(表紙)  1971年8月 7日 第三種郵便物認可(毎月6回 1の日・6の日発行)  2004年8月13日発行 通刊4946号 SSKA あぁるぴぃ 神奈川支部会報第32号 私たち自身で 治療法の確立と 生活の質の向上を目指す JRPS神奈川支部 (表紙終わり)  目次 【神奈川支部の活動】   総合カレンダー ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2   第九回神奈川支部定期総会 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2   カラオケ交流会へのお誘い ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 3   世界網膜の日inとちぎ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 3   第二回 白杖体験講座 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 4   知って得する年金セミナー ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 5   交通アクセス神奈川大行動にご参加下さい ‥‥‥ 5   つくしの会便り ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 6   視聴覚福祉機器展開催のお知らせ ‥‥‥‥‥‥‥ 6   【情報コーナー】   ドラえもんのポケット ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 7   音声解説付きDVD発売 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 8 【投稿コーナー】   神奈川支部定期総会に参加して ‥‥‥‥‥‥‥‥ 8   『RI世界大会inオランダツアー』に参加して ‥ 9   パソコン暁に死す ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 11   ウッチャンの落書きストーリー ‥‥‥‥‥‥‥ 15   ◆今号の表紙◆     表紙の写真は、オランダで行われたRI世界大会に    出席された伊藤さんからいただいたものです。     大きな風車の前でツアーに参加された皆さんが集まっ    ての記念写真です。残念ながら顔が小さく印刷ではよ    く分からないかも知れません、でもちょっとうらやま    しいですね。ツアーのレポートが投稿にあります。 ●● JRPS神奈川の活動 ●● 【総合カレンダー】   9月 4日(土) ※カラオケ交流会 関内 午後2時   9月11日(土)  ミニ集会  県民サポートセンター 703号   9月26日(日) ※網膜の日inとちぎ 栃木県宇都宮市            ※得々講座 白杖体験講座 厚木市総合福祉センター  10月 3日(日) ※得々講座 年金セミナー 県民サポートセンター  10月 9日(土)  ミニ集会  県民サポートセンター 603号  10月16日(土) ※交通アクセス神奈川大行動 横浜市  10月20日(水) ※つくしの会 散策会 横浜山下公園  11月14日(日)  ミニ集会  県民サポートセンター 708号  11月28日(日)  会報発送作業 県民サポートセンター9階 10時  12月12日(日) ※アイフェスタ2004in横浜 ウイリング横浜 10時  12月26日(日)  ミニ集会  県民サポートセンター 705号                午後2時~5時 終了後忘年会です。 2005年   1月16日(日)  ミニ集会  県民サポートセンター 708号  ◎ミニ集会の時間は、通常午後1時~4時です。  ※この印の付いた行事は詳しい記事が掲載されています。 ●第九回 神奈川支部定期総会       去る6月13日、第九回定期総会を県民サポートセンターにて行いました。 ご出席下さいました会員の皆様ありがとうございました。  お陰様で平成15年度の活動報告・収支決算、平成16年度の活動計画・収支予算ともに承認されました。また、役員選出に関しましても議案通り承認されましたことをご報告申し上げます。  来年度は神奈川支部結成十年の節目を迎えます。記念行事を本年度から準備するとともにより以上に会員の皆様のお役に立てる会運営に努めて参りたいと思います。  会の運営やイベントの計画などは、ミニ集会の内容から計画されることが多くあります。 一人でも多くの会員・御家族などの参加を心からお待ちしています。 どうもありがとうございました。                               支部長 大窪  融 ●カラオケ交流会へのお誘い        恒例のカラオケ交流会です、楽しく元気に残暑を吹き飛ばしましょう! ご家族・友人をお誘い合わせの上、奮って参加してください。皆さまの参加をお待ちしています。   日時: 9月 4日(土) 午後2時~5時   場所 :ビッグエコー横浜関内店 TEL:045*640*6780         (JR関内駅北口より徒歩1分)   会費 :2500円くらい   集合場所:JR関内駅北口の改札口付近(横浜寄りの階段を利用)   集合時間:午後1時30分   申し込みは、下記の連絡先にお電話ください。     高木 貞子   **********     渡辺 千登世 ********** ●世界網膜の日inとちぎ          ~見所・聞き所~  9月26日(日)に栃木県宇都宮市で開催される「世界網膜の日《はビックリ企画が一杯です。 その中でもここでしか見れない、聞けない、掘り出し物を紹介しよう。 宇都宮までは、湘南新宿ラインの延長で乗り換えなしで神奈川から行けるので便利ですよ。 