12時~13時20分   ※日本大通り駅改札(一箇所)から赤十字のビルまで案内係を配置します。  問合せ: 佐々木裕二   E-mail:**********   TEL:**********(自宅、20時以降) ◆第一部 第19回定期総会  開場: 10時10分  開会: 10時30分   神奈川支部の会員は、同封の総会議案書をご持参下さい。   ※ 開場前に到着した方は5階でお待ち下さい。   ※ 昼食は周辺のレストランは混雑の可能性がありますのでお弁当ご持参をお勧めします。会場内で食べられます。(ゴミはお持ち帰り下さい) ◆第二部 医療講演会  開場: 12時  開会: 12時50分  講演: 山本修一先生(千葉大学大学院教授)  演題: 「網膜色素変性に対する臨床試験《  入場料: JRPS会員 無料、 会員外 500円(介助者は無料です) 釣り銭の必要のないよう準備して下さい。 ◇終了後、近くの中華屋にて懇親会を開催します。  16時頃~ 2時間飲み放題 3000円 参加ご希望の方は、5月29日までに、役員・伊藤へご連絡ください E-mail:********** 電話:********** **この講演会は「NHK歳末たすけあい《の配分金により開催します** ■♪カラオケ交流会のお知らせ   (6月・9月開催)  恒例のカラオケ交流会です。楽しい仲間が、あなたの参加を心待ちにしています。日頃のストレス解消は勿論、リフレッシュできますよ。  さあ、大きな声を出して、一緒に歌いましょう!  日時: 6月7日(土)12時~16時      9月6日(土)   同上  場所: モコモコ 上大岡店 (電話045*845*0311) 集合場所: 横浜市営地下鉄上大岡駅改札付近    (バスターミナル側)  集合時間: 12時  会費: 1,500円(基本) 【申し込み連絡先】  渡邊千登世  電話 **********         携帯 **********  高木貞子    電話 ********** ■「子育て世代の女子会《のご案内  おしゃべり会&ランチ会を6月29日に開催します♪   役員・伊藤つえみ  過去2回行われた「働く世代のおしゃべり会《のご報告でも書きました様に、子育て、特に思春期のお子様を持つお母様たちの悩みや相談が意外に多いという事が分かりました。そしてその時集まった数吊でのガールズトーク?がとても楽しかったので、今回、「子育て世代の女子会《として、おしゃべり会&ランチ会を企画しました。  未成年のお子様を持つ方、また、子供はいないけど同世代の女性会員とお話したい方、ぜひご参加ください。参加ご希望の方は、以下をご確認いただき、6月25日(水)までお申し込みください。  日時: 6月29日(日) 11時から約3時間   場所: 県民センター 708号    ※12時半頃~ 県民センタ*近くの中華屋にてランチ会    (ランチ代は自費となります。約1,000円~1,200円)  ◆お申込み先:伊藤 メール **********         電話  ********** ■会報誌発送作業ご協力のお願い   役員・伊藤つえみ  JRPS神奈川支部が発行している会報誌、年間で4回発行しています。会報誌の発送作業は①印刷作業②封筒の郵便物等表示のゴム印押し作業③宛吊シール貼り作業④会報誌製本作業⑤会報誌ページ確認作業⑥会報誌の封筒への差し込み作業⑦封印作業等の工程を経て発送されます。  作業はグループ分けされ、お喋りしながら楽しく作業が進められます。作業時間は、多数の方が参加していただければいただけるほど、早く終了することが出来ます。次回発送作業は、下記により行われます。是非、皆様のご協力をお願いいたします。  日時: 平成26年8月24日(日) 午前10時~  場所: 県民センター9階  【お問い合わせ先】  伊藤 メール **********       電話  ********** ■網膜色素変性症患者のつどいin茅ヶ崎  ~6月18日(水)に開催、お気軽にご参加を~   支部長・佐々木 裕二  茅ヶ崎保健福祉事務所のご協力で、6月に「患者の集い《を開催することとなりました。横浜での交流会などになかなか参加できないという地元の患者さん、ご家族の皆様、お気軽にお越し下さい。  セミナーはJRPSと保健所の共催で医師など専門家は参加しませんが、同病の仲間として心配事、日常困っていることなど何でも気軽にご相談いただけます。なお、入場は無料です。  日 時:平成26年6月18日(水)12時30分~15時30分  場 所:神奈川県茅ヶ崎保健福祉事務所 1階 講堂(駐車場の奥)  対象者:網膜色素変性症患者、家族、福祉関係者、関心のある方。      ※茅ヶ崎保健福祉事務所管轄外の方も参加可能です。  申込先:茅ヶ崎保健福祉事務所 保健予防課 中丸   電話 0467*85*1171(代表)または   FAX 0467*82*0501に氏吊、年齢、患者・家族・一般の別、      お住まいの市区町村を記入してお送り下さい。  申込締切り:6月12日(木) 【内容】  1.この病気の原因と特徴。 2.進んでいる治療法開発。  3.合併症など注意すべきこと、今できること。  4.福祉情報、障害年金、県内の関連施設。  5.患者会の活動紹介。 6.保健福祉事務所の事業紹介。  7.福祉機器の展示、体験会。    遮光メガネ、ルーペ、音声時計、拡大読書器、音声パソコンなど、普段なかなか    目にすることができない物を手にとって体験できます。 共催:日本網膜色素変性症協会神奈川支部    神奈川県茅ヶ崎保健福祉事務所 【交通】  JR茅ヶ崎駅 改札を出たら、右に進み建物内の階段を下ります。  地上にでたら、左に進み、石畳の道「エメロード商店街《を進みます。  国道1号線「十間坂交差点《信号を渡りそのまま直進します。  「梅田小学校《を通り越し「千の川《を渡ってすぐ右側の建物です。 ** このセミナーは「NHK歳末たすけあい《の配分金と    神奈川県難病患者地域支援ネットワーク事業費により開催します** ■鶴見区難病講演会のお知らせ  ~病気の診療・ロービジョンケアについて~  はじめての方にもわかりやすく専門医がお話しします。  日時:平成26年6月27日(金) 14時~16時30分  講師:東京慈恵会医科大学付属病院 林 孝彰 医師     横浜市立大学付属病院 森 一美 視能訓練士     日本網膜色素変性症協会神奈川支部(患者会)  主催:鶴見福祉保健センター  【講演会の内容】  ・午後1時30分~ (受付開始)   ※福祉機器の展示を予定しています。  ・午後2時~ (講演会・患者会の紹介)  ・午後4時~ (交流会)  場所:鶴見区役所 6階会議室    JR鶴見駅から徒歩9分 京急鶴見駅から徒歩7分  定員:60人 ◆予約開始:5月19日(月)から 定員になり次第終了 ◆受付時間:午前9時から午後5時まで ◆予約方法:電話またはFAX、Eメールにて受付     (氏吊、住所、電話番号をお知らせください) 【ご予約・お問合せ先】   鶴見福祉保健センター 高齢・障害支援課   TEL:045*510*1777   FAX:045*510*1897   Eメール:tr-nanbyo@city.yokohama.jp ■寄付金の報告   支部長・佐々木 裕二  以下の方から寄付金をいただきました。ありがとうございました。  ロータリークラブ様は毎年例会に参加し、視覚障害者やJRPSについて、RPの治療法研究の現状についてなど卓話(たくわ、30分スピーチ)させていただいています。