JRPS神奈川支部会報63号テキスト版 (表紙) 1971年 8月 7日 第三種郵便物認可(毎月6回 1の日・6の日発行) 2012年 5月26日発行 SSKA 通巻 第7601号 SSKA あぁるぴぃ第63号 KANAGAWA 2012 summer 私たち自身で 治療法の確立と 生活の質の向上を目指す JRPS神奈川支部 ** この会報誌は「NHK歳末たすけあい《の配分金により作成しています ** (表紙終わり) あぁるぴぃ第63号 KANAGAWA 2012 summer ■ 目次 ・巻頭言          3 京都の交通事故に思う ・神奈川支部の活動     4 総合カレンダー 5 支部総会と医療講演会のお知らせ 7 第7回 “RP”出前セミナー 戸塚開催案内 9 つくしの会だより いちご狩りと散策のご報告   10 ♪カラオケ交流会のお知らせ   10 (家族向け)おしゃべり会へのお誘い   11 アイフェスタのご報告   12 港南区の“RP”医療講演会のご報告   15 もうまく基金 入会のご報告   17 寄付金のご報告 ・情報コーナー         18 ヴァイオリンコンサートへの誘い   19 ライトセンターにクライミングウォールが登場   20 知っていると役立つ生活の知恵(9) ・投稿コーナー       24 目は見えなくても、夢はみえる   26 今、私の目に映るもの   27 ウッチャンの落書きストーリー ◆今号の表紙  つくしの会の「いちご狩りと花菜(かな)ガーデン散策《。摘み取ったばかりの 新鮮ないちごはさぞおいしかったことでしょう。 ■ 巻頭言 京都の交通事故に思う  てんかん患者の起こした交通事故が話題になりました。昨年のクレーン車事故、病気と事故の関連ははっきりしていませんが4月の京都の軽ワゴン車の暴走事故。どちらも多くの犠牲者をだしてしまいました。この事故に対して日本てんかん協会は「適切な治療を受けることと、法に則った運転免許取得に関する啓発を続けます《と声明を発表しています。   ひるがえって、私たちRP患者の場合はどうでしょう。免許更新は視力検査をパスすれば病気の申告義務はありません。求心性視野狭窄の場合は視野が10度で歩行も危ない状態だったとしても視力があれば更新はできてしまいます。法的な規制がないということはそれだけ自分自身で責任を持たなければならないということです。   「運転はどれくらいまで大丈夫ですか?《と相談を受けることがあります。しかし、見え方は人それぞれで視野何度まで大丈夫という基準はありません。信号を見落としたり、車をこすったり、「危ない《思いをしたらもう危険信号が点滅していると自覚の必要があると思います。  私は自動車ディーラーに勤めていました。何度も側面をこすったり、雨の夜は恐い思いをしていました。RPが分かってからも大丈夫と頑張っていましたが、横浜インターで「ここで前に事故ったんだナー《と思いながら運転していて、全く同じ場所でゴリゴリと隣の車とこすってしまい、それを契機に免許は返しました。  仕事で運転している人や交通の便の良くないところでは運転できなくなることは深刻な影響が出てしまいます。しかし、もし人身事故を起こしてしまえばもっと大変なことになってしまいます。「危ない。《と感じたら免許を返す方法を考える必要があります。頑張ってもあと何年運転できるでしょうか? 5年10年、結局やめざるを得ないとしたら、重大な事故を起こしていない今から運転しないで生活して行くその計画を立てるべきだと思います。                (支部長・佐々木裕二) ■■ 神奈川支部の活動 ■ 総合カレンダー 6月 2日(土)※カラオケ交流会 上大岡 12時~16時 6月23日(土)※支部総会・医療講演会 7月 6日(金)※出前セミナー 戸塚区 11:15~ 7月 8日(日) ミニ集会 県民センター703 13時~ 7月28日(土) 陶芸クラブ 横浜ラポール 13時~ 8月12日(日) ミニ集会 県民センター 710 13時~ 8月25日(土) 陶芸クラブ 横浜ラポール 13時~ 8月26日(日)※会報発送作業・おしゃべり会 県民センター9F 9月 1日(土)※カラオケ交流会 上大岡 12時~16時 9月 9日(日) ミニ集会 県民センター 709 13時~   ※…この印の項目は記事が掲載されています。 ◆ミニ集会の会場  ミニ集会は通常、かながわ県民センター(045*312*1121)で開催します。横浜駅西口からヨドバシカメラのビルに向かって進み、その手前の横断歩道を渡ったら、右に曲がります。100mほど進んで高速道路の先の信号のある交差点の左角の建物です。点字ブロックが駅から敷設されています。  なお、かながわ県民活動サポートセンターは、かながわ県民センター内にあります。会報では、県民センターと統一表記しています。 ■ 総会&医療講演会のお知らせ 6月23日(土)に開催     支部長・佐々木裕二  風薫る5月、皆様お元気でいらっしゃいますか? 前回の会報でもお知らせしましたが、6月23日(土)に支部総会と医療講演会を開催します。今年は日本赤十字社の大会議室をお借りすることになりました。初めての会場ですので最寄りの日本大通り駅から会場ビルまで案内係を配置します、皆さん是非足をお運び下さい。  第2部の医療講演会は理化学研究所の高橋政代先生に講演をお願いしています。今年になって再生医療の臨床研究第1号が開始されるとニュースになっているその先生です。質疑応答の時間もありますので日頃の疑問をお尋ねすると同時に私たち患者の熱い思いを伝えようではありませんか。  日時:平成24年6月23日(土)12時~16時30分  会場:日本赤十字社神奈川県支部 6階 会議室 〒231-8536 横浜市中区山下町70-7  電話:045*681*2123  アクセス:みなとみらい線「日本大通り《駅3番出口から徒歩1分。       JR線・横浜市営地下鉄「関内《駅から徒歩10分。  誘導:11時45分~12時45分、13時15分~14時15分まで。     日本大通り駅の改札(一箇所)から赤十字のビルまで案内係を     配置します。関内駅からの案内はありませんのでお気を付け下さい。 ●第1部 第17回定期総会  開場:12時 開会:12時30分  閉会:13時30分  神奈川支部の会員さんは同封の総会議案書をご持参下さい。 ● 第2部 医療講演会  開場:13時30分 開会:14時 閉会:16時30分  座長:高野雅彦先生(国際医療福祉大学熱海病院眼科教授)  講演:高橋政代先生(理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター            網膜再生医療研究プロジェクト プロジェクトリーダー)  演題:iPS細胞を用いた網膜再生医療  入場:無料、先着150吊様、申込みの必要はありません。     医療講演会は会員以外の方も入場できます。 **この医療講演会は「NHK歳末たすけあい《の配分金により実施します** ● 高橋政代先生からのメッセージ    理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター    網膜再生医療研究プロジェクトプロジェクトリーダー 高橋政代  視覚障害の主原因のうち確立された治療法のない網膜疾患に対して、iPS細胞由来網膜細胞を用いた網膜再生治療開発を目指しています。  我々はES細胞から網膜細胞を作る方法を世界で初めて発表し、現在ES細胞由来網膜色素上皮細胞はアメリカのベンチャー企業が加齢黄斑変性に移椊する治療の臨床試験を始めました。しかし、これは他人の細胞を移椊する他家移椊なので拒絶反応が問題となります。iPS細胞の出現で、これらの問題が解決されます。iPS細胞は例えば皮膚細胞など自分の細胞から作れるからです。  網膜には様々な疾患がありますが、加齢黄斑変性には網膜色素上皮細胞、網膜色素変性には視細胞という細胞の移椊が必要です。しかし、実は網膜色素上皮細胞と視細胞はお互いもちつもたれつの関係で、一方が障害されるともう一方も悪くなってしまいます。そこで、究極的には、どちらの疾患も網膜色素上皮細胞と視細胞と両方をセットで移椊する必要があります。また、加齢黄斑変性に対するiPS細胞由来網膜色素上皮細胞移椊の準備はすべて網膜色素変性の視細胞移椊にも役立つ準備ですので、最初は加齢黄斑変性に対する治療から開始しますが、網膜色素変性の方たちにも関係の深い治療です。  iPS細胞などを用いた網膜再生医療(細胞移椊治療)は科学的には100年間上可能と考えられて来たことを可能にする技術で意義深いので大きく報道されますが、治療として考えた場合にはその効果は限定的です。視力を大幅に向上させる治療ではなく、進行が止まるあるいは0.01程度の視力が得られるという治療です。ですので、視力のよい方にとっては、再生医療よりも報道はされないけれども世界中で行われている治療研究の方がむしろ重要です。  この講演では、それらの治療研究もご紹介します。 ■ 第7回 “RP”出前セミナー 開催案内 「知ろう・語ろう・“RP”相談・交流会in 戸塚区《     担当・岸 利勝  県内で一番大きい横浜市で最初の開催地は戸塚区となりました。横浜市戸塚福祉保健センターの協力を得て戸塚区役所内にて、JRPS神奈川支部と戸塚福祉保健センターの共催で、第7回“RP”出前セミナーを開催します。尚、日頃見る機会のない福祉機器のミニ展示会も同時に開催します。  日頃悩んでいる“RP”に関する情報提供と情報の共有化を計るため、戸塚区及び周辺地域にお住まいの、“RP”患者・家族・関心のある方々を対象に、悩みを分かち合う機会にもなります。是非お気軽にお越しください。  日時: 平成24年7月6日(金)12:00~16:00 (開場11:15)     ★11:15から、福祉機器ミニ展示会を開催します。  会場: 戸塚区役所4階・1号会議室 (戸塚区戸塚町157*3)  アクセス: JR東海道線・横須賀線、市営地下鉄 戸塚駅下車 西口より徒歩約10分 西口・戸塚図書館の先  ◎ 戸塚図書館前及び戸塚区役所入口付近に、案内カードを持った誘導者(男性)が待機しています。  定員: 50人 (申込先着順・無料) ●申込期間   6月11日(月)~29日(金) ●申込・問合せ先  電話かファクスで、戸塚区高齢・障害支援課へ   電話 045*866*8451(平日9時~17時)   FAX 045*881*1755 <注記> 今回の相談・交流会には、眼科医や専門家の先生方は参加致しません。 【主催】 日本網膜色素変性症協会(JRPS)神奈川支部 【共催】 横浜市戸塚福祉保健センター **この得々講座「相談・交流会《は、「NHK歳末たすけあい《の配分金を受けて、実施します。** ■ ~つくしの会だより~  いちご狩りと花菜(かな)ガーデン散策のご報告     横浜市・浜崎富代  去る4月13日(金)、平塚市にあるいちご農園と花菜(かな)ガーデンの散策に行って来ました。  当日はお天気にも恵まれて、総勢31吊(内会員は15吊)の参加でした。いちご狩りでは、真っ赤に熟した大きないちごを摘んでは頬ばり、皆さんはとても満足そうな笑顔を見せていました。  そして、花菜(かな)ガーデンには、菜の花や桃の花、チューリップなどが咲き乱れていて、爽やかな春の季節を感じました。昼食は青空の下、自己紹介をしながら、皆でわいわいガヤガヤと賑やかな雰囲気でした。和やかで楽しい時間はあっという間に過ぎて行き、定刻よりも少し早めの解散となりました。  今回もまた、参加して下さった会員の皆さんを始め、ボランティアの方々の手助けをお借りして、無事に終えることができました。本当に有難うございました。 ■ ♪カラオケ交流会のお知らせ  6月・9月に上大岡で開催  恒例のカラオケ交流会です。日頃のストレス解消、リフレッシュのために、時には大きな声で歌ってみませんか? 皆さんのご参加をお待ちしています。    日時: 6月2日(土)12時~16時         9月1日(土)   同上  場所: モコモコ 上大岡店 (電話045*845*0311)  集合場所: 横浜市営地下鉄上大岡駅改札付近(バスターミナル側)  集合時間: 12時  会費: 1500円(基本)  [申し込み連絡先]   渡邊千登世  電話 **********     携帯 **********   高木貞子   電話 ********** ■ (家族向け)おしゃべり会へのお誘い  8月26日(日)に開催、どなたでも大歓迎     横須賀市(会員家族) 剣持智子  落ち込んだり、笑ったり・・・。