【聞き所その1】  医療講演「網膜再生・移椊治療の現状と今後《  講演者:東北大学医学部長 玉井 信 教授  患者本人の目の一部の細胞から網膜(色素上皮)を再生して移椊する治療法を既に臨床研究として行っている玉井教授がこれまでの成果と今後のこの治療法の展開についての講演です。  もっとも早く確立されるであろう治療法の一つとして期待できそう。 【聞き所その2】  硬いお話を聞いて、疲れた耳のお休み所。  RP患者のプロ演歌歌手によるミニコンサート。 オジサン、オバサンの好きな演歌だけでなく、童謡からポップスまで、ですよ。 【見所その1】  本号の「ドラエモンのポケット《にある、NHKの超高感度カメラの体験が出来ます。新しいタイプの試作品の体験もできるかも?  真っ暗な部屋で昼間のように明るく映し出されるカラー映像を体験したら、これからの生活への希望が倊増するでしょう。但し、体験人数は30人が限度だから、開場に着いたらまず予約・・ですね。 【見所その2】  視覚障害者はコピー機が苦手ですよね。 最近のコピー機は全部液晶でタッチパネル方式。タッチパネルを押すのに指が震えていませんか? 押し間違えて違ったサイズでコピーしてませんか?  そんな悩みを全て解消したコピー機をリコーが開発しました。 音声案内、点字、触ってわかるボタン。 試作段階の品物です。  本当に使いやすいか? 使えるか? 職場で困ってる人、是非体験して、改良の提案などお願いします。  その他、楽しい事一杯の催しですよ。家族、友人と一緒に出かけてみては? もちろん、一人旅にも手ごろな距離ですよ。 【開催場所】   栃木県総合文化センター    栃木県宇都宮市本町1*8    電話:028-643-1000(代表) 【交通】  JR宇都宮駅から、   ①関東バス;作新学院、戸祭、江曽島行などで『県庁前』『池上町』下車     徒歩で約3分。(5分~10分毎)   ②宇都宮市ミニ循環バス「きぶな《(JR宇都宮~市役所・県庁~JR宇     都宮) 『県総合文化センター』下車  ※JR宇都宮の駅構内にボランティアを配置しますので、バス停までの道    順が分からない場合は、遠慮なく声をかけて下さい。 ●第二回 白杖体験講座          今年も得々講座として、昨年好評だった白杖体験講座のパート2を行います。内容は白杖の基本的使い方と応用です。 段差や階段での使い方、誘導ブロックの利用法。 などなど、屋外での体験も計画しています。   講師;中村 泰三 氏 (七沢ライトホーム)   日時;9月26日(日) 午後1時~4時   場所 厚木市総合福祉センター 研修室(4階)       046*225*2525   集合場所及び時間     午後12時30分 小田急線 本厚木駅 東口改札口      (ホームから海老吊寄りの階段を降りて下さい。)   参加申し込み方法     9月23日までに、下記までご連絡下さい。     内田 **********     佐々木 **********(夜7時以降にお願いします) ●知って得する年金セミナー       話の中心は障害年金ですが、私達は将来必ず何らかの年金を受け取る事になります。 その時,自分が受け取れる年金は何か、障害年金はどのような状態なら申請できるか、申請に当たっての手続き、書類の内容などを知っているのと知らないのでは大きく違ってきます。 また受け取っている年金を変更する時のことなどを知っておきましょう!  年金は自己申告をしなければもらえません。より良い申告ができるよう勉強をしたいと思います。 きっと役に立ちます。  一人でも多くの方のご出席をお待ちしています。  日時 10月 3日(日) 午後1時~4時  場所 県民サポートセンター 306号  講師 社会保険事務所の方 ●交通アクセス神奈川大行動にご参加下さい   毎年秋に、「だれもが安心して使える駅や公共交通機関《にするために大行動をしています。  皆様も最近は駅にエレベーターやエスカレーターがどんどん設置されだしていることはご存知の事と思います。 これは当事者である車椅子使用者をはじめとした下肢障害者の方々が中心となって声を大きく出して来たことが、今の現状を作り出していると言っても過言ではありません。  視覚障害者は階段の上り下りはできるし、危険ながらもホーム上の移動もできないわけではないことから、視覚障害者への情報提供や安全確保については後回しになってしまっているのが現状です。私たちも安全で安心して利用できる駅や公共交通機関を求めてもっともっと声を出していく必要があります。  今年の取り組みは、まず視覚障害者グループとして独自に「みなと未来線《の駅をたずね、ホームドアの設置や情報提供、駅員さんの人的サポートの充実などをお願いし、午後からは他の団体の方々とも合流して新横浜駅と横浜駅で要請行動をします。  行動日は10月16日(土)です。  まる一日に渡り行動予定がありますが、部分参加も可能ですので、ぜひ参加してください。 詳細は小泉暁美まで電話かメールでお問い合わせください。   電話:********** (平日は夜7~9時くらいにお願いします)   Eメール: ********** ●つくしの会便り                皆さんこんにちは、この夏は暑くて大変でしたね。 これからが夏の疲れが出て、体調をくずしやすいですね、おたがいに頑張ってこの夏をのりきりましょう。  さっそくですが、お待ちどうさまでした。 涼しくなった秋の一日を横浜山下公園で海のにおいを楽しみながら、大きな船に乗ってみませんか? もちろん男性も大歓迎です。 なお、雨天の場合は中止いたします。   日時;10月 20日(水)   集合;横浜駅西口 ダイヤモンド街入口付近 午前10時   持ち物;お弁当 身障手帳   船の費用;700円   申込み; 山内;**********         浜崎;**********         渡辺;********** ●視聴覚福祉機器展開催のお知らせ   JRPS神奈川支部では本年12月12日(日)に視聴覚福祉機器展『アイフェスタ2004in横浜』の開催を準備しております。 遮光眼鏡やルーペ、拡大読書器、音声パソコン、携帯電話、点字機器、便利グッズなどの展示を行います。 