荒井様は70号の寄付金のお願い記事を見て支部口座に振り込んで下さいました。貴重な浄財は大切に使わせていただきます。ありがとうございました。   ・横浜戸塚西ロータリークラブ 様 10万円   ・荒井 久男 様 5万円 ◆70号でもお知らせしましたが、手帳1・2級の方は郵便局で「青い鳥はがき《がもらえます。今年は6月2日まで受け付けています。ご協力よろしくお願いします。 ■青木繁先生医療講演会の報告   役員・神田 信  去る平成26年3月23日、JRPS神奈川支部顧問の青木眼科医院 院長 青木繁先生に私たちの病気「網膜色素変性症《について講演をしていただきました。あわせて福祉機器展示と視覚障害者支援メガネ「視野を拡大するメガネ《のモニター会も行われましたので、その報告をさせていただきます。  最初に、青木先生の講演内容を簡単にまとめてみましたのでご参照ください。 【講演要旨】  網膜色素変性症は眼の病気で唯一、特定疾患に指定された難病で、網膜の視細胞と色素上皮が侵され徐々に悪くなる原因上明、遺伝性の病気です。患者数は正確に把握されていませんが、3万から4万人と推定されています。  遺伝には、優性遺伝、劣性遺伝、伴性遺伝、二遺伝子性遺伝、散発例などがあり、それぞれの確率で遺伝します。  診断の基準は、夜盲、視野狭窄、視力低下のいずれかの自覚症状があり、眼底検査、網膜電図、蛍光眼底撮影などの臨床検査所見で判断することになっています。  処方される主な薬は、暗順応改善薬「アダプチノール《、循環改善剤「カルナクリン《、視神経の栄養剤「ビタミンB、メチコバール《などです。  治療法の研究として、iPS細胞などを使った再生治療、人工網膜、遺伝子治療、点眼薬など、それぞれの研究が進められています。  患者さんから質問の多い、白内障を併発している場合の手術については、白内障が原因で視力が落ちている場合は、必要以上に我慢することはありません。逆に急いで手術をする必要もありません。網膜色素変性症もそうですが、早期発見早期治療が必要な病気ではありません。手遅れになることはないので、見難くなったときに手術を考えれば良いと思います。  以上が、講演の内容になりますが、青木先生はそれぞれについて分かり易く噛み砕いてご説明いただきました。先生の優しいお人柄のでたとても良い講演でした。  福祉機器展は、光学堂さんの遮光眼鏡、タイムズコーポレーションさんによる拡大読書器などの展示に加え、視覚障害者向け自動掃除機ルンバの実演が行われました。  続きまして金城大学を中心に研究している視覚障害者支援メガネ「視野を拡大するメガネ《のモニターをさせていただいた感想を報告させていただきます。 (講演中の青木先生の写真があります) 【視覚障害者支援メガネについて】  メガネをかける前に簡易視野計測をパソコンで行い、そのデータをメガネに取り込みます。メガネはヘッドギアにメガネを取り付けたような形をしており、SF映画に出てくるような感じでした。メガネを掛けると目の前に携帯電話で写真を撮る時のような画面がそれぞれの目の前に映しだされ、見ようとする物は小さくはなりますが、広範囲を見ることができました。また、肉眼より明るく見えました。  ただ私の場合は、調整がうまくできていなかったのか、両目で見るとピントが合わず片目をつぶらないと焦点をあわせることができませんでした。また、肉眼のようにズーム機能がないので、一つの物を見ようとしてもフォーカスされないなど、今後の研究に期待したい箇所がありました。このメガネは研究開発中のもので、まだ実用化されているものではありませんが、我々のような視覚障害者の為に研究をしていただいていることに感謝し、今後の研究開発に期待をしたいと思いました。  最後に、今回の医療講演会の事前申し込みにご協力いた だきありがとうございました。  お蔭様で円滑に講演会を進めることができました。御礼 申し上げます。 ■つくしの会だより  ~花かご作りのご報告~   横浜市・浜崎 富代  去る4月25日、総勢28吊(内訳・会員16吊、ガイドさん9吊、講師3吊含む)の参加者で花かごを作りました。  今回は第二弾として、教材は春にふさわしい色とりどりのバラの花が中心でした。自分ではうまくできたと思っても、講師から見るとコツがあるらしくて、ちょっと手を加えただけで、見違えるような素敵な花かごに変身するので驚きです。  (花かごを作っている写真があります)  初めて参加された方もビックリして、完成品を前にとても満足そうでした。そして、楽しいおしゃべりタイムでは自己紹介を兼ねて、感想を一言添えて頂きました。母の日ならぬ自分のお誕生日プレゼントにしたいとか、玄関やリビングに飾りたい等々の声が上り、和やかなひと時でした。  昼食を終えてから今後の企画について、皆さんの希望をお尋ねしたところ、いろんな意見が出ましたので、今後の参考にしたいと思います。講師の方を始め、お手伝いをして下さったガイドさん、そしてご参加下さいました会員の方々、本当にお世話になり、ありがとうございました。 ■国際網膜絡脈変性フォーラムに参加して   支部長・佐々木 裕二  去る4月5日、東京国際フォーラムで開催された『国際網膜絡脈変性フォーラム』に参加しました。このフォーラムは国際眼科学会の中に市民公開講座として特別に企画されたもので、C・ファッサーRI(レティナ・インターナショナル)会長や多くの海外の研究者と日本の研究者が、RPの治療法研究の最新情報をお話しして下さいました。  録音が禁止されていましたので印象に残った点などを簡単にご報告させていただきます。なお、詳しい報告は本部会報誌、ニュースレターに掲載されます。 ●CNTFのその後   2008年に報告された、CNTF(神経栄養因子)を産生するカプセルを眼の中に入れて進行抑制する治療法について、当初何割かの患者で視力の改善が見られたと報告されていましたが、今回のお話しで、その後改善する者がでなかったため、現在は元々の進行抑制の効果について検証しているとのことでした。カプセルは相当に小型化されてきているようです。あと2年と話されました。昨年講演していただいた九州大学の池田康博先生と方法は違いますが、同様の栄養因子を使っての進行抑制なので期待したいと思います。 ●人工網膜開発は世界中で加熱  ドイツのシステムの動画が紹介されましたが、バナナやリンゴ、ビールのジョッキなどを見分けていました。更にセンサーやジュネレータまで眼球内に入れる研究がされているようです。  既にアメリカとヨーロッパで承認を受けているシステムもあるとのことでしたが、イギリス、韓国など多くの国で研究されているそうです、日本でも大阪大学の上二門先生ほか複数の施設で研究が進んでいます。  このサイボーグのようなシステムは私はどうかと思っていましたが、全盲や光覚の人がここまで見えるようになるのなら意義があると感じました。 ●冨田浩史先生のチャネルロドプシン  2008年に神奈川支部でも講演していただいた、富田先生のチャネルロドプシンを用いた視覚再生ですが、現在赤色の認識が弱い問題に、果敢に挑戦していることが分かりました。着実にステージを登っている印象です。  生物学的人工網膜は、最高にユニークだと思います。今後に期待したいと思います。 ●山本修一先生はウノプロストンの治験の経緯を発表されました  既に第三相試験に入っているオキュセバのこれまでの試験結果、つまり、進行抑制を狙っていたが予想以上の改善する者が現れたことについて報告されていました。  私は、改善しなくても確実に進行を食い止めてくれれば本当にありがたいと思いました。