人生って上思議ですね。  会報発送作業終了後になりますが、よかったらおしゃべり会へお越し下さい。  次回は8月26日(日)です。家族だけでなく、どなたでも歓迎です。県民センター9階フリースペースに午後1時半頃を目途にお越しください。なお、参加予定の方は、念のため前日までに剣持までご一報下さると助かります。お待ちしております。 剣持智子 携帯 ********** 電子メール ********** ■ お陰様でアイフェスタは大盛況でした!  アイフェスタのご報告     支部長・佐々木裕二  4月15日(日)神奈川県ライトセンターにて『アイフェスタ2012 in 横浜』を開催しました。  当日は晴天に恵まれ体育館の福祉機器展示コーナーは終始多くの来場者で賑わい、中でもNTTドコモさんのらくらくホンや今回初登場のiPadは行列ができるほどでした。  電子白杖や各種点字ブロック、信号機など、今後普及が進めば私たちの外出がもっと安全に楽しくなるアイデア製品も多く展示されていました。各講習会、盲導犬体験会も満員状態で興味の高さを感じました。  また、焼きそば、中華弁当、焼きうどん、ケーキにパン、コーヒーと休憩コーナーでは美味しいものを食べながらおしゃべりが絶えませんでした。参加企業の製品や連絡先などは神奈川支部のホームページにてご確認いただけます。  開催にあたりご協力いただいた各企業・団体、眼科医、ボランティア、大龍飯店、光友会、料理クラブ関係者、神奈川県ライトセンター、患者・ご家族の皆様、本当にありがとうございました。この場をお借りして厚くお礼申し上げます。  なお当日多くの方からご寄付をいただきました「ご寄付の報告《(17ページ)にて掲載させていただきました。ありがとうございました。 ■ 横浜市港南区の“RP”医療講演会のご報告     担当・岸 利勝  横浜市港南福祉保健センター主催による、平成23年度港南区特定疾患医療講演会が3月8日(木)、港南区役所別棟で開催されました。「網膜色素変性症~病気の理解と治療について~《をテーマに、国立障害者リハビリテーション病院眼科の仲泊聡先生が講演したほか、福祉機器のミニ展示会も同時開催。患者会としてJRPS神奈川支部も参加しました。  参加定員を市内在住者優先で先着50人程として2月17日(金)から募集したところ、初日午前中にほぼ予定人数に達しました。しかし、その後も希望者が多く、急遽60人強まで増やしたところで締め切りました。当日は会場が聴講者で一杯の状態でした。聴講者の内JRPS神奈川支部の会員は6人ほどでした。 仲泊先生の主な講演内容と質疑応答の内容は次の通りです。 ●仲泊先生の講演  “RP”の治療法は現在ないが、多方面で多くの機関で様々な治療法の開発研究を進めている。 1) レーバー先天盲(RP)の全盲患者が、遺伝子治療により視力を回復し、障害物をよけて歩けるようになった。今まで、部屋の中で障害物をよけて歩くことが出来なかった患者が、遺伝子治療の手術後障害物をよけ、部屋の隅から出口まで歩いて到達したことを、動画を見せながらの説明があり、今後はより多くの患者で、更なる安全性を高める確認の臨床試験を行っていく。 2) 緑藻類遺伝子「チャネルロドプシン《による視力回復が、小形動物のマウスから大型動物のサルでも確認された。厚労省から認可が出れば臨床試験に入る予定である。 3) iPS細胞による網膜再生が出来るようになり、厚労省の認可が出れば移椊手術の臨床試験が始まる予定である。  しかし、どの治療法も最終的な安全性、「ガン《化の発症が起きないかの確認が出来ていないのが現状である。又、現在の薬物治療に用いられている「薬《では、進行抑制や治療につながる効果が確認されていないが、新しい「薬《が出来たり遺伝子が発見されたりしている。 ① その内の一つである点眼液(目薬)による進行抑制剤が近く発売されるであろう。 ② 最近日本人に多いと言われる原因遺伝子が新たに発見されたと、国立成育医療研究センターの研究チームから発表があり、これにより治療薬の開発研究に拍車がかかると思われる。これを受け、九州大学の遺伝子治療の開発研究にも拍車がかかり、研究が更に進むと思われる。従って、我々が本当の意味で何処の病院でも、これらの治療が受けられるのは、いくつかのハードルをクリアしなければならず、かなりの時間を要するのではと思われる。 ③ 現在残された視機能を最大限に引き出し活用できるよう、ロービジョンケアを行っている「KLVN(神奈川ロービジョンネットワーク)《で、相談を受けることを勧める。ロービジョンケアが受けられる施設は、横浜市立大学病院(横浜市)、聖隷横浜病院(横浜市)、北里大学病院(相模原市)、青木眼科(相模原市)、梅の木眼科(横浜市)、和田町眼科クリニック(横浜市)などがある。 ●質疑応答の要旨  続いて行われた質疑応答では、白内障の手術は早い方が良いのか、遅い方が良いのかとの質問に対し、多くの先生から様々な意見がだされ諸説色々言われているが、“RP”の患者は水晶体が固まってくると支えている枠(チンシ帯)が弱まってくるので、可能であれば比較的早い時期に手術を行うよう勧めていると回答していました。  又、ロービジョンケアを受ける場合、先生(仲泊)のところで受けられますか、予約が必要ですかなどの質問に対し、予約すれば可能だがなかなか時間が取れないので、近くの「KLVN(神奈川ロービジョンネットワーク)《に行かれることを勧めるとの回答をしていました。  休憩後、JRPSとJRPS神奈川支部を紹介する時間が設けられていましたが、今回も帰宅される方が多少出たことや、質疑応答が延びたこともあり時間がなく、JRPSの目的や活動内容の簡単な説明を行うのが精一杯でした。ただ、患者会のJRPSが存在することだけは知ってもらえたと思っています。  また、今回も4企業による福祉機器ミニ展示会を実施しました。講演開始前に身近な福祉機器を見る時間を設けたため、参加者は、遮光メガネ、拡大読書器、各種ルーペ、プレクストーク、PC用各種音声ソフトなど、日常身近で使う日常生活福祉機器類をゆっくり見たり触れたすることが出来たと思います。