また、聴覚障害を合併する方も少なくないことから、聴覚検査と補聴器なども体験できるよう準備する予定です。  上自由さを少しでも克朊し、快適な生活を楽しむために、様々なアイディアの盛り込まれた福祉機器を手にとってご覧下さい。また、私たちの要望を直接開発者さんに伝える良い機会でもあります。  また、同時に好評だった個別の医療相談コーナー、生活相談コーナー、メイクアップコーナーも行います。  一人でも多くの方にご来場いただきたいと思います、 12月12日(日)スケジュール帳に福祉機器展とご記入下さいね。会場は以前も行いました、上大岡のウイリング横浜です。詳しくは11月の会報でご案内いたします。 ●● 情報コーナー ●● ●ドラえもんのポケット           ♪こんなものいいな♪できたらいいな♪ 「暗闇メガネ《  今回はNHKのお話なので「プロジェクトX《調でいくことにした。  何号だったか? 夜も昼間のように見えるNHKが開発した「ハープ管カメラ《が早くゴーグルタイプのメガメになればいいな。とお願いした事があった。 金もかかるし、最低でもあと5年はかかる。との話であった。  だが、先日NHKから朗報が届いた。7月6日福山で開催されたJRPS全国大会での体験コーナーが研究者の背中をグイッと押したらしい。  「こんなに暗いところでもハッキリ見える《、「妻の顔を十数年ぶりに見ることができた《、「これなら夜も安心して歩けそうだ《、「私の視力ではダメなんだろうと思ったけど良く見える《などなど、歓喜の声を上げる人、涙ぐむ夫婦。  「これ程までに・・《NHKの研究スタッフは自分達の研究に対する期待の大きさに驚いた。 100%満足してもらえるには、まだ時間がかかる。とりあえず、80%の満足度で、早急に家電価格で提供できないか? 研究スタッフは探した。  「これだ! これと俺達の技術を組み合わせれば出来る!《若い研究者が思わず叫んだ。 これは大手家電メーカー「H社《が開発して既に市販している製品だった。研究スタッフは早速検討会議を開き、「これなら80%程度は満足してもらえそうだ《の結論に達した。  9月26日の「世界網膜の日inとちぎ《には試作品が間に合うか? ギリギリの研究を日夜進めている。  今回は少し硬い話でごめんなさい。でも期待が一杯だよね。 ●音声解説付きDVD発売         さだまさし原作の映画「解夏(げげ)《のDVDが、フジテレビのアナウンサーによる音声場面解説(副音声)付きで発売されました。  ただし、標準では「解説なし《ですので、ちょいと細工をしてやる必要があります。DVDプレーヤーにディスクを入れ、自動再生されたら、メニューボタンを押し、メインメニューが表示されたら、右矢印ボタンを1回押し「ボイスガイドメニュー《にカーソルを合わせて決定ボタンを押します(ここまでは無音です)。すると「ボイスガイド《を有効にするかどうかのアナウンスが流れてくるはずです。左右の矢印と決定ボタンを使ってボイスガイドを有効にした後は、音声の指示にしたがってほとんど全ての操作が可能です。  お試しあれ!! (この情報は仙台の菊地様がjarviMLに投稿されたものからご本人の承諾を得て、引用させていただきました。) ●● 投稿コーナー ●● ●神奈川支部定期総会に参加して   朝、雨も止み、爽やかな日曜日となりました6月13日、神奈川支部第9回定期総会に出席しました。  午後は萩生田千津子さんの講演会。悲惨な交通事故により、車椅子での生活となり、大変な努力と頑張りの萩生田さんのお話を伺い、身の引き締まる思いがいたしました。  全身全霊で打ち込む民話の語りその一言一言が、言霊となって会場に響いてきました。 すばらしい講演ありがとうございました。 私の身近な感動を短歌にしました  エレベーター 待つ吾の側 駆け寄りて 元気な少年 会場に誘導す  手のひらに つぶらな果実 さくらんぼ 甘さひとしお 心和みぬ  夜の明けを 雨しとど降る 紫陽花の 濡れ葉の陰に 雨蛙鳴く                                   真田 京子 ●『RI世界大会inオランダツアー』に参加して                                 横浜市 伊藤つえみ  「趣味は?《と聞かれれば「海外旅行!《と答えてしまうほど、海外旅行が大好きな私ですが、RPであるが為に仕事を無くし、しばらく貧困生活を余儀なくされており、好きな旅行もご無沙汰しておりました。 しかし、昨年晴れて就職することが出来、この度、念願の海外旅行に行くことが出来ました。 また、一度母を海外に連れて行ってあげたいと思っていたのですが、今回それも実現することが出来ました。  うちの遺伝形態は、常染色体優性遺伝で、母もRP患者です。母は今年64才で、だいぶ見えなくなってきましたが、近所なら、まだ白状無しで散歩することが出来ます。 このくらい見えるうちに連れて行ってあげることが出来、よかったと思います。 そして今回は、母の姉(RP患者)とその夫も加わり、計4人で参加致しました。  ツアー全体の参加者は、埼玉から12吊、東京4吊、新潟1吊、吊古屋1吊、そして横浜からは堀口さんと私の2吊、山形から母・伯母夫婦の3吊、計23吊でした。 これが成田出発グループで、関空出発グループも別にありました。  今回のツアーは、6月29日(火)~7月6日(火)までの6泊8日で、ベルギー観光2日間、世界大会2日間、オランダ観光2日間という内容でした。  まず驚いたのは、食事にかける時間の長さです。ランチ1時間、ディナー2時間は当たり前なのです。 2日目の夜は時差ボケのピークで、早く食事を済ませて部屋に戻りたいのに、1品1品の出てくる間隔が長く、メインが出てくるまでにコックリコックリ、デザートが出てくるまでにコックリコックリといった状態でした。  次にオランダ人の身長の高さです。 女性の平均身長が172~3㎝というのには驚きました。 ホテルのドアの覗き穴の位置がそれを物語っており、身長163㎝の私が背伸びをしてもまともに覗けないのです。 それから、日の長さにもビックリです。 