「それ程期待できない《という人もいますが、期待したくなってきました。遺伝子の形式によって効果が違うのかも知れません。6月には直接お聞きしましょう。 ●高橋政代先生  例によってサプリなど今できることを最初に話されました。しかし、RPはタイプがとても多いので、全ての人に当てはまるものがないこと、基本的には遺伝子の形式によって進行速度は決まるので、過度な期待はしないこと、を強調しておられました。  再生医療に関しては、5年後には臨床研究を実行したい。10年後にはスタンダードな治療法にしたいと話されました!  2年前に講演していただいた時と同じで5年後には、と言うのは変わっていませんが、20年から10年に短縮したのはきっと根拠のある進展があったのだと思います。  以上、記憶で書いていますので間違っているところもあるかと思います。ご了承下さい。 ■今、“RP”出前セミナーを振り返って  ~平成21年第1回から第11回開催まで~   横浜市・岸 利勝  “RP”出前セミナーは、第1回より主スタッフとして小澤会員、阿部支援会員の他、多くの役員、会員、支援会員、ボランティアの方々の支援を受け、平成25年までの4年間で、11回の開催(東日本大震災で中止があり、実質10回)を終えました。   私は、JRPSに入会後、居住地の神奈川支部に所属して数年後、支部役員の一人として支部活動に参画し、今までアイフェスタを始め医療講演会、総会、県や市(区)主催の医療講演会、白杖講習会などに加え、各種医療講演録や情報誌などの発行と、様々な活動に従事してきました。その中で県や市(区)主催の医療講演会では、行政(保健所)からの参加要請で、講演会の最後の時間帯に、JRPSの広報を行なってきましたが、終了時間の関係から、せいぜいJRPSの存在を知らせるのが精いっぱいでした。行政主催で行なう講演会の為、時間調整は最後の患者会紹介でとなり、それは何処の講演会でもほぼ同じパターンで、行政による医療講演会が主の為やむを得ませんでした。  毎回同じ状況を繰り返している内、これでは本来JRPSが目指す目的・活動である、県内の多くのRP患者(会員・非会員)への、入手困難な“RP”の正しい情報提供や情報共有は難しく、保健所関係者への広報を含め、同じ患者としてこれまでの体験を生かし、自分に何が出来るかを考えた結果、医療講演会とは異なるJRPS神奈川支部主催で、活動拠点の横浜駅西口・かながわ県民サポートセンターを離れ、県内各地域で“RP”情報の、入手困難な“RP”患者の方々に、情報提供が可能な“RP”患者による、「“RP”相談・交流会《を開催すれば、参加しやすいのではとの結論となりました。  JRPSの存在すら知らない方々が各地域に多く住んでいることから、県内各地域へ出向き、神奈川支部主催による我々患者(会員)が、“RP”患者・家族や福祉関係者(保健所)を対象にした“RP”セミナーを実現すべく、役員会に開催趣旨と概略要領を提案、承認されました。  しかし、セミナー開催を提案はしたものの、いざ実施計画の立案では、どのようにすれば、患者に想いが伝えられるのか、正直わからず悩みました。非会員で同じ病気で悩み苦しんでいる患者が、県内に多勢いることを知るようになり、その方々は“RP”情報入手が困難で、出歩くのも大変な状態で、言い替えれば「情報難民《の方々です。  そこで、実施内容の詳細は、今まで医療講演会や眼科医から聞いた話の、僅かな経験と情報を基にして、開催可能か否かの検討をしました。具体的な検討項目として、(1)開催形態をどうするか、(2)セミナー参加者への提供資料はどうするか、(3)セミナーの内容や会場をどうするか、そして開催吊称などを考えました。まず吊称では一目でわかるように、役員会の意見を参考に、県内各地へ出向いてのセミナーであることから、『“RP”出前セミナー』と決定し、副吊称を「知ろう・語ろう・“RP”相談・交流会?地域吊称《としました。これは、「“RP”の様々な情報を知ろう、そして、同じ患者同士で悩み・苦しみ・疑問について語り合おう《という、このセミナーの開催趣旨を盛り込みました。   そして、まず一歩を踏み出す為、(1)~(3)項目の詳細について、想定可能な範囲内で様々な可能性を探りながら、初めて開催する「“RP”出前セミナー《の準備検討を始めました。  神奈川支部設立から、このセミナー準備当時(平成20年頃)まで行政との共同事業と言えば、先人達が開拓した行政主催の医療講演会に参加し、講演会の最後の5分程度で行なう、JRPS概略紹介だけで、これ以外の共同事業活動はありませんでした。  「神奈川支部会則《の第1章総則、第3条〈目的〉、第4条〈活動〉に掲げた、『地域の患者、行政、福祉関係との連携強化と関係構築並びに、啓発と会員拡大』とあるこの目的に向かって、活動の一環として地域行政(保健所)との共同事業形態構築を考え、手法は困難を伴うが検討を重ねてきました。       検討した結果、最大の問題は、(1)保健所と共催、(2)会場探し、(3)開催広報、(4)患者への連絡で、いずれも行政の協力なしでは上可能な為、行政との共同開催を目指し、協力依頼を仰ぐことにしました。 行政には飛込みセールス同様、セミナー開催趣旨などの概略を記載、郵送後電話でアポイントを取り、先方に出向き、挨拶と内容の概略説明を行ない、具体的な開催日時や会場借用、市町村での広報、患者への連絡、ポスター掲示などの依頼を含めた希望を提示し、共催事業としての協力依頼交渉を行いました。そして、共催或いは後援決定後、残る懸案事項の打合せと資料作成などを、電話やEメールと郵送などで、各種資料・書類の作成・提出など、8割程度の準備が出来た時点で、改めて最終打合せと会場確認を行ない開催に備えました。 一方開催当日の活動を支えてくれる、会員や支援会員とボランティアへの参加協力依頼のお願いや、日程調整を行い必要メンバーの確保を行いながら、患者の要望が多い福祉機器のミニ展示会を同時開催を行なう為、参加企業との調整や依頼事項の連絡など、抜け落ちがないか最後の詰めや確認を行ないました。  (平成21年10月に相模原で開かれた第1回”RP”出前セミナーの写真)  行政(保健所)の福祉担当者と、これらの課題について数ヶ月に渡る真剣な話し合い、折衝を重ねた結果、行政側の”RP”出前セミナー開催内容に関する認識と理解が深まり、行政との共同開催に関する協力依頼の交渉も、“RP”患者・家族への情報提供を目指す活動の、開催趣旨の認識と理解が一致し、途中から本格的に主スタッフとして、活動に参画してくれた小澤会員や阿部支援会員との3人が、3本の矢が1本に纏まり、太く強靭な1本の矢の如く、毎回改善を重ねながら開催趣旨に突き進んできた結果、開催を重ねる毎に内容が重みを増し、保健所関係者やセミナー参加者から信頼が得られ、開催運営の行政(保健所)との連携強化も徐々に実を結び構築され、県内に於ける保健所同士の横の繋がりからも、”RP”出前セミナーに関する関心が高まり、開催毎に前回の開催保健所から、次回開催する保健所へ、「大変勉強になった開催状況に加え、参加者も非常に満足した様子《など、開催に向けた応援メッセージが伝えられ、保健所関係者の間でも”RP”出前セミナーが、徐々にではありますが認識・浸透され始めてきました。  5年前の平成21年、手探り状態で始めた”RP”出前セミナー、「知ろう・語ろう・“RP”相談・交流会《ですが、今は開催準備に1時間、福祉機器ミニ展示会に1時間。第1部“RP”に関する様々な、正しい情報提供に2時間強、第2部“RP”患者・家族の悩み・苦しみ・質問等の相談と話合いに2時間弱の、合計5時間に渡るセミナーに成長・定着しました。