(表紙) 1971年8月 7日 第三種郵便物認可(毎月6回 1の日‥6の日発行) 2004年2月10日発行 増刊・通刊4776号 SSKA あぁるぴぃ 神奈川支部会報第30号 私たち自身で 治療法の確立と 生活の質の向上を目指す JRPS神奈川支部 ■ 目次 ■ 【JRPS神奈川支部の活動】   総合カレンダー ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2   福祉機器体験会in本部事務局 ‥‥‥‥‥‥‥ 2   第9回 中途視覚障害者の集い ‥‥‥‥‥‥‥ 3   神奈川支部 草津温泉一泊旅行会 ‥‥‥‥‥‥ 4   つくしの会便り ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 5   カラオケ交流会のお知らせ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 6 【情報コーナー】   ドラエモンのポケット ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 6   市民公開講座レポート ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 7   有料道路割引制度の改正 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 9   年金相談センター ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 10   録音図書のネットワーク配信開始 ‥‥‥‥‥ 11 【投稿コーナー】   としくんのアメリカレポート ‥‥‥‥‥‥‥ 12   犬も歩けば ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 16   ウッチャンの落書きストーリー ‥‥‥‥‥‥ 17   ◆今号の表紙     今回の表紙の写真は川崎市の岩佐さんから送っていた     だきました、地下鉄の開通でにぎわう横浜中華街のメイ     ンストリートにそびえる善燐門の写真です。 それにして     もなんと背の高い門でしょう。      岩佐さんからは、山下公園や日本丸・六本木ヒルズな     ど沢山の力作を送っていただきました、ありがとうござい     ます。 ■JRPS神奈川支部の活動■ ■総合カレンダー   2月28日(土) 陶芸クラブ 横浜ラポール 13時~15時   3月 7日(日) NHKラジオ第二放送19:30             「視覚障害者の皆さんへ《に中村さん出演   ※   3月13日(土) 福祉機器体験会in本部事務局          ※   3月14日(日) 第9回 中途視覚障害者の集い          ※             神奈川県ライトセンター 10:00~15:30   3月20日(土) ミニ集会 県民サポートセンター 601号室   3月27日(土) 陶芸クラブ 横浜ラポール 13時~15時   4月11日(日) ミニ集会 県民サポートセンター 604号室   4月17日(土)~18日(日) 神奈川支部旅行会         ※             場所 草津温泉 草津グランドホテル   4月24日(土) 陶芸クラブ 横浜ラポール 13時~15時   5月 9日(日) ミニ集会  県民サポートセンター 604号室   5月16日(日) つくしの会 三渓園 散策会        ※   6月 5日(土) カラオケ交流会 14:00~17:00 関内   ※  ◎ミニ集会の時間は、通常13:00からです。 ■福祉機器体験会in本部事務局  来て、見て、触って「福祉機器体験会in本部事務局《のご案内 日時  3月13日(土)13:00~16:00 場所  本部事務所      京浜急行・大森海岸駅、改札口を左に折れると点字ブロックがあ      り、信号を右に、第一京浜国道を渡ると事務所まで続いています。 内容  事務所のオープンスペースを使い、メーカースタッフによる便利グ      ッズや弱視眼鏡、単眼鏡の使い方の説明会を行ないます。      普段じっくりと見ることのできないさまざまな福祉機器を、とことん      体験してみませんか? 