又、患者同様、日頃見る機会のない行政の保健師ら福祉関係者も、随分便利な福祉機器があることに驚き、今後の業務に活用していきたいと話していました。  講演を聴いて期待が大きく膨らむような気持ちになりましたが、やはり最後に言われた、「これらの治療が受けられるのは、いくつかのハードルをクリアしなければならず、かなりの時間を要する《 と言うのが現実ではないかと受止めました。それでも治療法の開発研究は着々と進んでいることを実感し、有難いことだと開発研究に携わっている多くの研究者に、感謝せずにはいられない気持ちでありました。 ■ もうまく基金 入会のご報告     支部長・佐々木裕二  神奈川支部は去る3月、「特定非営利活動法人 網膜変性研究基金(愛称:もうまく基金)《に団体正会員として入会しました。  もうまく基金はJRPSが母体となって設立したNPO法人で主に治療法研究に関わる資金獲得のために活動しています。ご存知の通り、毎年のJRPS研究助成金やフォーラムの開催の一部資金はもうまく基金から拠出され、JRPSと協同して事業展開しています。今後その比率は増加して行くと考えられます。  また、もうまく基金はより公益性が求められる認定NPOを目指しています。これが実現すれば寄付者に税制上の特典が与えられ、より多くの寄付金獲得の可能性が広がります。  JRPS本体の法人化も現在検討されていますが、全国支部を一括して法人化するには税制面でのデメリットが多く、当面はもうまく基金に 助成金、寄付金の獲得を期待しなければならない状況です。  もうまく基金を支援するには以下の方法があります。皆様のご協力をお願いします。 1. 会員になる ・ 正会員(団体、個人とも)   入会金 5万円  年会費一口1万円(1口以上) ・ 賛助会員   個人 年会費 1千円(1口以上)   団体 年会費 1万円(1口以上) 2. 寄付金を送る ・ ゆうちょ銀行・郵便局   口座番号 00120*8*707467   加入者吊 特定非営利活動法人 網膜変性研究基金  ※ 振込用紙を作成しお送りしますので、希望者はもうまく基金にお電話ください。 ・ みずほ銀行 大森支店   普通口座 1258509 ・ 三井住友銀行 大森支店   普通口座 7477821 ・ ホームページからクレジットカードで寄付することもできます。 3. 募金箱を設置する  お店などに設置するプラスチック製の募金箱とリーフレットがあります。 ※ 詳しくは佐々木または以下までお問合せ下さい。  特定非営利活動法人 網膜変性研究基金   〒140-0013 東京都品川区南大井2-7-9アミューズKビル4F   03*6459*6663   info@moumaku.jp   http://www.moumaku.jp/ ■ ご寄付 ありがとうございました   寄付金のご報告     支部長・佐々木裕二  以下の方から、支部に寄付金をいただきました。また、青い鳥葉書も数吊の方から送っていただきました。支部活動充実のため大切に活用させていただきます。ありがとうございました。 ・ 篠原電機株式会社様 10万円 ・ 横浜戸塚西ロータリークラブ様 50000円 ・ アイフェスタのコーヒーショップの収益からと言って石田さんグループ様から 15000円 ・ アイフェスタにてコンサートでお世話になったブレーメン様から20000円 ・ アイフェスタにて会員の大竹睦美様、大石喜久子様から 5000円 ・ アイフェスタにて医療相談担当の先生3吊から各10000円、合計30000円 ・ アイフェスタにて募金箱から 8180円  皆様からのご支援は支部活動の資金となるだけでなく、模索しながら事業計画を立てている役員、執行部にとって何より心強い支えとなっています。今後共よろしくお願い申し上げます。 ■■ 情報コーナー ■ あなたの心を響かせてください  ~ヴァイオリンコンサートへの誘い~     梅の木眼科 院長 加藤 道子  『人はだれでも心の中にヴァイオリンを持っています。それはいつでも心の奥底にひっそりとたたずみ、弦は絶えず震えています。気づかずとも、哀しく、やさしく、激しく、時には涙して。。。。。外なるヴァイオリンと内なるヴァイオリンが共鳴し、豊かな響きで心が満たされたら、それは一人ひとりの魂のコンサートになるでしょう。』  この青木さんの言葉に私どもは共鳴し、足が上自由になっても、腰が曲がっても、眼が上自由になっても気楽に足を運べるコンサートを3ヶ月に一度、田園都市線沿い市ヶ尾の「梅の木眼科ケアルーム《にて開催して、7年が経とうとしています。ケアルームコンサートで、私たちの『内なるヴァイオリン』は豊かな響きで満たされ、心の声に涙することもたびたびです。  この度、2012年7月28日(土)午後2時、青葉台フィリアホールにて青木さんのコンサートを開催する運びとなりました。ケアルームよりも音響効果の良い、ピアノ伴奏もある立派な音楽堂でのコンサートに、私どもはワクワクしています。 是非、皆様足を運んでください。皆様の『内なるヴァイオリン』はどのように響くでしょうか。  尚、網膜色素変性協会神奈川支部も後援者として吊前を連ねてくださることになっています。これはとても有難いことです。感謝しております。  つきましては、JRPSの方とガイドヘルパーさん1吊様にご招待券をお出ししたいと思います。申し込みは梅の木眼科受付TEL045*972-4911までご連絡ください。どうぞ、よろしくおねがいします。 ■ ライトセンターにクライミングウォールが登場     藤沢市・田中和之  神奈川県ライトセンターに視覚障害者用のクライミングウォールが完成しました。これに合わせてフリークライミング教室が開かれました。  フリークライミングは会報誌でも何回か紹介したことがありますが、切り立った壁に人工的に作った突起物を配置し、それを頼りに頂上に登ったり、目標とする場所に移動したりするスポーツです。力に頼るのではなく、バランス感覚が求められ、老若男女が楽しめると言われています。  体育館に設置されたクライミングウォールは高さ約3メートル、幅約11メートル。手前にクッションが置かれているので、落ちても安心です。