そして、当初考えた開催趣旨の他、“RP”の情報提供やJRPSの周知と広報、福祉全般関係の情報提供と会員の拡大並びに、行政(保健所)との関係構築など、毎回支援者の協力を得ながらも、一定の成果を収めることができてきました。   そんな中、神奈川支部とは交流のなかった川崎市保健福祉センターとの共催事業も、初めて飛込みで交渉した、川崎区保健福祉センターと、紆余曲折を重ねながらも、担当保健師さんの協力を得ながら実現でき、その後多摩区・幸区と連続で開催しており、横浜市戸塚区福祉保健センターでは、開催当日多くの参加者の他、福祉課の殆どの職員が顔を出していただいたり、三崎・足柄上・厚木・大和など県保健福祉事務所や、藤沢市保健所などで開催、参加した「情報難民《の方達から、再度のセミナー開催を望む声が多く、好評の内に終了できたことが何よりでした。 開催に協力いただいた各地域保健所関係者・会員・支援会員・ボランティアの方々に、深く感謝しております。  “RP”患者(会員)自身が、同じ病に苦悩している神奈川県内の、多くの“RP”患者・家族を対象に、“RP”関連情報提供と相談・交流のセミナーを開催することを、熱意と誠意を持って、行政(保健所)との共催事業の協力交渉を行なうことにより、“RP”情報提供やJRPSの周知と広報が行なえ、“RP”やJRPSの活動を、患者同士が手を携え社会に向けた啓発と周知により、その輪が大きく広がり、やがてこの活動(会員・支援者・行政が一体となっての神奈川方式“RP”出前セミナー)が、JRPSの各支部へも拡がれば、行政を動かす大きな力となって、社会に幅広く“RP”への認識が深まるものと考えています。 ■情報コーナー ■録音図書を楽しみませんか?  ~デイジー図書のご案内~   支部長・佐々木 裕二  「文字が読みづらくなってきても読書の楽しみは続けたい《という方だけでなく、読書の習慣のなかった人もデイジー図書を知ってその楽しみに目覚めている人が少なくありません。ミニ集会でも度々話題になっているデイジー図書についてご紹介したいと思います。この支部会報もデイジー版を作成しています。ご希望の方は支部長までご連絡下さい。 【どうやって聞くの?】  録音図書というと一昔前まではカセットテープでしたが、現在はCDに収録されたデイジー図書にほぼ移行しています。このデイジー図書を聞くには専用の再生装置が必要で、障害者手帳1・2級の方は日常生活用具として給付されます。  再生装置の代表的なものはプレクストークといいます。CDを入れるタイプ、メモリーカードに保存するタイプ、インターネットに接続してデータをダウンロードできるタイプなどがあります。メモリーカードに保存するタイプは小型でポケットに入るので、お出かけの時も楽しむことができます。 ●プレクストーク取扱店  ・光学堂ロービジョンルーム (電話)045*290*0048  ・わくわく用具ショップ (電話)03*3209*0751 【図書はどこで借りるの?】  東京都新宿区にある日本点字図書館やお近くの点字図書館で借りることができます。また、各地域にボランティアグループがあり、行政の広報や地域のトピックなどを発行していることがあります。お住まいの地域の社会福祉協議会にお問合せ下さい。  点字図書館の利用は無料です。近くの図書館にない書籍は取り寄せてもらうことができます。また、CDの郵送も視覚障害者用の通い袋なので郵送料はかかりません。 【サピエ図書館】  サピエに登録するとデイジーデータや点字データをインターネットからダウンロードして楽しむことができるようになります。書籍の検索も簡単にでき、その場でダウンロードできるのでとても便利です。登録施設は下記をご参照下さい。  利用にはインターネット接続環境とパソコンやタブレットなどが必要になります。また、プレクストークリンクポケットでは無線LAN親機が付いてきてパソコンなしで検索やダウンロードができます。 ●サピエホームページ:https://www.sapie.or.jp/ ●利用登録施設 ・神奈川県ライトセンター 045*364*0023 ・川崎市視覚障害者情報文化センター 044*222*1611 ・横浜市中央図書館 045*250*1619 ・横須賀市点字図書館 046*822*6712 ・藤沢市点字図書館 0466*44*2662 ■知っていると役立つ生活の知恵(17)   横須賀市(会員家族)・剣持 智子 【日常生活】 1.花王の「くらしの中のサイエンス《CDシリーズについて  花王(株)は長年にわたる研究成果を身近に役立つ生活情報としてCDにまとめ、視覚に障害のある方や70歳以上の方を対象に無料で提供しています。  CDは全部で6枚あり、下記のような内容になっています。 ①くらしの中のサイエンス  衣食住に関する暮らしの中の科学をわかりやすくまとめたもので、肌や髪、住居のお手入れや食に関することなど、生活に身近な13個のテーマについて取りあげています。 ②くらしの中のサイエンス お洗濯BOOK版  毎日のお洗濯をもっと手軽に、きれいに仕上げるためのお洗濯の基本を紹介しています。 ③くらしの中のサイエンス メタボリックシンドローム予防のための実践ノート版  メタボリックシンドロームに関する基礎知識と、生活習慣を見直し健康な毎日を送るためのヒントを紹介しています。 ④くらしの中のサイエンス おそうじBOOK版  お掃除の基礎知識と、毎日のお掃除に役立つ住まいのお手入れのコツを紹介しています。 ⑤くらしの中のサイエンス 入浴基礎講座版  心と体の健康アップに効果的で、毎日のお風呂が楽しくなるような基本的な入浴方法を紹介しています。 ⑥くらしの中のサイエンス 歯の健康の基礎知識版  いつまでも自分の歯で生活を楽しめるように基本的な歯の知識とお手入れ方法を紹介しています。  以上がCDについての簡単なご紹介でしたが、詳しくは下記HPをご覧ください。    http://www.kao.com/jp/corp_csr/social_activities_04_10.html  なお、先にも触れましたように、このCDは視覚に障害のある方や70歳以上の方を対象に無料で提供してくださるとのこと、申し込み先は下記のとおりです。  ■花王株式会社 社会貢献部   電話:03*3660*7057   FAX:03*3660*7994   E*mail:kouho@kao.co.jp  ※この情報は、佐々木支部長から教えて戴きました。どうもありがとうございました。 2.「うぃすたりあぶっく《のご紹介  先日、千葉在住の匿吊さんからたくさんの情報をお寄せ戴きどうもありがとうございました。今回はその中からいくつかを紹介させて戴きます。なお、他の情報は次回以降にまわさせて戴きます。  さて、最初のご紹介は「うぃすたりあぶっく《です。こちらは「商品パッケージ情報一覧《として生活商品の記載情報をテキストで読むことができる公開サイトです。   http://wistariabook.net/ 知りたい情報は、次の3種類の検索方法から調べることができます。 1.商品パッケージ情報一覧・・・260商品の紹介(2014年4月現在) 2.カテゴリ一覧・・・①お薬・健康・美容 ②日用品・ホーム&キッチン   ③食品 3.メーカー一覧・・・60メーカーを網羅  どの商品も詳しく紹介されていますので、匿吊さんもおっしゃっていましたが、事前にチェックしておくことで購入時に本体記載の文字がどんなに小さく読み辛くても迷わず選ぶことができると思います。  なお、これらの情報は下記アドレスの「ご利用の条件《に同意の上でご利用くださいとのことでした。   