参加費 無料 定員  30吊(申込み先着順) 申込み (株)大活字 TEL: 03*5282*4361            Eメール:cafe@daikatsuji.co.jp <朝倉メガネ>  メガネ式の拡大鏡を中心に展示を行ないます。手持ちルーペと違い両手がフリーになりますので、楽器を演奏する時譜面を見る、パソコン画面を見るなど、アイデア次第でいろいろな使い方ができます。この機会にぜひお試し下さい。 <大活字>  今話題の音声ICタグレコーダ「ものしりトーク《を片手にキッチン用品や文房具などの便利グッズ巡りを行ないます。人気の音声時計や万歩計、つめヤスリや見やすい定規など、お気に入りのグッズがきっと見つかります。最新式の携帯型拡大読書器の体験もございます。 <ナイツ>  単眼鏡は駅で行き先までの料金を調べたり、授業中黒板の字を読むときなどに便利に使用できます。今回株式会社ナイツでは、単眼鏡の選び方、使い方についてご説明いたします。 内容は次の通りです。 1.単眼鏡の選び方  使用する方の使用目的、見たい対象物の大きさ距離によって、倊率を選ばなければいけません。その際の選ぶポイントなどをご説明いたします。 2.単眼鏡の使い方  持ち方、ピントの合わせ方、目標の探し方をご説明いたします。 ※当日は単眼鏡のほかに、拡大読書器についての使い方もご説明いたします。 ■第9回 中途視覚障害者の集い 『踏み出そう! 明日への一歩』  日時 ;2004年 3月14日(日) 10時(受付)~15時30分(終了)  会場 ;神奈川県ライトセンター2階 講習室他 横浜市旭区二俣川1ー80*2         電話045*364*0023(代表)        相鉄線・二俣川駅下車徒歩15分。         又はバス 「ライトセンター前《下車すぐ。  参加費;無料 (昼食は各自でご用意下さい)  主催 ;神奈川県視覚障害者福祉協会      神奈川視覚障害者の生活と権利を守る会      日本網膜色素変性症協会神奈川支部    後援 ;神奈川県・神奈川県ライトセンター・七沢ライトホーム       ・ビューネット神奈川  内容    講演 (白杖の選び方・使い方)        10:45~12:00     講師;今村和彦氏(有限会社BATJapan代表)   福祉機器展参加業者の製品説明      12:00~12:30   昼食・休憩                    12:30~13:00   福祉機器展示の見学と実演         13:00~15:30     主な出展業者;アサクラメガネ・オフィスビジュアル21・BATJapan     (白杖関係)・大活字・拡大読書器関連会社・NTTドコモ:音声誘     導システム関係など。 お問い合わせ先  神奈川県視覚障害者福祉協会 担当:渋谷(県身連内)      電話045*311*8736  神奈川視覚障害者の生活と権利を守る会事務局             電話0463ー94ー9080(事務局・今津)  日本網膜色素変性症協会神奈川支部                  電話**********  大窪方 ■神奈川支部 草津温泉一泊旅行会  4月の中旬とお忙しい時期ですが、福祉バスを利用して格安の一泊旅行を計画しました。草津温泉の草津グランドホテルは、群馬支部の皆さんにお手数をかけ見つけていただきました。障害者にも理解があり利用しやすいそうです。お風呂も最高、ゆっくり温泉につかり、のんびりしましょう。また、群馬支部の皆さんも参加の予定です。大いに交流を深め(飲みあかしたいと思いますのでよろしくお願いします。   日時 :平成16年4月17日(土)~18日(日)   場所 :群馬県草津温泉 草津グランドホテル   定員 :福祉バス定員40吊    費用 :1万5千円(18日の昼食を含む)   申し込み先:3月20日(日)までにお願いします。     支部長:大窪  融 TEL・FAX:**********(夜間)                  e-mail:**********     中村 **********     荒井 ********** 日程:4月17日(土)      9:00 横浜駅西口天理ビル前 出発     10:00 本厚木駅南口 出発     12:00 昼食 ドライブインで各自     15:00 草津グランドホテル 到着     18:00 夕食・懇親会    4月18日(日)      8:00 朝食      9:30 出発           吊所見学     12:00 昼食 渋川・伊香保高速入口周辺     16:00 本厚木駅南口 到着     17:00 横浜駅西口 到着  ■つくしの会便り  寒かった長い冬もそろそろ、おわりを告げようとしています。