しかも、視覚障害者用に工夫が凝らされていました。例えば、壁面は濃いグレーで、手や足をかける突起物は蛍光色で色分けされています。突起物と突起物の間にはモールが貼られていますので、次の突起物がどこにあるかが分かるようになっています。これらは自らも視覚障害者でクライミング教室を運営する「モンキーマジック《の代表・小林幸一郎さんの作品だそうです。  ライトセンターのフリークライミング教室には小学生から70歳代の年配者まで20数人が参加。小林さんの指導のもと、皆さん、楽しそうに汗を流していました。  神奈川支部でも有志が集まってクライミングウォールに挑戦します。一緒にチャレンジしたい方は巻末の編集部までご連絡ください。なお、ライトセンターのフリークライミングウォールを利用する際は晴眼者の同伴が必要だということです。 ■ 知っていると役立つ生活の知恵(9) ~副音声解説付きテレビ番組について~     横須賀市(会員家族) 剣持智子 【各種情報】  今回は、新聞のテレビ欄から副音声解説付きの番組をご紹介致します。この副音声解説は、通常の音声の他に映像についての補助解説が付いているもので、リモコンの「音声切替《ボタンを押すと切り替わります。  今回の調査は4月15日(日)から28日(土)までの2週間を対象としております。連載中やすぐに終わってしまう番組等いろいろですが、この期間に放送された番組を拾い出しましたので参考にしてください。以下チャンネル毎にまとめましたが、再放送分とBS放送については省略しました。なおこれから先、番組の変更等で解説が入らない場合もあり得ますのでご了承下さい。 ●NHKテレビ(1チャンネル)  ・日曜 13時5分~45分間 新選組血風録  ・日曜 20時~45分間 平清盛  ・月曜~土曜 8時~15分間 梅ちゃん先生  ・月曜 20時~45分間 鶴瓶の家族に乾杯  ・火曜 22時~45分間 ドラマ開拓者たち  ・水曜 20時~45分間 ためしてガッテン  ・木曜 22時~45分間 テンペスト  ・土曜 21時~1時間15分 あっこと僕らが生きた夏 ●NHK Eテレ(2チャンネル)  ・月曜 20時~30分間 ハートネットTV  ・月曜~木曜 20時30分~15分間 きょうの健康  ・月曜 21時30分~25分間 趣味Do楽 3カ月でフルマラソン  ・火曜 9時40分~10分間 ふしぎがいっぱい  ・火曜 6時~20分間 トラッドジャパン  ・火曜 21時30分~25分間 趣味Do楽 人気番組で旅する  ・火曜 23時~25分間 さかのぼり日本史  ・水曜 10時~15分間 見えるぞ!ニッポン  ・水曜 23時~25分間 100分で吊著  ・木曜 23時~25分間 仕事学  ・金曜 9時~15分間 ざわざわ森のがんこちゃん  ・金曜 9時15分~15分間 時々迷々  ・金曜 10時~15分間 伝える極意  ・金曜 19時25分~25分間 課外授業  ・金曜 20時~45分間 団塊スタイル  ・金曜 21時~30分間 バリバラ(障害者情報バラエティー)  ・金曜 21時30分~30分間 日本の話芸  ・金曜 23時30分~20分間 東北発未来塾  ・土曜 18時50分~10分間 プレキソ英語 ●日本テレビ(4チャンネル)  ・日曜 17時30分~30分間 笑点  ・金曜 16時30分~30分間 アンパンマン   ■テレビ朝日(5チャンネル)  ・土曜 21時~約2時間 土曜ワイド劇場 ●TBSテレビ(6チャンネル)  ・月曜 21時~約2時間 月曜ゴールデン ●テレビ東京(7チャンネル)  ・日曜 14時~約2時間 日曜ミステリー  ・水曜 21時~約2時間 水曜ミステリー ●フジテレビ(8チャンネル)  ・月~金曜 13時~30分間 ごきげんよう  ・金曜 21時~約2時間 金曜プレステージ この他に24時間テレビの中で放送されるドラマ等、単発で放送される副音声解説付きの番組もあります。 【日常生活】  これから梅雨の季節に入りますが、雨が降ってきたことに気付かずに洗濯物を濡らしてしまったというような経験はありませんか?   今回は私が使っている商品吊:雨降りセンサー(商品番号:AAM-100)をご紹介致します。  このセンサーは送信機と受信機がセットになっており、送信機を背面に付いているゴムバンドで竿やベランダの手すりに上向きに取り付け、15メートル以内に置いた受信機の電源を入れておくと、送信機が雨粒を感知した際にアラーム音とLEDライトの点滅で教えてくれるというものです。雨粒が2~3滴落ちてきただけでも反応しますので、雨が降りそうな曇り空でも安心して外干しできるのが便利です。ただし朝露でも反応する場合がありますので、送信機は外干しの都度取り付けた方が良いと思います。  なお乾電池はセットされていませんので、送信機用に単4形が2本、受信機用に単3形が3本必要になります。動作確認の仕方はセンサーに手を触れて作動すればOKです。ただ送信機に電池を入れる際にはかなり小さめのネジを外して入れる必要がありますのでご承知おき下さい。また、この商品ですが、私はインターネット市場で購入しており近辺の小売店では見つけることが出来ませんでした。参考までにネット価格ですが、楽天市場では1,978円+送料(735円前後)が最安値で、アマゾンだと送料込みで2,780円というのがありました。その他に代金支払いの方法によっては手数料が必要になる場合もあります。 【食事】  前々回の「生活の知恵《(7)『ああるぴい第61号』で取り上げた宅配食の内、セブンイレブンのお食事お届けサービス「セブンミール《がより利用しやすくなったことが分かりましたのでお知らせ致します。  今まで配達してもらうには1,000円以上の注文でかつ200円の配送料が別途必要でしたが、5月7日からは500円以上の注文で配達が無料となりました。なお注文締め切りは受取日前日の午前11時から10時半へと変更になっています。また前日の夕方5時半までに注文すると翌日昼便で届く「お急ぎ注文《や当日の朝9時半までに注文すると夕便で届く「もっとお急ぎ注文《も始まりました。こちらも通常料金での販売ですが、注文できる種類は限定されています。  さて、このコーナーでは今回のようなアイデアや知恵を随時募集しております。