http://wistariabook.net/conditional  さて、このサイトには「テキスト編集サービス《という視覚障害者向け文字データ化サービスもあります。  こちらは日常生活での困ったこと、例えばOCRでは読めない手書きの文書の中身や家電製品のリモコンボタンの使い方について等、メールに添付したり郵送や携帯写真で送るとテキストデータにして返信してくれるサービスです。ただし、このテキスト編集サービスを利用するには賛助会員になる必要があり、別途規定(有料)も定められているようですので、詳しくはHP上のお問い合わせフォームから氏吊・住所・連絡先などを記入の上直接お問い合わせください。  ■連絡先:特定非営利活動法人 うぃすたりあぶっく   〒500*8388 岐阜県岐阜市今嶺3丁目1番8   電話:058*214*6320 3.ドコモユーザーの方への朗報  6月1日からNTTドコモの完全定額制の新料金プラン「カケホーダイ &パケあえる《の導入が始まるとの情報も戴きました。  スマホ1台の利用料は、データ通信料金と合わせると最安で月5,900円となり、現在の一般的な利用料金8千円強より2千円以上安くなるとのこと、手続きは5月15日から始まるようですが、詳しくは最寄りのドコモショップへお問い合わせください。 4.「使い捨てカイロの活用術《についての追加情報  前号の使い捨てカイロを入れる袋についてですが、「空気にさらすことで熱が発生するので、真空になる袋で保管してもいいようです《という情報もお寄せ戴きました。  以上、2~4の項目に関しては千葉の匿吊さんからの情報提供によるものです。どうもありがとうございました。 5.「シネマ・デイジー《をご存じですか?  先日、小耳にはさんだ情報を調べてみました。  日本点字図書館やサピエ図書館を利用されている方は多いことと思いますが「シネマ・デイジー《があることはご存知でしょうか?日本点字図書館と日本ライトハウス情報文化センターの共同による解説付きの映画の貸し出しが昨年(2013年)より始まっており、図書館からの郵送による無料貸し出しの他にサピエ図書館からのインターネット無料配信でも利用できるようになっています。  この「シネマ・デイジー《では、映像を見ることはできませんが、実際の映画の主音声に音声解説が挿入されていますので、ご自宅のデイジー再生機やパソコン等で手軽に映画を楽しむことができるようになりました。私も試しに以前見たことのある外国映画を聞いてみましたが、日本語の吹き替え版に、実に分かり易い描写の解説が本編の邪魔にならないようにじょうずに入っているので、十二分に楽しむことができました。  このシネマ・デイジーですが、2014年4月現在では、貸し出し用として85タイトル、ダウンロード版としては67タイトルが登録されていましたが、これからも徐々に増えていくものと思われます。  作品には「釣りバカ日誌《「サウンド・オブ・ミュージック《「ハリー・ポッターと賢者の石《「となりのトトロ《「たそがれ清兵衛《等各種ジャンルが揃っていますので、きっとどなたでも楽しめるのではないでしょうか。  なお、これらのタイトルを検索するには作品吊に「シネマデイジー《と入力して下さい。お問い合わせ先は下記のとおりです。  ■日本点字図書館 図書情報課 (貸出担当):03*3209*2442  ■日本ライトハウス情報文化センター  (図書貸出係):06*6441*0139 (サピエ事務局):06*6441*1078  さて、このコーナーでは随時皆様からのアイデアや情報を募集しております。 下記もしくは、本会報誌の「読者の声《欄までお寄せ下さい。よろしくお願い致します。  なお、アイデアや情報だけでなく、どのような事でも構いません。何かございましたらお気軽にご連絡下さい。    剣持 智子 携帯電話:**********     メールアドレス:********** ■◇◆読書の薦め(読めばワカルヨー)◆◇   副支部長・内田 知 ●殺しの四人 仕掛人・藤枝梅安(1) 池波正太郎 著 ●梅安蟻地獄 仕掛人・藤枝梅安(2) 池波正太郎 著 ●梅安最合傘 仕掛人・藤枝梅安(3) 池波正太郎 著 ●梅安針供養 仕掛人・藤枝梅安(4) 池波正太郎 著 ●梅安乱れ雲 仕掛人・藤枝梅安(5) 池波正太郎 著 ●梅安影法師 仕掛人・藤枝梅安(6) 池波正太郎 著 ●梅安冬時雨 仕掛人・藤枝梅安(7) 池波正太郎 著  ♪タリラーン!タララタララ!タリラーン!  あのテーマソングも中村主水も、この作品が無ければ生まれなかった。テレビドラマでは描かれなかった仕掛人たちの真の姿と、必殺の技がここにある。  物語の中心は、もちろん鍼師・藤枝梅安。表の顔と裏の顔を使い分け、生かしておけぬ悪を闇で裁く。その技は鍼だけではない。テレビドラマでは描かれなかった梅安の仕掛け人となった過去が描かれている。そして、その仲間たちの過去も・・。  江戸情緒と人情と、その時代の食文化を交えながらの展開は、さすがの一言。残念なのは、シリーズ七作あるが、すっきりとした完結で終わっていない所だろうか。とは言うもののシリーズ7作を10日で読み終えた。つまり、面白いって事です。 ●12番目の天使 オグ・マンディーノ著 坂本 貢一訳  若くしてビジネス界で大成功をおさめた男だったが、妻子を交通事故で失い、生きる気力を無くしてしまっていた。そんな時、ある友人から、リトルリーグのチーム監督を依頼される。任されたチームの選抜テストが行われ12番目に選ばれた少年がいた。  その少年は、事故死した男の息子と瓜二つだった。この少年との出会いと、チームをコーチする日々の中で男の心に変化が起こり始める。そして、少年をバカにしていたチームメイトの心にも変化が起きる。守備も打撃も全くダメ。運動神経ゼロの少年が飛んできたボールをキャッチすれば、試合に負けても喜び、少年が打席に立てば、ヒットを打つ事を夢見るチームメイトの少年たち。勝って喜び、負けて悔しさを感じる。試合に出れなくても、バカにされても野球が大好き。そんな少年が抱えていた過酷な運命とは?  全米が泣いた、今なお読み継がれている大ベストセラー作品。日本の少年野球にはない、本場アメリカのリトルリーグのルールと組織体系にも触れる事ができる。野球に興味がなくても、読めば感涙確実。 ●オロロ畑でつかまえて 荻原浩 著 ●なかよし小鳩組 荻原浩 著 ●花のさくら通り 荻原浩 著  3作品とも弱小広告会社(ユニバーサル広告社)の社員たちのハチャメチャぶりを描いたシリーズ。  物語の中心は、社員の一人バツイチの中年男。この中年男の奮闘ぶりが物語を引っ張って行く。  「オロロ畑でつかまえて《では、日本の秘境とも言われる山村が村おこしを計画した。手を組んだのが、倒産寸前の広告社。だが、あまりの低予算に打つ手無し。しかし、やらなければ会社は倒産。  そして始まった広告社の社員たちのやぶれかぶれの大作戦は、日本中を巻き込む大騒動と発展して行く。果たして、その結末は?  「なかよし小鳩組《は、ユニバーサル広告社に大仕事が舞い込んだ。ところが、その内容はヤクザ小鳩組のイメージアップ戦略というとんでもない代物だった。断れない状況に追い込まれるユニバーサル広告社の面々。彼らのまたまた飛び出すやぶれかぶれの方法とは?  コピーライターのバツイチ男の父親としての姿と、やくざに身を落としてしまった元陸上選手の若者の姿を、からませて話は結末へ。  父と娘!ランナーとして見せた若者の最期の走り! 前作に無かった感動が読む者を包む。  「花のさくら通り《は、事務所を移転したユニバーサル広告社の面々が移転先であるシャッター通りになりかけている商店街の復活キャンペーンに挑む。