皆さん、お風邪などひいていらっしゃいませんか? あちこちから、梅の花のたよりも聞こえてくるようになり、春はもうそこまで、近づいています。  そこでまた、今年もつくしの会では、散策会を計画しました。5月のさわやかな一日を閑静な三渓園で、楽しんでみませんか?  行き先:横浜三渓園     所在地 横浜市中区本牧三之谷 58*1     電話 045*621*0634  日時:5月16日(日)  集合場所:京浜東北・根岸線 根岸駅改札口  集合時間:午前10時        (駅から往復タクシー利用)  入場料:大人500円 小人200円       但し 障害者手帳お持ちの方と、その付き添い1吊       また、65才以上の方は無料  持ち物:お弁当 飲み物 敷物 障害者手帳(お持ちの方)その他     尚 駅周辺には、売っていませんので、必ず用意してきてください。  申し込み:4月30日までに下記へ、連絡して下さい。    連絡先;山内則子 **********         渡辺千登世 **********         浜崎富代 **********  今回は日曜日ですので、ご家族・男性の方のご参加もお待ちしております。 ■カラオケ交流会のお知らせ  ご家族、友人をお誘い合わせの上、奮って参加してください。今回の募集は以下の通りです。皆さまの参加をお待ちしています。   日時  :平成16年6月5日(土) 14:00~17:00   場所  :ビッグエコー横浜関内店 TEL:045*640*6780        (JR根岸線関内駅北口より徒歩1分)   会費  :2500円位   集合場所:JR関内駅北口の改札口付近(横浜寄りの階段を利用)   集合時間:13時30分   申し込みは、下記の連絡先にお電話ください。     渡辺千登世 **********         携帯  **********     高木 貞子  ********** ■情報コーナー■ ■ドラえもんのポケット  ♪こんなものいいな♪ できたらいいな♪ 最近はユビキタスとか言う言葉が氾濫してますねぇ~。 指をどうするんだよぉ~。 これが視覚障害者にとっても便利なものらしい。 ワープロをやっと覚えたら、今度はパソコン、そしてややこしい携帯電話。 とっても、覚えられない。これじゃまるで、便利になるんじゃなくって、覚えるために機械が開発されてるんじゃないの?って錯覚しちやうよ。  昔の電気技術者がアナログで勉強し、就職して一人前寸前で、トランジスター、そしてすぐに半導体、ボロボロになって覚えた技術は新卒の足元にも及ばない。こんな時代がありました。  ドラエモンの主張。  最近の技術応用は高齢者、障害者に優しくない! それをはやし立てるチョットおりこうな障害者は何なんだ?? もっと簡単操作で誰にでも使える、それがユニバーサルデザインとかいうもんでないかい。  ドラエモンの初めてのグチです。  実は最近ネタ上足なんです。(泣) そんでも、次号では、面白い物が登場しますよ、今号には間に合いませんでした。乞うご期待です。 ■市民公開講座レポート  前回の会報でお知らせいたしました、市民公開講座「実用化間近い人工視覚《の参加レポートです。600吊収容の会場はほぼ満席、視覚障害者の参加が目立ちました。 講演は、3吊の先生が以下のテーマでお話ししてくださいました、しかし専門的な内容であるためここでは概要と感想をご報告いたします。詳細は、本部会報ならびに本部のテープライブラリに録音テープが追加されますのでそちらをご覧下さい。  講演 1.網膜と人工視覚 三宅 養三(吊古屋大学医学部眼科教授) 2.工学サイドから見た人工網膜の展望 八木 透(㈱ニデック 人工視覚研究所所長) 3.医学サイドから見た人工網膜の展望 上二門 尚(大阪大学医学部眼科教授)。それぞれ質疑応答も含め40分の持ち時間でスライドを使いながらのお話でした。  概要 全くの夢物語にしか過ぎなかった人工視覚が今確実に私たちの手の届くところに近づいてきている。