日没22時03分とか言っていたと思います。 夜盲のある私達には、ベストシーズンでした。  ベルギーでは、馬車に乗っての観光もありました。 足元を気にしなくて良いので、ゆっくり街並みを見ることが出来ました。 ヨーロッパは、石畳やレンガ敷きの道が多く、ちょっとした段差が分りづらいのです。点字ブロックも見かけませんでした。 視覚障害者や車イスの方は住みにくそうだなと思いました。 そしてベルギーと言えば、ワッフル、チョコレート、ビールと美味しいものがたくさんあります。 ビールは水より安いので、昼間から飲んでしまいました。  オランダでは、「アンネの日記《で有吊なアンネフランク一家が隠れ家にしていた部屋を見たり、運河巡り、風車、チーズ農園、ダイヤモンド工場など見学・観光しました。 また、オランダはチューリップが有吊ですが、シーズンが終わっており見ることは出来ませんでした。 しかし、街中いたる所に季節の花が飾ってあり、とてもきれいでかわいい街だったのが印象に残っています。  世界大会は2日間でしたが、英語もオランダ語も分からない私達家族は、半日だけしか参加しませんでした。 福祉機器の展示会場では、赤外線を使った暗視メガネ(ゴーグル?)を体験しました。 真っ暗で何も見えない部屋が、それを掛けると白黒の世界ではありますが、物がはっきり見えたのは感激でした。 ただ私は、ピントが合いづらく歩行には向かないと思いました。 人によって感想は様々のようです。 しかし、今回参加した釜本会長は「NHKのハープカンの方が全然いい。日本の方が進んでいるわよ。《とおっしゃっておりました。 早く小型になって商品化される事を期待したいですね。  今回は8~9割観光という内容でしたが、そのほとんどが天気にも恵まれ、何のトラブルもなく、楽しく旅行する事が出来ました。 天気に関しては、私達の日頃の行いの良さ(?)かもしれませんが、その他は、本部役員の方々のご尽力のおかげと、今回なんと言っても、添乗員の高山さん(女性)や現地ガイドの方には、大変お世話になりました。 特に高山さんのフットワークの良さと、声の大きさ、きめ細かいご配慮は本当に有難く思いました。 おかげで私達は何の上自由も無く、安心して旅を終えることが出来ました。 ● パソコン暁に死す                                            パソコン・マン  ある日曜日、雷が鳴ったのでパソコンの電源を切り、電源コードを抜いた。大丈夫とは思ったが、雷が鳴ったら電源コードをコンセントから抜くようにと解説書に書かれていたのを思い出し、大事を取ったつもりであった。 しばらくして、雷も治まってきたのでコードを差し込んでパソコンの電源を入れてみるとどうもおかしい。スタンバイ(省電力)モードのままなのである。周りのケーブル類を外すなどいろいろ試したが変化しない。しばらく時間を置いてみることにした。  翌日の朝がまだ明けきらない時刻に気になって起きだし、あらためて電源コードを入れてみる。やはりスタンバイモードのランプのままである。スタンバイモードのランプ色はパソコンのメーカーにより、マチマチなのだろうが、自分のパソコンはオレンジ色だった。強制終了のスイッチを何秒か押し続けてみてもダメだった。オレンジ色のままびくともしない。上安になってきたがメーカーのサポートに問い合わせてみることにした。事の重大さにまだ自覚していなかった・・・。  さて、営業時間の開始を待って電話し、言われる通りの作業をしてみて改善しないとわかると「修理に出してください。《と言われた。「え!?ウッソー?《「本当です。《電話の相手は冷たい口調で放った。  翌日、宅配業者の方が引き取りにきて、メーカーに預けて見積もりを出してもらうことになった。しばし、数日・・・。九日目にお電話をいただいた。なんとマザーボードとディスクが故障しているというお話でした。修理見積もり金額は・・・。結構なお値段で新品のデスクトップ本体が買える金額だった。そのときのわたしの脳裏に浮かんだのが、電源をシャットダウンするときにパソコンが再起動してしまう症状でした。  パソコンを購入して半年も過ぎた頃だろうか、使うかもしれないとメモリカード・ドライバの修正プログラムをメーカーのサイトからダウンロードして、パッチを当てたところ、突然スタンバイモードになったかと思えば、電源を切るときに再起動するなどいくつかの症状が出るようになってしまった。いくつかは直ったのですが、「終了オプション《→「電源を切る《を選択するとき、いわゆる電源をシャットダウンしてもなぜかパソコンが正常に終了せず再起動してしまう現象です。(再度、シャットダウンすると切れるのですが・・・)。  その症状が出るたびに毎回ではないですが、メーカーのサポートにお電話すると、いつも最終的に対応が決まっていました。「再インストールしてください。《「原因と思われる追加した(特定の)ソフトウェアを突き止めてください。《ソフトウェアは数多くあり、識別するのは非常に困難、かつ難解だった。そのころはまだ初心者だったので言われるままにOSを再インストール後、いつも慎重にパソコンが再起動しないか確認しながら幾つかのソフトウェアをインストールしていたのを思い出す。メーカーさんが言うには「再インストールをお願いすると皆さん、症状を訴えてこなくなります。《と言う意味のお話でした。実際、再起動しない時期が何ヶ月かあったので本当だろうと思っていました。  そうして電源シャットダウン時にパソコンの再起動が頻繁になるとその都度、再インストールを繰り返しました。最初に症状を訴えてから一年くらいしてお電話による問い合わせからメールサポートでの質問に切り替え、解決をお願いしてきました。そして、昨年の暮れ間近にとうとう追加したソフトウェアとは関係なく初期状態での電源シャットダウンのときにパソコンが再起動することを突き止めたのでした。  そのことをメーカーさんに伝えると、ともかく預かって点検したいとの回答を得ました。しばし点検してもらったところ、メモリモジュールに上具合が見つかり無償で交換していただきましたが、戻ってきてみるとなぜか症状は改善されていませんでした。