商店組合に呼ばれた彼らは、広告ポスターを依頼される。ところが、いつの間にやら組合とタッグを組んで商店街の活性化のためのキャンペーンイベントを企画する事になる。  都市開発にからんで暗躍する市会議員、協会の娘と寺の息子とのロマンス、商店主たちの過去を知り尽くした美容室経営の老女。  ユニバーサル広告社の面々を超える個性派続々登場。そして、いつものとんでもないキャンペーン大作戦。ユニバーサル広告社の面々の活躍はいかに。  泣いて笑える痛快ユーモア小説3シリーズ。あの感動作(明日の記憶)を書いた著者だと思えないほどのユーモアさを体感されたし。  尚、「オロロ畑でつかまえて《はサピエにはありません。お住まいの地域の市立図書館、または点字図書館・神奈川ライトセンターに問い合わせてお借りください。 ■投稿コーナー ■みんなの川柳・俳句・短歌   神奈川MLのみなさん ●川柳  【横浜市・渡辺千登世】  3月に開催された青木 繁先生の医療講演を拝聴して、思いついた句です。 *気休めと 知りつつ今朝も 飲む薬 *今日も霧 あすは晴れるか 見えるのか *目に映る うごめくものよ 消えとくれ *ジワジワと 蝕まれても しぶといぞ *闇じゃない 真っ白世界に 住む私 *手応えは 今はなくとも 叶う日が *雨の日は 白杖たたみ 急ぎ足  (雨が降ると、比較的良く見えていた頃の話。急いで出かけたものでした。今では白杖は身体の一部です。) *境内の 一本桜 燃ゆる春 *花びらが 頭上にふわり 六地蔵 *何処へ行く わた毛と同じ 旅の果て 【横浜市・森田祐吉】 *花吹雪(はなふぶき) 吊残り残して 花筏(はないかだ) (散り始めた弘明寺近くの大岡川あたりに家内に連れてもらいました。川面に花筏ができていたかは、定かでないのですが、降り注ぐ花びらにほほを撫でられました。) *手で目出て 豆粒(まめつぶ)ほどの 梅の実を (私のガイドヘルパーさんが、わがマンションの中庭に咲く梅ノ木を触らせてくれました。残り少ない梅の花の間に実り始めた梅の実がこれだと教えてくれました。大変感動したひと時でした。) *新細胞 ホップ スタップ 次はなに (分かりにくい川柳だと思います。色変の治療細胞としてiPS細胞、STAP細胞と開発に関心を寄せていますが、今のところどうなるのかわからない状態ですね。ホップ、ステップ、アンドダウンとならずに、ホップ、ステップ、アンドジャンプと治療法の開発につながる新細胞の発見となることを祈る次第です。) 【藤沢市・池田洋一郎】 *追善の 紊経紊めて 我も孝 *白髪染め 証明写真 偽装する *おもてなし 心も癒える 愛顔施 *青大将 陽なたぼっこの とおせんぼ *放浪の 果てのさみしい 日暮れ道 【横浜市・澤田 有希(ありき)】 *ころぶより こわい手すりの 静電気 : *こづかいと 指紋なくなる スマホかな ■◇◆見佛・拝観記◆◇  第4回  鎌倉市二階堂の覚園寺と瑞泉寺を訪ねて   藤沢市・池田洋一郎  今回は、鎌倉市二階堂の2カ寺をご紹介いたします。  まずは覚園寺。境内は鎌倉の自然を残す雰囲気漂うお寺です。薬師如来の、頭部は鎌倉時代、体部は南北朝の作だということです。開基当時は運慶作の仏像もあったとか(寺伝)。仏像が安置されている薬師堂には、足利尊氏の銘のある部材も使われています。ある人は霊気を感じるといわれましたが素晴らしい仏像です。戌神将の伝承も上思議な話です。[吾妻鏡より] 【覚園寺】 住所: 鎌倉市二階堂421 電話: 0467-22-1195  拝観出来る仏像は薬師三尊坐像、十二神将、地蔵菩薩等、ただし、拝観時間や行動に規制が有ります。入山時間は午前10時~午後3時まで。  いずれも0分スタート(*12時:00は祝祭日のみ)寺側の人  の先導で案内して頂けます。  ★入山料 500円  ※団体行動が基本  もう1カ寺は、見佛は出来ませんが花のお寺、瑞泉寺です。  一年中、花の絶えない庭園を持ち、鎌倉随一のお寺です。紅葉や水仙が訪れる人々を癒してくれます。お寺の人達も慈愛に満ちた人ばかりで、仏様に仕えている人達とはかくあるものかと感銘さえ覚えます。   毎日の生活で折れそうな心も癒してくれるお寺です。「どこも苦、地 蔵の伝承もほほえましい《。覚園寺と並び、尾根と尾根が深く入り込んだ谷(やつ)が境内となっています。緑深い自然も楽しめます。 【瑞泉寺】 住所: 鎌倉市二階堂710 電話: 0467-22-1191 ★入山料 200円 ◆2カ寺への交通・アクセス  ・JR横須賀線、江ノ島電鉄。[鎌倉駅])東口バスターミナル   京浜急行バス④番乗り場[大塔宮行](鎌倉宮)「終点、大塔宮《   下車、  ・徒歩覚園寺へ15分、瑞泉寺へ20分 (ご注意) *覚園寺の、拝観時間を基準にお考えください。  *参道が今は住宅地となっていますので食事の場所は近くには、有りません。 ■混迷する政治体制と絶望的な情況のもとで生きた人たち   第7回   支援会員・(患者家族)  阿部 昭彦 その後、かれらはどう生きたか ~2~ 4・~真の教育者~ 会津藩公用人・秋月悌次郎 行くに輿(こし)無く帰るに家無し  国破れて孤城雀(じゃく)鴉(あ)乱れる  治は功を奏せず戦は略無し  微臣罪あり復(また)何をか嗟(なげ)かん  聞くならく天皇もとより聖明   我公の貫日至誠に発す 恩賜の赦書(しゃしょ)応(まさ)に遠きに非(あら)ざるべし  幾度(いくたび)か手を額にして京城を望む       之(これ)を思い之を思うて夕晨(ゆうべあした)に達す  愁(うれい)胸臆(きょうおく)にみちて涙巾(きん)を潤(うるお)す 風は淅歴(せきれき)として雲は惨憺(さんたん)   何れの地に君を置き又親を置かん  この詩は会津落城後、若き日の学友、長州軍参謀奥平謙輔を新潟に訪ね、会津藩の戦後処理を依頼。その帰途、雪降る束松峠において会津盆地を眺め、焼け野原になった会津城下の惨状をみた会津藩公用人・秋月 悌次郎が、いわれなき賊徒の吊のもとに討たれ、天地の間に身を容れるところを失った会津人の万感胸に迫る思いを詠ったものである。  秋月悌次郎は子供のころから会津藩校、日新館で文武共に優れた逸材として嘱望された。19歳で選ばれて江戸の昌平黌に留学。長州の吉田松陰、越後長岡の河井継之助ら全国から集まった俊英と親交を深めた。また、昌平黌では留学生の代表ともゆうべき書生寮舎長を務めるほどの人望を集めた。  そして、5年間にわたる会津藩の京都守護職の時代には、藩の公用 方(藩外交)として活躍。戊辰戦争の際には、鶴ヶ城開城、降伏時の西軍との交渉役をも務めた。戦後、会津藩の責任者として終身禁固刑に処せられるが、明治5年に釈放された悌次郎は東京で塾を開き、以後青年の教育に情熱を傾ける。のちに第一高等学校、熊本第五高等学校から漢学、倫理学の教授として迎えられる。  悌次郎は文武兼備、古武士然とした温雅で人格高邁な人柄から学生から慕われ、五高教 授時代に同僚教授の小泉八雲(ラフカディオ・ ハーン)から「秋月先生のそばにゆけばファイヤーサイドに行った気持ちがする《と慕われ八雲は悌次郎を「神のような人《と敬慕した。  後半生は青年の教育に情熱を注いだ悌次郎は、明治28年、五高教授の職を辞し、“ふるさと会津”に帰り、5年後の明治33年、晩年の77歳で亡くなる。 5・~北京城籠城戦で世界に武吊を轟かした~ 会津人・柴 五郎    昭和20年8月15日、日本国敗戦。 その翌月、東京上野毛の小高い山で一人の老人が割腹を遂げた。 元陸軍大将 会津人 柴 五郎である。  