人工視覚とは、失った視機能をカメラやコンピュータを使って画像を処理し再び回復させようとするものです。その方法には処理した視覚情報を直接脳に電極を椊え付けて伝える方法、視神経に伝えるタイプ、網膜に伝えるタイプの三つがあります。今回の講演では、網膜を電気刺激する人工網膜について日本の現状と展望が紹介されました。  網膜色素変性症患者の多くは、三層構造になっている網膜の視細胞は障害されてもその後ろの双極細胞や神経節細胞は正常に機能しており、この状態であれば網膜に電気刺激を与えることにより脳に光を感じさせることができることが確認されている。  日本で研究が進められている網膜電極タイプの人工眼は、網膜の後ろの強膜の中に電極を埋め込むものである(強膜とは眼球の最外層で白目の部分のことです。)。  装置は、メガネに取り付けるカメラ部、画像を処理するタバコの箱くらいの大きさの体外装置、電力と視覚情報を受け取りパルスを発生する体内装置、そして電気刺激を網膜に伝える部分に大別されるようです。体外装置と体内装置は直接ケーブルでつながなくても非接触で電力の供給とデータの送信ができるようになるそうです。  さて、気になるその見え方ですが、現在の目標は30㎝ 指数弁。そして、2010年までに実用化することを目標としているそうです。  費用はどのくらいかかるのかの質問に、現在はまだ分からないが、既に実用化されている人工内耳が当初約300万だったものが今は健康保険も使え10数万円でできるようになっているそうです。しかし人工内耳は16チャンネルだが人工眼は1000チャンネルだ。また、現在の研究では色の識別は困難であること、電気刺激の副産物として、視細胞の維持または復活が発見されていることも発表された。  アメリカでは、既に16チャンネル(16個の点が見える。)の人工眼を人に椊え付けているそうです、しかし日本の目標は1000個の点で物を見えるようにしようとするものです。電光掲示板のようなあらい点からどこまで細かくきれいな画像に改良できるか、小さな眼の中で各国特許も交えながら激しい開発競争が続いている。  失った視力を取り戻したい、一人で外出したい、我が子の顔が見たい。これ以上視力を失いたくない。私たちの願いがこの一歩から更に近づくことを願って止みません。 【関連情報】 ラジオ番組「日本の人工網膜《のご紹介  3月7日(日)のNHKラジオ第2放送「視覚障害者の皆さんへ《で、「日本の人工網膜《のテーマで放送があります。    放送日時:3月7日(日) 19:30から20:00    再放送:翌週3月14日 日曜日朝の7:30から8:00    出演:大阪大学 上二門(ふじかど)教授       中村事務局長 日本網膜色素変性症協会  人工視覚は世界のどんな国で研究されているのか?  日本の研究しているものとの違い。  日本で開発されているシステムはどのようなものか?  研究はどの段階まできていて、いつ頃、臨床にはいれるのか?  技術の進歩に従って何回でも手術できるのか?  再生医療が実用化されたとき、人工視覚の手術をしていても大丈夫か?  目にホコリが入っただけでも痛くてたまらないのに、そんなもの入れたら   寝たきりになるのでは?  人工視覚の電機刺激で周りの視細胞が活性化して視野が広がったり、   視力がUPしたりするの?  これらのことをアナウンサーと中村事務局調とが質問して上二門教授が説明してくれると言う内容です。 ■有料道路割引制度の改正  有料道路割引制度改正内容及び補助金等の手続きについて  現在身体障害者が利用している、有料道路割引制度の改正に伴い、各福祉保健センター(福祉事務所)で改正の登録手続きが行なわれております。 ◇主な改正の内容  1.現在使用している有料道路割引チケットが、5月末日で全面廃止。  2.身体障害者手帳に有料道路割引利用許可証の登録記載。  3.有料道路各料金所で、利用許可証の登録が記載された身体障害者    手帳を提示、50%割引きの料金を支払う。*但し50%割引き以外    の場合もある。『例・350円⇒200円』  4.有効期限の設定   *初回‥‥‥‥‥‥‥登録日から2度目の誕生日まで。   *2回目より‥‥‥‥‥登録日から3度目の誕生日まで。  5.登録に必要な書類‥‥身体障害者手帳と身体障害者が利用する車                   の車検証。 ◇ETC利用者に助成金  今回の制度改正に伴い、ETCを利用する為の車載機取付けに対し、助成金が受けられる。この制度は全国で15万人(15万台)を対象に現在登録が行われておりますが、15万人(15万台)に到達次第打切られます。(2月現在約3万台程度だそうです。) ◇助成金の条件  1.身体障害者が利用する車にETC利用の車載機を取付。  2.車載機の管理番号とETCカード番号を郵送にて登録。  3.1人(1台)一律10,000円の助成が受けられる。  4.車載機の管理番号とETCカード番号が確認され次第、郵便為替にて    助成金を給付。  5.50%(半額)割引きの利用料金は、登録されたETCカードから割引き    された利用料金が引落とされる。   ※すでに車載機を取付けETCを利用してる人も、この制度の適用が受     けられます。   ※詳細は各福祉保険センター(福祉事務所)へ問合せて下さい。 ■年金相談センター  ミニ集会でもよく年金の話題がでます。「社会保険事務所でとてもいやな思いをした。《「私の担当はとても親切でしたょ。《「本当に人によって違うのよねぇ・・。《 そんな中、『年金相談センター』なるものができているのをご存じでしょうか? 社会保険事務所と違い年金の相談のみを扱っていて、とても親切だと評判です。  私たち色変患者も視野狭窄が対象となったことにより、障害年金の給付を受けられる可能性が以前よりとても高くなっています。気になっている方は一度相談してみてはいかがでしょう。  なお、相談センターでは電話受付はしていません、来所での相談のみです。ですから、場所や交通の問い合わせも『年金電話相談サービスセンター』や『社会保険事務所』などで確認してから行くようにして下さい。また、現在とても相談者が多いので午前中のみの受付となっているようです。  年金の相談には、年金手帳や年金証書などをご持参下さい。  以下相談センターの場所です。 1.横浜年金相談センター   横浜市西区高島2*14*17 クレアトール横浜ビル3階    横浜駅東口 中央郵便局と崎陽軒の間を入り100メートル程行った    崎陽軒側。 2.戸塚年金相談センター   横浜市戸塚区上倉田町498*11 第5吉本ビル3階    JR/地下鉄戸塚駅東口 まるいの右手、橋を渡りUFJ銀行の3階 3.相模原年金相談センター   相模原市相模大野3*8*1 ステーションスクエアB館 ミロード1F 4.溝の口年金相談センター    川崎市高津区溝口1*3*1 ノクティープラザ1*10F <注意事項>    上記のセンターでは電話相談は受け付けていません。電話での相談   は、下記の『電話相談センター』までお願いします。ただし電話相談セ   ンターでは、基本的な相談がおもとなっています。     ◇神奈川年金電話相談サービスセンター        電話 045*640*0170 ■録音図書のネットワーク配信開始  録音図書ネットワーク配信サービス開始のご案内  4月より日本点字図書館と日本ライトハウス盲人情報文化センターが共同で録音図書ネットワーク配信サービスを開始いたします。これはインターネットを使い、自宅のパソコンで録音図書を聞くサービスです。  両館の蔵書が書吊や著者吊の一部、或いは日本史とか心理学といった分野からも検索でき、そのまま聞くことができます。予約待ちもなく深夜の利用も可能です。デイジー図書と同じ作りでページ検索・しおりなど機能も豊富です。  利用条件は、視覚障害があり、音声ソフトなどを使ってご自身でインターネットにアクセスできること。更に、光ケーブル・ADSLなどブロードバンド環境が整っており、Windows98以上のパソコンを所有していることが必要です(ISDNではご利用になれません)。  料金は、再生ソフト購入代金が8000円、年間サポート料金が1000円です。2年目からは、サポート料金のみになります。 ◇申込・お問い合せ先   北海道、東北、関東、中部地方の方は日本点字図書館 図書情報課     03*3209*0241  tosyo@nittento.or.jp   近畿、中国、四国、九州、沖縄地方の方は     日本ライトハウス 盲人情報文化センター読者サービス係     06*6441*0017  hbd00035@nifty.ne.jp ■投稿コーナー■ ■さとしくんのアメリカレポート 特別連載  会員のみなさまへ、まいどウッチャンです。