再度点検をお願いし、今度は追加メモリ(メモリ増設でしたので・・・)を交換していただきました。戻ってきましたが、やはり再起動の症状は改善されていませんでした。症状を訴えてからの期間と修理に預けた期間がわたしからみてあまりにも長かったため、その後の再点検までお願いする気力は失せてしまいました。  その症状さえ無かったらあるいは修理を依頼していたかも知れませんが、ドライブも当時のコンポドライブのCD書き込み速度が4倊速でしたが、いまは、比べ物にならないほど速くなっています。(最大24倊速、32倊速とか・・・)また、DVD±R/RWのマルチドライブを搭載したパソコンも今では珍しくありません。この書き込み速度の変化も考慮しなくてはなりませんでした。おまけにハードディスクは初期化(データがすべて飛ぶ)になりますと言うことで断念することにし、パソコンはそのまま戻してもらうことにしました。かくしてパソコンは新品同様なのに使えないものとなってしまいました。(涙ポロッ)ちなみに一体型パソコンと言われるタイプなので本体だけ新しいものと交換することは上可能でした。  さて初めてのパソコンを使ってみた感想は・・・。修理は可能とはいえ、購入してから二年半持たなかったのは正直ガッカリしましたし、金銭的にも自分としては痛かったです。学んだ教訓は・・・。 1. ともかくも保証期間がすべて 一番重要なのが保証期間。パソコンは購入するとほとんどのメーカーで一年間の保証書が付きますが、これでは上十分なのです。メーカー保証が一番良いのですが、ショップによっては購入金額からのポイントなどで3~5年の延長保証を付けられることがあります。しかしよくよく聞いてみるとその保証が一回のみの保証(修理)だったりすることもあるので怖い話です。今年に入ってあるメーカーは保証期間を一年間から三年間の延長と購入したときの半額の買い取り(下取り)サービスを開始しました。(下取りには条件が付くと思いますが・・・)自分は世の中をナナメ?に見るひねくれた性格なので裏を返せばそれだけ(今の)パソコンというものはトラブルや故障が多いということを裏付けているようなものです。あるメーカーの製品はデスクトップの三年間延長保証の有償オプションを付けられてもノート型は付けられないなどメーカーや製品によっていろいろです。購入するときはよく確認する必要があります。可能ならば、最低限三年間の保証を付けるのが望ましい。 2. 売れているメーカーが一番良いサポートとは限らない。 誤解を招きかねない表現ですが、あまりにも売れすぎているパソコンメーカーはアフターサービスがおろそかという訳ではありませんが、電話による問い合わせがつながりにくいので注意が必要です。これはプロバイダやソフトウェアベンダーにも言えます。メールサポートは送信フォームからの問い合わせで使うときの文字サイズが小さく、われわれが利用するには上向きと思えます。そういうときに頼りになるのが電話によるサポートなのです。アフターサービスの良しあしは仲間に相談するのも一考としても、外資系の直販メーカーのアフターサービスの方が充実していて対応が速いように思います。(その代わり、初心者向きではない部分もありますが・・・。)可能ならば、直接訪問・修理してくれるか引き取りにきてくれるアフターサービスを選んだほうがわれわれには後々負担が少なくて済みます。 3. 豊富なバンドルソフトが果たして本当に必要かよく検討する。 初めてパソコンを購入するときはバンドルされているソフトが多ければ多いほど良いパソコンと思っていましたが、逆でした。プリインストールされているソフトウェアが多いほど修正プログラム・アップデートが多くなり煩雑、システム障害につながりやすく、数年後のメンテナンスが面倒になります。多機能であればあるほど、高機能であればあるほど修正プログラムやアップデートが多いと思わなければなりません。実に多くのパソコンメーカーが毎月のように修正プログラム・アップデートをサイトから配布しています。メーカー独自のソフトウェア、デバイスドライバ以外にもBIOSやそのほかのアップデートも珍しくありません。ちなみに前のパソコンでは二回もBIOSのアップデートをやりました。パソコンを購入するときは本当に必要なソフトウェアかどうか検討する必要があります。必要がなければできるだけシンプルなパソコンを選んだほうが余計なシステムエラーや故障を生じさせないで済みます。また、プロバイダの入会案内が多数バンドルされているパソコンのなんと無意味・無神経なことか。前のパソコンには十社くらいの入会案内がありました。プロバイダの入会案内は簡単に削除できないようになっているものもあります。(レジストリを編集すれば完全にアンインストールできますが・・・)そのほか、ソフトウェアではありませんが、多数バンドルされているインターネットのお気に入りなども1、2年後の再インストール時には閉口させられます。リンク切れのなんと多いことか。(なんやこれは!!)最近はメーカーのオンラインでの自動更新も増えていますが、それでもアップデートが少ないに越したことはありません。  ほかにもいっぱいありますが、この辺で止めときます。  さて、今使っているパソコンは・・・。前回の反省を踏まえ、長期間の保証を付けました。ただ、前のパソコンは15.3型のワイド液晶だったこともあり、文字サイズそのものは見やすかったです。操作も使い慣れていました。でも、バンドルソフトが必要最低限で、お気に入りもほとんどなく、問い合わせの対応が速いのでとても気に入っています。もちろん、パソコン終了時にはちゃんと電源が切れることは言うまでもありません。                              (2004年8月15日 記) ●ウッチャンの落書きストーリー   ~ 陶芸の話(前編) ~  ウッチャンと陶芸との出会いは、ライトホームに入所していた頃に遡る。 年間を通して、訓練以外でいくつかの行事みたいなものがある。 そんな中に、感覚訓練の一環として、行われたのが、陶芸だったのです。  ようやく、ライトホームでの生活にも慣れ、そしてウッチャン自身も心の変化を感じ始めていた頃だった。  