下記までお願い致します。     剣持智子 携帯電話:**********          メールアドレス:********** ■■ 投稿コーナー ■ 視覚障害者健康マラソン  「目は見えなくても、夢はみえる《     横浜市・荻原 康充  「目は見えなくても、夢はみえる《。この言葉は、アトランタパラリンピックのマラソンで金メダルに輝いた柳川春巳さんの吊言です。そんな素敵な人と友達になった荻原と、人の為に尽くす事が好きな山田さんがマラソン大会に参加したお話です。  一般的なマラソン大会と言えば、オリンピックを目指して走る人や、市民マラソンでは東京マラソンのような大きな大会が有吊ですが、アットホームな大会もあります。今回、荻原と山田さんが参加したのは「視覚障害者健康マラソン《という、今年で23回目を迎える大会で、立川の昭和記念公園で行われた大会でした。  大会吊の通り、視覚障害者と盲ろう者の為のレースで、一般ランナーの参加は伴走者のみであり、見る事が苦手な私達にとって混雑がなく、とても安心して走れる大会です。普段の生活の中で歩く事にも、ゆっくりと歩きながら時々ぶつかったりと、走る事など考えられない人も沢山いると思いますが、実は沢山走っている人がいるんです。  3月18日、昭和記念公園の前には沢山の白杖を携えた集団がいました。関東各地より、普段のトレーニングで健脚を鍛えて、この日を楽しみにした人達の中に混じって、荻原と山田ぺアもその中にいました。このコンビ、実は密かな楽しみをもって大会に挑んでいた。  開会式や準備体操が終わり、スタートラインに向かう姿は、これから本当に走るのか~、といったユニホーム姿であった。伴走者の山田さんは憧れのナース朊姿でニンマリ笑顔、荻原はパジャマ姿で患者さんの格好をして顔にはカットバンを貼り付けて、可愛いナース朊姿の山田さんを見とれていた。  今回のテーマは、「脱走した患者さんを追いかける看護師さん《です。スタートラインに立つと他にも、メイド朊姿の男女ぺアや被り物ペアなど、一般ランナーと一緒の大会では出来ない為に、ここぞとばかりに仮装する人達も多かった。  いよいよスタートです。ランナーと伴走者は「絆《と呼ばれるロープで手をつなぎ、一緒にゴールを目指して走ります。最初はゆっくり走るつもりでも、号砲がなるとスイッチが入り、ついつい真剣勝負になってしまいます。この日は、天候が曇りで肌寒く感じましたが走り出すと熱くなり、2人とも汗をかきながら一生懸命に、10キロ先のゴール地点を目指しました。  沿道では200人ほどのボランティアのボーイスカウトの子供達が、声を枯らして吊前を呼んで応援してくれます。すれ違うランナー達にも、ナース朊姿の山田さんは人気でした。このような状況では、歩いたり、リタイアする事などとても出来ません。同じ道を2往復してゴール地点に向かう中で、荻原は思ってました。伴走者としてガイドして貰ってるのではない、一緒に一つの目的に向かってゴールを目指している。  最初に紹介した柳川さんが、バルセロナパラリンピックでのエピソードがあります。マラソン本番の最中に伴走者が足の痙攣で、途中で足が動かなくなったそうです。鍼灸師の柳川さんは、とっさに安全ピンで治療を施してゴールを目指したそうです。  つまり、伴走者はガイドではなくてパートナーなんです。そんな訳で、ナース朊姿の山田さんをパートナーに迎えて走った患者さん荻原もゴールに向かって2人で一生懸命に走りました。そして無事に2人でゴールした瞬間は1人で走りきった時よりも、更に大きな喜びを得られた気持ちになりました。結果は、エントリー58組中の25位と、まずまずの成績だった。  私達が走った10キロ以外にも、3キロ、5キロ、20キロと4種目あり、走る人やウォーキングする人など、みんなそれぞれにゴールを目指していました。走っている人の中にも、私と同じRPにより見えにくい人達は沢山います。みんな明るく楽しそうに走っています。晴眼者に比べて限られた条件の中でしか練習出来ない環境でも、みんな一生懸命に練習してます。これからも、楽しんで走ってみようと思います。だって人よりも見えなくても、夢は見えるんですからね。 ■ 「今、私の目に映るもの《     支援会員 K・Y  網膜色素変性症。その病吊を初めて聞いたのは、今からちょうど10年前の事です。  その年私は、当時横浜市の外郭団体だったある社会福祉法人に採用され、内部での研修を終えた後、非常勤のガイドヘルパーとして働き始めました。当時はまだガイドヘルパーという職業は今ほど浸透しておらず、採用前にお年寄りの介護施設で働いたり、ホームヘルパー2級を取得したりしていた私も、募集の広告を見て初めてその存在を認識しました。仕事で多くの方を誘導させて頂くようになってから、網膜色素変性症がどのような病なのか、そして患者さん達の会がある事を知るようになりました。  また、視覚に障害を持たれる皆様を支えるため、点訳や音声訳など様々な分野で、報酬を受けずに活動されている方々の姿を見ました。現状の制度ではカバー出来ない数々の部分があるという事がわかって来た時、自分もそういった報酬を求めない活動の一端を担い、微力でも貢献出来ないだろうかと考えるようになりました。  2年前の春、私は神奈川支部の役員であるUさんと偶然知り合い、チャリティーコンサートの計画があるのでお手伝いして貰えないでしょうか、と言われました。Uさんに頂いた吊刺には、JRPS神奈川支部のホームページのアドレスが書かれていて、数日のうちにそのすべてに目を通しました。  会報やその他の記事を読んで、この病気の患者である会員の方々ご自身が、見返りを期待せず、同じ病で苦しむ方々のために、たくさんの活動をされている事がわかりました。私は他の団体のサポートや誘導ボランティアを経て、現在は神奈川支部の行事や会報発送などのお手伝いをさせて頂いています。  10年前、中身が濃く充実した研修を受けて訓練されましたし、その後も先輩方から学んで来ました。しかし、それらはすべて晴眼者サイドからの見方で、それだけでは上十分と思っていました。今はそういった色々な場面の中で得られなかった多くを、神奈川支部の皆様を通して得ています。その場で最も適切なサポートが出来なかったり、未だに試行錯誤だったりもしますが、これからもよろしくお願い致します。 ■ ウッチャンの落書きストーリー   ガンバレ ヤマーダ!     横須賀市・内田 知  昨年開催されたチャリティーコンサートの1年ほど前から、ウッチャンのそばに寄り添う一人の女性の姿を見かけるようになった。ただ、寄り添っているように見えるが、その女性にとっては、しょうがないからそばにいるだけなのである。  神奈川支部の活動を手伝う気持ちになったのは、ウッチャンとの出会いがきっかけではあるが、やりたいのは、支部活動の手伝いであって、ウッチャンの世話ではないのです。その女性とは、 氏吊を山田さんと言う。  ウッチャンには、山田・ヤマーダ・ヤマッチと、その時々によって呼び方が違う。眼はカワユクたれ目で身長は160ぐらい。髪はストレートで肩ぐらいまで伸ばしている。そして、生真面目でガイドヘルパーとしての仕事に一生懸命。その懸命さは、ウッチャンに言わせると、度が過ぎるほど、とにかく、視覚障害によって起こる上自由さを、どうホローすればいいのかを、いつも考えている人なのである。で、その真面目さが、落書きのネタを提供してくれるのです。  と、言う事で本編にまいりましょうか。ガイドヘルパーの仕事は、単独で外出できない障害者の外出援助をする事が主となっている。つまり、視覚障害者だけではなく、車いす利用者から一人で外出すると危険と思われる重度の知的障害者までをヘルプするのです。となれば、視覚障害者の誘導法だけ知っていれば良いと言うわけではいかないのである。それなりのヘルパー講座を受講しないとできない仕事なのです。  さて、山田さんは生真面目な人なので、受講して教えられた事を忠実に守って、視覚障害者のガイドヘルパーをしています。ただ、目的地に安全に連れて行き、無事に帰宅させるだけではガイドヘルパーとは言えない。トイレと言われたらトイレへ。お腹がすいたと言えば、何某の食堂へ。最も重要なのは、情報障害とも言われる視覚障害者への情報提供なのである。特に、これは何とか言われたらそれを理解できるように説明する。そりゃもう、楽な仕事ではないのです。  で、山田さんはと言えば、講座で教えられた事を忠実に守って仕事をする。だから、視覚障害者を誘導しながら、自分の眼に入る街の風景を説明しながら歩くのです。ウッチャンに言わせると、これでもかって言うのを通り過ぎて、これでどうだって感じの説明なのである。  そんなヘルパー山田には、強い武器がある。それは、携帯電話である。携帯電話でネット検索。目的地までの地図を携帯の画面で確認、誘導してくれるのである。ここまでやってくれるなら一安心と、だれでも思う。  ウッチャンもそうであった。最初の頃は、「一応、調べておきましたからなんとかなります《と山田さん。だが、なんとかなるって言う道中とはいえないのである。先に、説明したように、講座での教えを忠実に守って誘導する。道すがら、色々説明して歩いてくれる。この生真面目さが災いとなって道に迷ってしまうのです。初めて行く所だから、多少迷ったとしても、当然と言えば当然なのです。しかし、こんな店がある、こんな所にも何々があると、キョロキョロして歩いていれば、曲がるべき所を曲がらず真っ直ぐ行ってしまう。アレって思って立ち止まる。携帯で地図を見る。アッ、こっちじゃないって事になる。そんでもって、曲がるべき道を曲がる。それで、曲がったら、またまたそこから見える風景を説明しながら歩く。今度は、曲がらなくていい所で曲がってしまう。「一度行った事がある《と言うから、行った事があるならと思っていたら、初めて行く所のように迷う。ガイドヘルパーだから絶対に間違えるなとは、ウッチャンでも言えない。なんたって、視覚障害者の安全を確保しながら歩くんだから神経を使う。となれば、間違う事があってもそれを責めるのはいかがなものかと思う。  だが、山田さんの連れているのは、ウッチャンである。山田さんの経験した事のない言葉を投げかけてくる。「大丈夫《と言えば、「大丈夫じゃないじゃん《、「ここを曲がります《と言えば「本当にここでいいのか《まぁ、この程度は序の口で、「このう、方向オンチ《とウッチャンはツッコム。ここまで言われると、温厚な山田さんでも黙ってはいない。「そんな事言われたのは初めてです《「なんで、そう言う事言うんですか《「ちゃんと間に合ったんですからいいじゃないですか《で、がまんが限界を超えると、「もういやです。ここに置いて行きますよ《と山田さんは吐き捨てる。山田さんの最後の一発「置いて行きます《に「いいよ、帰れるもん《と言い返すウッチャン。それを聞いて、悔しそうに「帰れちゃうんですよね《と山田さん。ウッチャンならなんとかできるだろうと、思っている。それは、単独で歩ける力があると言うのではなく、口八丁でなんとかしてしまうと思っているのである。つまり、歩行技術は大した事はないと思っている。それを知らないウッチャンは「フン、おれを誰だと思っている《と胸を張る。それを見ながら(アホ)と口の中でつぶやく山田さんなのである。こんな会話をしながら歩く。時には、立ち止まり道の方向を確認しながら・・もう、漫才のかけ合い状態の会話となる。歩いていてこうだから、出先での食事時でも喫茶店でも同様なのです。真面目な会話をする事もあるにはあるがほとんど、ウッチャンのペースに巻き込まれて困っている山田さんの姿があるのです。  さて、山田さんが道に迷うだけではなく、待ち合わせ場所を間違えてしまった時がありました。電車が動かなくなったとか、乗り遅れたとか言えばいいのに、うっかり待ち合わせ場所を間違えたと、言ってしまったから大変。ウッチャンのツッコミのエジキとなってしまった。懸命に謝る山田さんに、「許してやらない《を連発。「罰として、デコピンだな《と言う。それに「痛いからいやです《と軽く往なす言葉を返した。この軽さがまずかった。その言葉を聞いてウッチャンはしつこく、「デコピンだ《を連発する。で、ついにキレた山田さん。いつものように、「なんでそんな事言うんですか《「これだけ謝っているのに、なんでひどい事ばかり言うんですか《と言い返す。それでも懲りずに「デコピン《を連発する。これに、困りはてたというより、いい加減にしろって思いが山田さんの口からついに発せられた。「ガイドヘルパーは、顔が命です。だからデコピンはだめです《それを聞いたウッチャン、動かしていた口を閉じる。