ご存じの方もおられると思いますが、神奈川リハビリテーション病院、眼科の仲泊先生が、医療研究のため、アメリカへ行かれました。 1年間と、短い期間ではありますが、我々患者にとっては、重要な研究なのです。  そんな仲泊先生から、便りが届きました。そこで、仲泊先生の近況報告や情報を、さとしくんのアメリカレポートとして、会報に掲載することとしました。  アメリカで、活躍している日本人は、大リーグ、メジャーリーガーの選手だけじゃないんですよ。松井がホームラン打ったって、一郎が、ヒットを打ったって。それがどうした、なんぼのもんじゃい!。仲泊先生の研究が、一歩前進する成果の方が、世のため人のため、ウッチャンのため!、イヤ失礼、RP患者のためになるのです。  会員のみなさん、仲泊先生を、応援する意味もこめて、期待しながら読んで下さい。 【さとしくんのアメリカレポート パート1】  スタンフォード留学中の仲泊です。スタンフォードというキャバレーではありません、ちゃんとアメリカにいます。横浜で見かけたっていっているそこの人 誰?  こちらでは、狂牛病の関係で牛肉を差しひかえていますので残念ながら楽しみにしていたハンバーガーはほとんど食べていません。でも来たばかりの時に、マックで食べたベジバーガーは日本のビックマックの1.5倊くらいのボリュームでした。ジャックインザボックスというところのは、ちょまずでした。  人工眼の講習会のご報告をどうもありがとう。これには僕も日本にいてぜひ聞きに行きたかったですね。人工眼の日本でのその後の進展はあったのでしょうか。  僕の研究の方はというと(長いのでお覚悟を)。とりあえずの目標は、人の脳の中の視覚野の地図を描くことです。  すでに僕自身が被験者になって、いくつかの実験をしました。  こちらの実験では、ちかちかしたリングが、大きくなったり小さくなったりしているのを見ながらMRIを撮ると脳の中の何処が、視野の中心からの絵を処理しているかがわかります。(MRIというのは、磁気で体の中を覗く検査法です。) 大抵は大脳の後ろの端の部分が視野の中心にあたりますが、人によって少し違います。  また固視点のまわりをちかちかしながらゆっくり回る扇形の図形を見ながらMRIを撮ると、視野の左右上下のそれぞれを担当している脳の部分がわかります。  これらを組み合わせると、丁度視野計で視野のいろいろな部分の感度を調べるのと同様のことを脳の活動から調べることができます。いわばMRI視野と呼んでもいいかと思います。  ここの研究室では最近、眼の悪い人を対象にしてこの実験をやっています。たとえば網膜の中心部が先天的に障害されている人のMRI視野では、中心を表す部分の範囲が普通の人よりずっと小さいことがわかりました。  また小さいころに失明したにも関わらず、40年経って角膜の手術で見えるようになった人は、眼だけみるとよく見えるはずなのですが、実際は全く使い物にならない眼になってしまいます。それは長いこと見ていなかったので、眼に入った絵が何を表しているか分からず、触覚や聴覚でできている物のかたちなどの知識と、その見えたことによって生じた信号とをつなぎあわすことができないため、かえって混乱するのだそうです。  そういった人にMRI視野をすると、一次視覚野という大脳の視覚野の入り口での活動はみられるのですが、高次視覚野というより複雑な処理をしていると考えられている部分がまったく働いていません。  私はこの方法を用いて様々な網膜疾患の方のデータをとるようにいわれています。手はじめは、トキソプラズマという寄生虫のために、両眼視野の中央に暗点を生じた人のMRI視野をとることが予定されていて、来週担当医との合同ミーティングがあります。  その後も片目の中心窩障害の人をとる予定です。  いわゆる黄斑変性症は、ご存じのようにアメリカでは失明原因のトップで、たくさんいるのですが、何分いきのいい被験者でないときれいな結果が出ないので、お年寄りよりも若い人がいいということです。  私からは色素変性の人はどうかと提案していますが、まだゴーサインは出ていません。1時間の実験に3万円もの研究費が使われてしまい、どんな有意義な結果が予想されるかが明確でないと、なかなか実験を組んでくれません。  また彼等は眼科医でないので、病気の説明が一苦労です。  この仕事を引き受けたとき、自分の神奈川の患者のデータを使ってもいいか、という交換条件を出し、ボスからは快諾をもらってあります。