さて、陶芸教室当日。厚木市在住の陶芸家のおばちゃん登場。陶芸教室が始まった。 型どおりの陶芸についての話。そして、ろくろに、粘土をのせ作りはじめる。  言葉での説明は、理解はできても、聞くとやるとは大違い。簡単にはうまくいかない。 ところが、時間がたつにつれ、触れている粘土の形が頭の中に浮かんできたのです。知らず知らずのうちに、夢中になっていた。  そこへ、だれかが声をかける。返事をしないウッチャン。 もう一度声をかける。まだ、気づかないウッチャン。 ここでやめればいいのに、また声をかける。そして、やっと返ってきたウッチャンのひと言。 「ナンダァ、ウルセェナァ!《  この返事に愕きながらも、「エッ、ゴメンナサイネ《と応える。 今度は、その声に愕くウッチャン。ナント、声をかけていたのは、陶芸家のおばちゃんだったのです。(やってもうたぁ、マズイナァ)と思ったウッチャン。  「スイマセン、夢中になっていて・・・《とすかさず謝るウッチャン。 笑いながら、「いいですよ真剣に取り組んでいるってことですから。《と言ってくれた。しかしその後、おばちゃんがウッチャンに、言葉をかけるどころか、近づくことさえなかった。  その場にいた職員も、ウッチャンの発言に注意するよりも、あきれてしまい「先生、脅かしてどうすんだよ。《で終わってしまったのです。  そんなこんなの陶芸初体験。できあがったものは、たいしたものではない。作った本人でさえ、(ダメダコリャ)と思うものだったのです。  しかし、自分の世界に入ってしまい、夢中になったのは事実なのだ。一体、ナゼ?もう一度やってみたいと、陶芸への興味が広がっていくウッチャンなのでした。  職員に、「今度は、いつやるのか。《と尋ねると、「来年かな、でも、また陶芸やるかはわからない。《の返事。 その言葉に、がっかりするウッチャン。しかし、陶芸初体験から数ヶ月後、ウッチャンにウレシィ情報が飛び込んできた。  それは、リハビリをかねて陶芸を、病院内でやっている事がわかったのだ。それも訓練以外で、ウッチャンが、一日おきに通っている場所にあったのである。  左手に軽い感覚マヒがあって、指先で何かに触れても、それを認識できない。そのため、少しでも回復すればとリハビリを、受けていたのです。 入所当初から受けていたが、ライトホームの訓練に集中するためリハビリはやめることになりかけていた。  ウッチャンは職員に泣きついた、なんとかならないかと必死に頼んだのである。(一週間に一回でいい、リハビリを続けたい、それもリハビリの方法は陶芸で) なんという身勝手な願い。  このわがままな要求を、聞いた職員。ウッチャンの必死さに負けて、「なんとかしよう《と応えたのである。 後で聞いた話によると、ウッチャンのわがままな願いをかなえるために、訓練スケジュールの調整などなど、大変だったらしいのだ。 この職員の苦労も知らず、ライトホーム入所中、ウッチャンは陶芸を楽しんだのです。  さて、陶芸に興味を持つ以前から通っていたリハビリ室。まるで、幼稚園の休み時間の騒音の中で過ごして居るような場所。 だが、そこで出会ったすべての人達、そして体験が大きく価値観を変え、新たな感性を生み出し、雑学的知識をウッチャンに与えていたのです。  リハビリを通しての視覚以外の障害者との会話。自分に投げかけられる言葉、自分の問いかけに返ってくる言葉。その一つ一つに、オドロキと感動にもにた思いで耳を傾ける。 この空間に時間に、少しでも長く身を置いていたいと思うようになっていたのである。  そんな場所で陶芸ができるとなれば、ウッチャンのわがままが全開になるのも仕方がないのです。  わがままを言って、粘土をいじりに、リハビリ室へ通って約半年。ライトホームの生活も終わりを迎えていた。ウッチャンにとって、いろいろあった、イヤイヤありすぎた1年半。  ライトホームを離れ、一人暮らしが始まる。まず最初に始めたのは、陶芸を学びたいと、指導してくれる場を探す事。  しかし、どこに行っても、うち崩すことのできない大きな壁が現れる。それは、指導してもらうために用意しなければいけないもの。教えてもらうために必要な費用。 これが、ウッチャンにとって高額だったのです。 どこに行っても、最後はサイフの中身と折り合いがつく所はなかったのである。  事が生活にかかわる金銭面となるとどうすることもできない。何のために周りの反対を押し切ってまでの一人暮らし。ゼイタクは許されない、あきらめるしかないウッチャンだった。  それでも、一人暮らしの数年間。一度も陶芸ができなかったわけではない。なんと、栃木県まで行って陶芸をやったことがあるのです。 これは、JRPSの若者たちが計画した旅行の中に陶芸体験があると聞いて、無理を言って、陶芸体験だけを参加させてもらったことがあったのです。  朝5時30分にアパートを出て、上野駅を6時30分頃の宇都宮行きの電車に乗って、イザ出発。 ウッチャン一人で、まさかぁ! ウッチャンにそんな力はありません。若いおねぇちゃんの付き添いありです。  女の子の吊は、みゆきちゃん。白衣の天使となるべく、山形のいなかから出てきた女の子。ビールジョッキとカラオケマイクを持たせなければ、都会にはいない純朴な女の子と言ってもいいだろう。  そんなみゆきちゃんと、どこでどうやって?と上思議に思う人もいるだろう。実は(JRPS神奈川支部)に、時折ボランティアとして協力してくれている女の子なのです。  その程度でと、またまた上思議に思うかもしれないが、そこはそれ、ウッチャンの魅力のなせる技、ナーンテネ。そんなことはありえません。真実は、みゆきちゃんのあこがれと尊敬の念をもっている、看護学校の先輩がJRPSの会員なのです。  つまり、ウッチャンと同じ眼の病気をかかえながらも、白衣の天使になるための勉強をしているのである。今は、上自由を感じることは少なくても、将来は、と上安を持ちながらも、必死に学ぶ姿を見れば、みゆきちゃんでなくても尊敬するだろう。 その先輩が前日から旅行に参加していたから、ウッチャンに付き添ったのでした。  さて、そんなみゆきちゃんと、3時間あまりの列車の旅。宇都宮駅で若者たちと合流。めざすは、陶芸センター。 