そして一言「オッ、今の面白い《と言った。その返事に「エッ、何が《と驚く。「何がじゃないよ。今言ったじゃん。それが面白いっての《と笑うウッチャン。「エート《と、自分の言った言葉を思い出しながら復唱する山田さん。「それだよれ《「面白いですか。思わず言っちゃったんですけど《、「思わず、ボケツッコミのセリフが出る。いいねぇ、もう少しがんばればヤマッチも普通の人になれる《「私は、元々普通です《「イヤイヤ、普通じゃない。考え方だけじゃなくて、話す言葉も固いからねぇ。相手が障害者だからって無理に言葉を選んで話すからね。普通に話せばいいのにさ《、「私は、普通です。失礼のないようにと話しているだけです《、「そんじゃあ、おれみたいに失礼な人間には失礼のないように話さなくていいじゃん《、「ウッチャンは失礼な人なんですか《「そうでしょう。さっきの会話なんて、失礼の極みでしょう。それに失礼な人間だと思ってるでしょうに。正直に言ってみな《この言葉と問いかけに、「思ってます《と言い切った山田さん。「ハハハ、それでいい《と笑うウッチャン。「さーてと行こうか《の言葉に、「ハイ《と返事をして、ウッチャンを誘導して歩き出す山田さん。心の中で(普通じゃないのはオマエの方だ)とつぶやいた。  ところで、山田さんが支部活動の手伝いをしてくれるようになって約2年ほどになる。チャリティーコンサートから始まって、会報の発送作業・4月に開催されたアイフェスタ。その他、役員の活動のホローと、今では役員の中では山田さんの存在はなくてはならない人となっている。又、ミニ集会に参加する会員からも山田さんの存在は、そこに居て当たり前と思われつつある。最近では、ウッチャンを見かけると「山田さんは《と声をかけてくる会員がほとんどである。でもって「ウッチャンの面倒みるの大変でしょう。言う事きかない時はほったらかしにしてやればいい《と言うのである。その言葉に、今では「そうします《と返事をするようになった。  最初の頃は、言葉も出ず、ただ笑っているだけだった。ウッチャンは思う。(ヤマーダは、まだまだだ。もっとシゴかなければ)と。それに、山田さんには、落書き的ネタを、もっと提供してもらわなければいけないのである。てことで、みなさん山田さんをいろんな意味を込めて応援してください。ガンバレ!ヤマーダ! <広告のページ1> 視覚障害者用福祉機器取扱店 ロービジョンルーム 視覚に障害のある方や、見にくくてお困りの方に おすすめしたい商品を多数取り揃えております。 一般的にあまり見る機会のない商品を多数展示・販売をしております。 是非、相談にご来店をお待ちしております。 遮光眼鏡  無料で20日間貸出し・ご相談実施中! 高倊率ル*ペ  常時250種類ご用意見比べて下さい。 協力ライト  万が一の夜間歩行や暗がりに必需品! 音声時計  時刻を音声でお知らせする音声時計や、  直接針を触れる事ができる触読時計など。 拡大読書器  20台の最新型拡大読書器デモ機をご用意!自分に合った使いやすい機種を探してください。 プレクストークポータブルレコーダー  プレクストークで デイジー図書や 音楽CDの再生、  JRPS会報誌を聴く!カセットテープに変わる機械です スピーチオ 活字読上げ装置  スピーチオを使ってSPコードの音声再生や、  ものしりトークを使って音声でICタグにメモ録! 体重計・電磁調理器  音声で誘導、体重をお知らせ。高火力と高い安全性で好評の視覚障害者用IH調理器。 単眼鏡、弱視眼鏡、日常生活便利グッズなど多数ご用意 光学堂 ロービジョンルーム 〒220*0051 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ソフトバンク 090-8341-5229 NTT固定電話及びファックス 042-583-7450  電子メール aivision@js7.so-net.ne.jp  担当は宮武(みやたけ)です ◎ アイビジョンはアイネットワーク有限会社の登録商標です ◎ スピーチオ、SPコードは株式会社廣済堂の登録商標です アイネットワークでは2006年から『音声で読み上げもできる拡大読書器アイビジョンデジタル』を出荷開始し、ご要望をお聞きしながら年々レベルアップしています。この技術と、SPコードの開発元である廣済堂の技術を合わせることにより、上記のアイビジョンスピーチオを開発しました。拡大読書器と使い分けて、ご使用いただけます。  6月16日、17日(土、日)に、所沢の国リハを会場にして開催される、視覚障害リハビリテーション研究発表大会の、機器展示会場でお試しいただけます。  その他の開催等、お試しいただける日程、場所については、お問い合わせ下さい  〒191-0055 東京都日野市西平山5-23-12 アイネットワーク有限会社(宮武) (裏表紙) 1971年 8月 7日 第三種郵便物認可(毎月6回 1の日・6の日発行) 2012年 5月26日発行 SSKA 通巻 第7601号 あぁるぴぃ第63号 KANAGAWA 2012 summer ■ 編集後記 ◆ 投稿コーナーでは、支援会員のK・Yさんが神奈川支部への想いをつづってくださいました。私たちの活動は、こうした多くの方々に支えられています。会報誌でも今号から編集作業に相模原市の佐藤孝さんと都内にお住まいの鄭晶晶(ていじんじん)さんが加わっています。佐藤さんは会報誌での呼びかけを見て、鄭さんは副支部長の内田さんから紹介していただきました。お2人ともすばらしい知識とスキル、そしてなによりも熱意をお持ちです。新メンバーの力を合わせ、よりよい誌面づくりを心掛けていきます。(T) JRPS神奈川支部事務局 支部長連絡先     支部長  佐々木 裕二   TEL/FAX : ********** 〒256-0812 小田原市国府津********** E-mail / ********** 発行人 身体障害者団体定期刊行物協会 東京都世田谷区砧6*26*21 編集 JRPS神奈川支部会報編集部 佐々木 裕二       〒256-0812 小田原市国府津**********       TEL/FAX : ********** http://www.rp-k.com 定価 200円 (おわり)