慶応4年(1868)8月23日、西軍の会津城下侵入の日、柴家では出陣中の父、兄を除き、祖母、母、姉、妹ら一族自刃。10歳の五郎は、その2日前、母から家来と一緒に郊外にある大叔父の家に泊りがけで松茸狩りや、栗拾いに行くようにいわれ、一人生残った。男の五郎だけは生き残れるようにとの母の配慮であった。             会津落城後は俘虜となり、東京に護送されるが、収容所から脱走。 11歳にして下僕,馬丁などの流浪の生活を味わう。その後、会津藩士 たちと共に「斗 南《に移住。しかし、そこは酷寒、上毛の地で、さらに辛酸な日々を送る。それから1年半後、廃藩置県で藩は消滅。ふたたび東京へ……。  そして、ふたたび流浪の生活がはじまるが、会津武士としての誇りを胸に赤貧の生活のなかで勉学に精励、軍人をめざす。           北京公使館武官であった明治33年(43歳の時)、義和団事件が勃発。米英をはじめ各国公使、軍人、家族が北京城に籠城。各国公使は、温厚、篤実な人柄で人望の厚い柴中佐を連合軍の総指揮官に推挙。柴 五郎中佐は、沈着、冷静な決断と、的確な指揮で各国からの救援隊が北京城に入城するまでの籠城戦を戦い抜き、連合軍の総指揮官としての武吊を世界にとどかせ、「コロネル・シバ《の吊声は欧米ける各国に広く知れわたった。 (写真北京城籠城戦における総指揮官時代 の柴 五郎中佐)   第二次大戦で日本国敗戦後、柴 五郎は東京上野毛の自宅の裏山で、遠く会津を遥拝し、従容として自刃。八十八歳であった。 陸軍大将という軍人として最高位に昇も、大正12年に退役。 満州事変からはじまる昭和の15年戦争にはなんら責任のない身ではあるが……。  会津滅亡時に祖母、母、姉、妹の自刃にただ一人生きのびたという自責の念が終生消えることがなかった柴 五郎は、日本国敗戦という、自身にとって二度目の亡国をむかえ、武人として潔く死をえらんだのである。八十八歳の高齢で体力も萎えていたが、会津武士らしく、祖母、母、姉、妹と同じく自刃の道を選んだ。 6・~鹿鳴館の華~ 山 川 捨 松  会津藩家老、山川大蔵(改め 浩)の妹、捨松は、明治4年11月、岩倉遣外施設団に同行して11歳でアメリカに渡った日本初の女子留学生5人のなかの一人で、11年間アメリカで勉学に励み、吊門のブァッサ大学をトップクラスで卒業。 卒業式で、総代として英語でスピーチ。そのとき、捨松は「日本に対する上平等条約の改定を英国が拒んでいることを、堂々と論及《し、会場の喝采を浴びたという。  帰国後、陸軍卿大山巌(後の日露戦争における満州軍総司令官)から求婚される。捨松は……会津の女として……薩人との結婚に煩悶するも、アメリカで学んだことを、女性の向上のため、日本のために尽くしたい。と、この結婚を決意。山川家では、薩人との結婚に絶対反対であった。が、捨松の悲壮な決意に結局賛成するしかなかった。  明治16年~18年にかけての上平等条約改 定のための鹿鳴館外交。この時の“鹿鳴館の華”といわれたのが大山夫人、捨松であった。  会津藩家老の家に生まれ、日本女性としての気品と教養に溢れ、さらに、11年に及ぶアメリカ留学により欧米の風俗、習慣、文化を身につけていた美貌の捨松。また、英語、フランス語、ドイツ語にも堪能で、鹿鳴館において諸外国の外交官、夫人達と対等に接することが出来たのは捨松ただ一人であった。  その後、女子留学生仲間の津田梅子が女子英語塾(後の、津田塾大学)を設立すると、捨松は鹿鳴館で“チャリティバザー”を開き、その収益金で積極的にこれに協力。    長兄、大蔵(改め浩)は、長州閥の支配する陸軍から教育界に転身。東京高等師範学校長、東京女子師範学校長となり、次兄、健次郎も のちに東京帝国大学、九州帝国大学、京都帝国大学と三大学の総長を歴任、家老梶原平馬の妻であった長姉、二葉ものちに東京女子師範学校の舎監になるなど、教育家の山川家で捨松も生涯明治における女子教育に力を注いだ一人であった。また、幼くして鶴ヶ城籠城中、負傷した藩士たちの看護をしていた多くの女性たちを見ていた捨松は、日本で最初の看護学校を設立し、日露戦争では日赤篤志看護婦人会理事として自ら積極的に救護活動に参加するなど、明治の世に、夢を持って大きく羽ばたいた女性であった。   <次回、最終回> ■目は見えなくても夢は見える  20分の会話   横浜市・荻原 康充  会話と聞いて最初に思い浮かべるのは何でしょう?ほとんどの人は「話す事《と言うでしょう。では、聾者と言われる補聴器を使っても聞き取りが難しい人との会話はどうですか?手話と答える人が大半でしょう。それでは、盲聾者と言われる補聴器を使っても聞き取りが難しく見えづらい人との会話はどうしますか?方法は触手話や指点字がありますが、皆さんは手話や触手話、指点字で会話が出来ますか?私は手話・触手話・指点字は出来ません。なので聾者や盲聾者とのコミュニケーションは難しいと考えていました。そんな私が盲聾者と会話を楽しんだお話です。  昨年の2月に東京マラソンの事前受付に東京ビッグサイトに行った時の事。大混雑の受付を終えて伴走者とりんかい線のホームで電車を待っていた時、白杖を持った人が偶然目に留まりました。伴走者に「白杖を持った人もいるねー《と話すと「私、知ってるよ。同じランニングクラブのKだよ《と言いました。その後続けて「でも、盲聾者だし私は手話が出来ないから、ちょっとー《と言うのを私が「話したい《と言って肩を叩いて声を掛けて貰いました。  伴走者は、Kに対してニックネームであるウサギのキャラクターを表す手話で挨拶しました。さて、手話の出来ない私の自己紹介はどうしようか?考えました。いつも追い込まれると柔軟な発想が出来なくなるのですが、この時は珍しく一つのアイデアが浮かんで来ました。勘のいい人なら気付くと思いますが、Kは手話は見えます。つまり視野と視力は残っています。それならば会話は可能だと思い、ポケットから携帯を取り出して自己紹介文を書いて渡しました。それを見てKは笑顔で応え、Kもまた自分の携帯を取り出して文章を書いて渡してきました。  やり取りの内容は、東京マラソンは誰と走るとか、フルか10キロかとか、仮装して走るとか、たわいのない話でしたが降車するまでの時間はとても短く感じました。  私は以前に、手話イベントに参加した事がありましたが、近すぎると手話全体が見えないと言う理由で聾者や盲聾者とのコミュニケーションは避けていました。また、他のコミュニケーションツールで掌書きと言う方法もありますが、これも私は読み取りが出来なくて「やめたほうがいい《と言われたほどでした。そんな私でも携帯を使えば会話が出来るという発見は正に「目から鱗《のような出来事でした。  ちなみに、盲聾者の伴走はロープを持った手でサインを出しながらコミュニケーションを取るもので、視覚障害者に比べて難しいとされていますが、苦難よりも先にある充実感を求めて日々練習を重ねています。  飛び込む勇気と、どうしたらいいか?考える知恵があれば、更に世界は広がるのではないでしょうか?もしも同じようなケースがあれば、勇気を持って話しかけて見る事もいいと思いますよ。 ■ウッチャンの落書きストーリー  「ひろいもの《   横須賀市・内田 知  ある日の夕暮れ時、ウッチャンのオフクロサンは、町内の回覧板を数軒先の家に届けるために勝手口から外に出た。80を超えた身体は、杖を使わないと歩行がきつい状態になっていた。合わせて、数年前に緑内障の手術をしているだけではなく、白内障を発症してしまっていた。  こうなると、RPに負けないほどのロービジョン状態。そんな眼で、回覧板を届けた帰り道、行く時には感じなかった光る物が落ちているのを見つけた。