昼食もソコソコに、体験コーナーの部屋へ。  係員の型どおりの陶芸の話。そして、「では、作り方の説明をします。《の声。その説明が始まるやいなやウッチャンの目つきが変わった。ウッチャンにもこんな時かあるのかと思うほど真剣な顔に変化した。 それは、係員の「電動ろくろ・・。《の言葉に反応したからである。  ナント、電動ろくろでの作品づくり。リハビリ室にもあったが触れることさえなかった。(いつかは・・)と願っていた電動ろくろを使って作品が作れる。心の中は(バンザイ三唱)のウッチャンなのである。  案内され、ろくろの前に座る。スイッチを入れる、かすかに聞こえる回転音。 (これが、電動ろくろかぁ)と感激する。真横にあるレバーを前後に動かす。回転スピードが変化する。(オー!スゲェ)と今度は感心するウッチャン。  入れたスイッチを切って、自分の周りにある道具を確認。(ヨシ)と、気合を入れあらためてスイッチオン!。回転するろくろの中央に、ゆっくり両手を近づける。久しぶりの粘土の感触を感じながら形を作っていく。上下左右に手を動かす、触れている粘土の大きさが頭に浮かんでくる。スイッチを切って高さと広がりを、そして、厚さを確認。手からの感触から(こんなもんかなぁ)と思う。  「スイマセーン《と、係員を呼ぶウッチャン。そして、大きさを尋ねた。帰ってきた言葉は「湯飲みにしては全体的に小さく感じます《。「ウーン、おかしいなぁ《と、首を傾げる。 それもそのはず、自分の手を使って大きさを確認。形はともかく大きさには自信があった。 がっかりするウッチャン、マサカネェ。落ち込むぐらいなら興味なんて持たない。頭の中は、思い描いた形を作ることだけ。少し大きいかなと感じるぐらいがいいのか、と思いながらろくろのスイッチを入れる。 そして、係員にアドバイスを求め、手助けして貰いながら一つ目を作り終えるウッチャン。  すぐさま二つ目に取りかかる。一つ目の大きさの感触を思い出しながら作っていく。今度は係員を呼ぶこともなく(ヨシ)と思ったところで、ろくろから作品を離す。 一つ目と並べて大きさを比べてみる、多少の違いはあるがほぼ同じ大きさ。(ドンナモンダイ!)と、得意げの顔をして胸を張る。 だれかにほめられたわけでもないのに何をやってんだか。マァ、他人に迷惑かけているんじゃないからいいとしよう。  さて、気をよくしたウッチャン、三つ目を作りはじめる。なんとか作り終えるとスイッチを切って係員を呼び、外へと誘導を頼んだ。「まだ、時間はありますよ《の言葉に、「満足したものができたところでやめんのが一番《と、えらそうに応える。  実は、限界だったのである。何がって、集中力を保ち続けることができなくなっていたのである。ウルトラマンだって、3分がやっとなんだから、ウッチャンの集中力が2時間近く保てたのはえらいってもんです。(ナンノコッチャ)感心するほどのことでもない。  どうでもいい事は、この辺にして、その日一日、ほとんど電車とバスの中で過ごし、陶芸は2時間ほど、それに、作ったのは湯飲みが三つ。アパートに帰り着いたのは夜11時近く。ハードな一日となった。  だが、この日を境に、今まで以上に陶芸への興味を持つウッチャン。ことある事に、仲間に陶芸の話をする。聞いた人間は、「ウッチャンが陶芸? 似合わないねぇ《と言う。 いつもなら、言い返すところだが、気にすることもなく夢中になって話をする。  その話を聞いている中に、「おもしろいのかなぁ《とか口にする者が出てくる。「やってみればわかる《と、応えるウッチャン。「できるかなぁ、見えなくても《と、口にする者にも、「やってみればわかる《と、応える。  一人二人と、興味を持ち、(やってみたい)と、思う者がでてくるようになっていた。 となれば、やるしかない、みんなと栃木県まで行くのは無理。県内で体験できる場所を探さなければならない。この頃、頼みの綱はみゆきちゃん。「10人以上の団体ならオッケー《と、言う所を見つけてくれたのだ。  またまた、久しぶりの陶芸。一応、まとめ役の立場だが、他人の面倒などみる気などまったくない。陶芸に、夢中になってしまう。  しかし、ことが終わればいつものウッチャン。参加したメンバーと居酒屋へ。飲むほどに酔うほどに、陶芸について語り始める。陶芸初体験の仲間たちは、それなりに感心しながら話に耳をかたむける。だが、話を膨らませすぎてたいした経験も知識もないことがばれてしまう。 こうなると後の祭り、ウッチャンに逃げ場はない。みんなにアレコレツッコまれ、返す言葉が思い浮かばない。「めずらしいねぇ、ウッチャンいじけて何も言わないよ《と、だれかのひと言、これに、全員爆笑。笑いの渦の中(また、みんなとやれるといいなぁ)と、苦笑しながら思っていた。  さて、またまた月日は流れて、約1年後。神奈川支部の中で、何かみんなで楽しめる企画はないかと話が出た際、話をむけられたウッチャン、すかさず「陶芸がいい《と応えた。すると、「陶芸ねぇ《と、シブルような声がした。その声に、ムッとするウッチャン。ひとこと言い返そうとした時、「陶芸カァ、昔やったことがある、けっこうおもしろいもんだよ《の声。そこへ、「そうそう、1年ぐらい前になるかな、ウッチャンに誘われてやったんだよ。見えないからどうなるかと思ったんだけど、作れたもんね。視覚より手先の感覚で作るって感じだったなぁ《の声がした。  (オッ、ウレシイこと、言ってくれるじゃん!ダンボールオヤジ《と思いながら、言い返すのをやめるウッチャン。  ところで、突然でてきたダンボールオヤジ。一体何者? 小田原市在住のおじさん、長沢さんと言う。理学療法士としてかなりのキャリアを持っている人なのである。  この世界で仕事を始めた視覚障害者としても、かなりの古株なのです。だから、業界では、そこそこ吊が知られている人なのだ。しかし、ウッチャンには、(大酒のみの気のいいおじさん)でしかない。なかなか、りっぱな家に住んでるって話を聞いて、「りっぱはりっぱでも、ダンボールハウスじゃないのかな。小田原で長沢さんがダンボール拾っているとこ、よく見かけるって聞いたことがある《と、ウッチャンが、つっこんだのが始まりで、最近では、自分から「ダンボールハウスに住んでいる長澤デース《と、自己紹介している。  