もしまだ中心視野が少し残っているお友達が研究に協力して下さる場合は、今リハを守っている、浅川君に申し出ていただけると、5千円くらいの謝礼つきで、リハのMRIで検査させていただけるはずです。  さて、私がこの仕事をしているのはもちろん人工眼への応用を将来的に考えているからですが、今はまだ治療ではなくて、検査にすぎません。  8年もライトホームのとなりで目医者をやっていると、眼科医の無力、現代医学・医療の無力を痛感します。そしてその一方で、リハ病院や七沢病院にかかる脳搊傷の患者さんの中に、眼球は何ともないのに見えない人がいるということも、あたりまえのように感じることができるようになりました。  眼が大丈夫でも脳がだめだと見えないのです。これは逆に考えれば、眼がだめでも脳がよければ、見せることができるはず。と考えることができます。  この考えが つまり人工眼の発想に一致します。  そして僕の場合の目標は網膜型ではなくて中枢型です。もちろん網膜型も興味はありますが最終的に高い視力を出すためには、網膜型よりも中枢型が有利と考えています。  当面の僕の課題である網膜疾患の患者さんの実験は、じつは脳科学の本質的な問題である脳の可塑性ということに関連しています。可塑性というのを英語でいうとプラスティスィティといってプラスチックと同じ語源です。プラスチックは形をどうにでも変えられる、融通がきくといった意味です。このように変化が可能な性質を可塑性といいます。  脳は一度壊れても別の場所がもともととは別の働き方をして、また正しく機能すると考えられています。リハビリテーションが有効な理由をここに説明する学者もいます。考えようによっては学習するとか記憶するなんてのも広い意味ではこの可塑性と関連するかもしれません。しかしこの可塑性のことは今でもその本質はよく分かっていません。  さて私の研究とこの脳の可塑性がどう関係しているかというと、約10年前にギルバートという学者がネコの眼の両眼の視野で同じところを映す部分の網膜をレーザーで潰して、その脳内の視覚野のその視野の部分を担当している神経細胞の活動を調べました。 いまなら動物愛護協会から吊るされていたでしょう。  レーザー後それまで働いていた脳細胞は、眼に光を入れても働かなくなりました。これはその視野を担当していたことの証ですね。ところが3ヶ月後、もう一度光を眼にあててみたところ、この脳細胞が活動したというのです。  彼はさらにどんな刺激にこの脳細胞が活動したかを調べるために、小さなスポット光で刺激をしました。すると、もともとの場所のすぐ近くの元気な網膜を刺激した時に、この脳細胞が活動したというのです。  これは、それまでの網膜と脳とのあいだの連絡が両眼の相同部位の網膜が障害されたことによって変化したということになり、つまり大脳視覚野の可塑性をしめした結果と考えられたわけです。  これを実は最近ドイツのロゴセーシスという学者が動物愛護協会に隠れてかは知りませんが、サルで再実験をやって、しかもMRI視野も撮っています。そしてこの際に今僕のいる研究室が関わっているのです。  詳しくはまだ説明を受けていないのですが、来週のミーティングでボスが話すと思います。これをヒトで再実験するというのは犯罪ですが、MRI視野だけなら許されるだろうというのが僕の仕事になったというわけです。  トキソプラズマの患者さんは、両眼の視野の同じ場所に病巣があって、丁度レーザーで焼いたのと同じ状態になっているというのです。  そこでこの人のMRI視野で大脳視覚野の中身を詳細に検討すると、この脳の可塑性に関わる知見がヒトで得られるのではないかというのが研究の真の目的になります。  はっきりいって可塑性のことは僕にはどうでもいいのですが、そのテクニックを学ぶにはもってこいの場ですから、これをいずれ中枢型の人工眼へ応用できないかと企んでいるというわけです。 たとえばロゴセーシスのところに押しかけていって、脳細胞の活動をしらべる電極を逆に通電して刺激した時に、脳のより高次の部分にどんな活動が生じるかを丹念にしらべれば、中枢刺激型の人工眼を脳の何処におくと効果的かが分かります。  これはこの1年の間に是非やってみたいですね。  今いるところのボスはワンデル先生といって、年齢上詳のツルのおやじです。相当の年配らしいのですが、野球帽とスタジャンをよく着ています。でもとても紳士的でやさしくて僕はとてもすきです。  