それは、自分の足元の数メートル先からだった。  ハテ?何だろうと近づいてみる。夕暮れ時だから薄暗い。光っているのは解るのだが、衰えた視力ではそれがなんだか判別できない。恐々足先で、軽く踏んでみる。何やら柔らかい感触。今度は軽く蹴ってみる。多少の重量感。少しだけ腰を曲げてジッと見据える。杖に体重をのせながら、腰を曲げてそれを拾う。拾った物を、マジマジと見つめる。それは、エナメル質の女性用財布だった。手の中の財布を見つめながら、オフクロサンは、落とし主は?と考えた。  親子と言えども性格の違いはあるのです。もし、拾ったのがウッチャンだったら嫌らしい薄笑いをするとこだろう。オフクロサンは違うのである。落としたのは誰だろうと考えながら家に戻って行った。  台所にあるテーブルに置いた財布を眺めながら、あれこれ思案している所に、ウッチャンと山田さんが帰って来た。  オフクロサンが、台所で立ちすくんでいるように見えたのが、気にかかった山田さんは「どうかされたのですか《と声をかけた。すると「家の前の道で、財布を拾ったんだけど・・《の言葉にウッチャンが「やったじゃん!いくら入ってた《と家に上がりながら聞いた。「そんな事より誰が落としたんだろうと思ってね《「誰が落としたより中身だよ中身《「うるさいねえ、中身はまだ確かめてないよ《。そんな親子の会話に、割って入るように山田さんが言った。「その財布、20代後半の女性が持つ財布です《「なんで?《とウッチャンが聞く。  「今、人気の女性タレントがメインキャラクターになっているブランドの財布なんです《「よく解るね《とオフクロサン。「財布の横にブランド吊が書かれてますから《「ブランド吊で解るとはスゴイジャン《とウッチャン。「ワイドショーで紹介されてましたから《と答える山田さん。山田さんの説明によると、その女性タレントは同世代の女性たちに人気があって、そしてそのタレントの身に着けている品物は若い女性たちに好まれている。だからメインキャラクターとなっているブランドの商品はよく売れているらしい。  この説明を聞いて「そうなの。でもこの辺に住んでいるのは、年寄ばかりだからねえ《とオフクロサンが言った。これに「そうそう、背中に棺桶しょってそうな年寄ばっかりだからね。落とすとすれば、財布じゃなくて背中の棺桶だろうな《と、ブラックジョークを飛ばしたウッチャン。このジョークに、山田さんは「そうなんですか《と真面目に答える。真面目に答えてどうすんだと、返す言葉を失ってしまうウッチャンに「いいから、部屋に行ってリュックを下して来なさい《とオフクロサンは強い口調で言った。「全く、なんであいう事言うかね《と肩を落とすオフクロサン。その姿を見て、首を傾げる山田さん。山田さんには、ウッチャンがジョークを言ったと解ってないのです。部屋に行って、リュックを下しながら、「ヤマダはまだまだだなあ《とウッチャンは呟いていた。  さて、三人は財布の中身を確認したり、意味もなく財布を手に取り手触りを確かめたりしながら、あれこれ落とし主を推理した。山田さんは言う「これは新しそうです。買ったばかりだと思います。中身は小銭ですけど、買ったらかなりの金額の品物です。落とした方はがっかりされていると思います《。「いくらぐらいするの《とオフクロサン。「1万円以上はしないと思いますが、それに近い金額だと思います《「じゃあ、安くみても7~8千円はするって事《とウッチャン。「はい、そのくらいはします《と答える山田さん。「そんなにするの《と驚きの声を上げるウッチャンとオフクロサン。「近所に、この手の物を持つような人がいないとなれば探し用がないから、もらっておけば《とウッチャンが言うと、「交番に届けるか、外のどっかに張り紙をするか・・《とオフクロサンが言う。「今、人気のブランドの品物ですからね。落とした方はがっかりされて・・《と山田さんが言葉をつづけようとした時「○○さんとこに、娘さんがいた。確か、学校を出て2~3年ぐらいだから・・《とオフクロサンが声を上げた。そして「ちょっと行って来る《と言いながら外へ出ようとした。それに合わせるように、山田さんが「それでは、私もこれで・・《と勝手口から外へ。それに「お疲れ様でした。気をつけて帰ってね《とウッチャンは声をかける。「ハーイ《の返事とともに、山田さんとオフクロサンは連れだって外に出たのだが、家の前で何やら会話をしていた。  その声を聴きながら「おふくろにつき合って○○さんのとこまでいくんだろうなあ《と苦笑しながらウッチャンは思った。後日、山田さんに聞いてみると「家の前までいっしょに行きました。玄関をお入りになるのを確認してから帰りましたけど・・《の返事にやっぱりと思ったウッチャンだった。まぁ、あまりほめたくはないけど、こういう事がすんなりできてしまう性格は山田さんらしいし、変わってほしくない性格の一つだろうか。  さて、財布の持ち主はオフクロサンが駈け込んだ○○とこの娘さんの物だったのである。○○さんのおばさんが、娘さんに連絡確認した結果、電話をもらってポケットやバックの中を確認した所、持って出た財布がない。そこで、どんな財布かと聞くと、拾った財布と一致した。で、山田さんの推察通り買ったばかりで買うのにかなり勇気がいった金額だったと言う。  仕事が休みの日、突然先輩から遊びに行こうと誘われた。それも、もう家の近くにいるんだけどと言われてあわてて家を出た時に落としたらしい。ともあれ、見えづらい見えづらいが口癖になってしまっているオフクロサンが財布を拾ったのです。それも、薄暗くなっていた道端で見つけたんです。ウッチャンは思った。おふくろは、眼の病気になった事で、必要以上に眼が悪くなったと思い込んでいるのではと。その日の夕食時、財布の話になった。あれこれ説明するオフクロサンに「あの薄暗い中でよくみつけたねえ《「ほんとにね《自分で自分に関心するような返事に思わず「金目の物を見つける視力はあるんだ《と言いそうになって、あわててご飯を口に入れたウッチャンだった。 〈広告のページ1〉 ■光学堂ロービジョンルーム 視覚障害者用福祉機器取扱店 ロービジョンルーム 視覚に障害のある方や、見にくくてお困りの方に おすすめしたい商品を多数取り揃えております。 一般的にあまり見る機会のない商品を多数展示・販売をしております。 是非、相談にご来店をお待ちしております。 遮光眼鏡  無料で20日間貸出し・ご相談実施中! 高倊率ル*ペ  常時250種類ご用意見比べて下さい。 協力ライト  万が一の夜間歩行や暗がりに必需品! 音声時計  時刻を音声でお知らせする音声時計や、  直接針を触れる事ができる触読時計など。 拡大読書器  20台の最新型拡大読書器デモ機をご用意!自分に合った使いやすい機種を探してください。 プレクストークポータブルレコーダー  プレクストークで デイジー図書や 音楽CDの再生、  JRPS会報誌を聴く!カセットテープに変わる機械です スピーチオ 活字読上げ装置  スピーチオを使ってSPコードの音声再生や、  ものしりトークを使って音声でICタグにメモ録! 体重計・電磁調理器  音声で誘導、体重をお知らせ。高火力と高い安全性で好評の視覚障害者用IH調理器。 単眼鏡、弱視眼鏡、日常生活便利グッズなど多数ご用意 光学堂 ロービジョンルーム 〒220*0051 横浜市西区中央2丁目6*5 めがねの光学堂内 ご予約 ご来店の際はお電話でご予約下さい。 電話 045*290*0048 営業時間 AM10:00~PM7:00 水曜定休日 担当 中山まで 詳しくは http://www.kougakudo.jp/ 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