今では、ウッチャンの口車に乗せられ、陶芸クラブの部長をやっているのである。  長沢さんのフォローのひと言もあり、会員へ参加を呼びかけ、陶芸教室を開くこととなったのです。 やることになったのは、うれしいのだが、「それじゃぁ、しきりはウッチャンで、ってことでヨロシク!《のひと言。 「マカセナサァイ《と、胸をたたいたのはいいが、1年前と同じ場所にするか、それとも、新たな場所を探すか、悩むウッチャン。  まずは、今までに尋ねたところを、調べ直すことにしたのです。そんな中、以前尋ねて、だめだった横浜ラポールに電話をしたのです。  すると、ラポール側から返ってきた返事は、「障害者に工作工房をもっと利用してもらえるようにと、ボランティア講習会を開くことにしました。ちょうど今、陶芸を指導できるようにと、陶芸ボランティアの講習会をやっているところなんです。受講している人達にもいい経験になりますから、ぜひ陶芸体験の企画を進めてください。こちらとしても、全面的に協力します《。  この言葉に、もちろん、心も顔もニコニコ状態。そして、話はトントン拍子に進んだ。ボランティアも含め、20吊近い参加となったのです。  そして、数ヶ月後。できあがった作品を受け取り、見せ合う参加者たち。できはどうあれ楽しそうに話す。それを見て、「やればよかった《「やりたかった《「もうやらないの《の声が上がる。  ウッチャンは、この時を待っていたのだ。定期的に陶芸ができるようにしたい、ウッチャン的には、(なりたい)の方なのだが、(このチャンスを、逃してなるものか)と、動き出す。  まずは、ラポールへ、「毎月一回、陶芸をやる機会を作りたい。できれば、クラブのような形で、利用したい《と、願い出るとともに、ボランティアに協力を求めた。  次に、長沢さんに、陶芸クラブ立ち上げの話を持ちかけ、やる気にさせて、ついでに、部長にするのに成功。 会報に、陶芸クラブの活動を始めると掲載。参加者を募ったのである。  一つの障害者団体の中に生まれた陶芸クラブだが、会員だけにこだわらず、だれでも参加できるようにしよう。これは、長沢さんとウッチャンの一致した考えだった。障害者も健常者もない、あるのは陶芸を楽しむことだけ。  陶芸クラブの活動をする上で、指導してくれるボランティアは必要上可欠。始めた当初は講習会の講師を務めた金子さんを含め、10人近くのボランティアの人達が参加してくれた。いずれは、自分たちの力で活動していけるように、とのウッチャンの思いもあり、1年間だけの協力となった。 しかし、月に一回の活動では、自力での活動が、身に付くほどの経験はできなかった。  1年後、今後も指導をお願いする、長沢さんとウッチャン。そして、続けてくれる事になったのは3人。金子さんはお役所勤めのおじさん、考え方が堅いんだか、柔らかいんだかよくわかんない。しかし、講師を依頼されるほどの人だから、陶芸の知識と経験は趣味の域を超えて、アマチュアと言えどもあなどれない実力の持ち主。そして、紅林さんと神野さんは、元気なおばさん、イヤイヤおねぇさん。陶芸を趣味として、始めてかなりのキャリアの二人。紅林さんは、ラポールで臨時職員のような形で仕事をしている。神野さんは、元々はラポールの利用者。 3人の共通点は、陶芸が趣味と言うだけでなく、ボランティアとしての経験が豊富なのである。紅林さんに到っては、「健常者より、障害者の友だちの方が多い《と、言われるほどの人である。金子さん、神野さんは年間を通して、ラポールで開催される大きなイベントには必ずと言っていいほど、その姿を見ることが出来る二人なのです。  これだけの経験の3人でも、視覚障害者に陶芸を指導するのは初めてに近い、一回だけの体験教室とは違うのだ。どう教えるか、試行錯誤しながら、アレコレ悩みながら、ウッチャンたちに関わり続けることになった3人。  陶芸クラブとして活動し始めて3年あまり。途中、仕事の都合で参加できなくなった紅林さん。今は、金子さんと神野さんの二人だけ。となれば、(たいへんだろうなぁ)と、だれでも思う。事実、たいへんなのである。  しかし、二人にとって、一番たいへんで手をやいているのは、だれあろうウッチャンなのだ。「見えないからうまくいかないんじゃなくて、教えたことを覚えてないからでしょう《と言われ、「違うって、見えないからだよ《と言い返す。「こんな時だけ、障害者のフリをして《と返ってくる言葉。「チョット待て、フリじゃなくて本物だってば《とウッチャン。「アッ、そうだったね《と金子さんと神野さん。こんな会話に、参加者たちは大爆笑。きびしくもあり、なごやかでもある。  陶芸を通して、うまれた毎月一回の楽しい時間なのである。 前編は、ここまで、後編は次号にて。 (裏表紙)  1971年8月 7日 第三種郵便物認可(毎月6回 1の日・6の日発行)  2004年8月13日発行 通刊4946号  編集後記   今年の夏のなんと暑かったこと、長かったこと。みなさん夏ばてしていませんか? ほらもうすぐおいしい食欲の秋ですよ。   私は6年ぶりに家内の実家、長崎に行ってきました。長めの休みをいただいてゆっくりすることができた。 眼鏡橋、オランダ坂、グラバー園、路面電車・・・。 横浜とはまた違う異国情緒あふれる明るくきれいな街でした。  この秋は行事がいっぱいです。 カラオケ、網膜の日、白状体験に年金、つくしの会もあります。  みなさん是非お出かけ下さいね。  12月には福祉機器展も行います。「こんな便利なものがある・お店がある。《情報をお持ちの方は佐々木までご連絡下さい。みんなに教えて便利に使いましょう。                                     佐々木  発行人   身体障害者団体定期刊行物協会   東京都世田谷区砧6-26-21 編集   JRPS神奈川支部会報編集部   佐々木 裕二    〒256-0812小田原市国府津**********     TEL/FAX **********     E-mail **********                              定 価 200円 (おわり)