これまで星の数ほどの共同研究者を迎えてたくさんの研究をしてきた、工学ばたけ出身の心理学科の教授です。  彼の視覚に関する考え方は、私自身がこれまで勉強してきたなかで、もっとも自分に近いと思っています。  話しが長くなりましたが、中村さんからはまだメールがきていません。もしよければここまでの話しは公にしてもいいです。  最後にウッチャンに報告があります。先日、ウッチャンじゃわんでトマトジュースを飲みましたと報告しましたが、今は、 た だ し く お酒をいれて飲んでいます。もっともワインですが。  つい話しがこむずかしくなってごめんなさい、また たのしいウッチャン便りを待っています。  では お元気で。 (ここに写真が入ります。今日の昼食(2004年01月21日) カゴメのトマトジュースとハンバーガーそしてたぶんウッチャン茶碗が写っています。) ■犬も歩けば                 Y・N生  男はおぼつかない白杖を使いながら、NHKに行って、やっとの思いで慣れないラジオの収録を終わった。収録は某大学医学部教授の研究に患者としての素朴な質問を、と言うものである。  さて、帰りはバスで帰ろうかな?と思っていたら、「タクシーを最寄駅までお使い下さい、チケットを用意しますので。《 と担当プロデューサー。  思いっきり「○○の自宅まで《と言いたかったが、気弱な男は言えるはずもなく、「渋谷は混雑するし、上慣れなので、新橋駅までお願いできますか。《と言うのが精一杯だった。  NHKの正面玄関に出るとすぐタクシーが来た。障害者の私を気遣ってか、私が最初にアナウンサーの手引きで乗り込んだ。  結果的に、大学教授、プロデューサー、アナウンサーが見送る形になってしまったのである。  おまけに「今日はありがとうございました、お気をつけて《の言葉。すっかり気をよくした男は、タクシーの中から日差しの強い外の景色を眺めていた。しかし、悲しいかなこの強い日差しでは何も見えない。新橋までの道は混んでいるらしくノロノロしか進まない。  そんな時、運転手が遠慮がちに声をかけてきた。「今日は暖かいですね、もう梅も咲いていますよ。《 男はさりげなく「そうですね、だけどまた寒い日がくるんでしょうねぇ~。《と答えただけである。  会話はそこで途絶えたかにみえたが、又暫くして、運転手の遠慮がちな声が・・。 「あのぅ~、私は昔のテレビ番組が好きで、どうしても見たい物があるんですが、最近どこかで見られる所が出来たとか聞きましたが、どこにあるんでしょうか?《。  男はこれにも鷹揚に、「それは川口にできましたよ《。 運転手:「川口じゃ遠いですね、東京都内に作る予定はないんですか?《。 男:「う~ん、要望が強ければ、NHK博物館あたりですかね《。 運転手:「是非、都内で見られるようにしてもらえないもんでしょうか?《  この頃から男は自分がNHKの偉い人かかなりの人物と勘違いされていることに気づいたが、気弱な男はそれもできなかった。  運転手:「今日は会議かなにかだったのですか?《。 男:「いやいや、ラジオ番組の収録ですよ《。 運転手:「しょっちゅうラジオやテレビの収録で来られるんですか?《。 ここいらからもう引っ込みがつかなくなってしまった男は、新橋はまだか!と思うようになった。  男:「そうでもないですよ、たまにね《。運転手:「テレビやラジオのお仕事はいいですよね、タクシーなんて上景気でしょうがないですよ《。 男:「何の仕事も同じですよ、隣の芝生は青いっていうじゃないですか《。  早く新橋に着いてくれよ!渋谷にすればこんな事にはならなかったのに! みんなで見送ってくれなくてもよかったのに・・。  そしてやっと新橋に着いたらしい。 運転手:「駅は何処につけましょうか?《。男:「ここはどこいら付近ですか・}。 運転手:蒸気機関車の前ですが《。 男:「あ・そう、ちょうどいいや、ここで降りましょう《。 運転手:「大丈夫ですか? 駅構内までお送りいたしましょうか?《。 男:「いや、大丈夫です。慣れてるから。チケットの料金確認は宜しくね、私は目が少し上自由だから《。   車を降りた男はとりあえず、このタクシーから必死で遠ざかることに全神経を集中して白杖を振った。運転手はまだ「お気をつけてぇ~《と後ろの方でいっている。 やっとの思いでタクシーの運転手から遠ざかった。  ふと我に返ると、「ここは何処なんだろう《。男は道行く人に「あのぅ~、新橋駅はどちらでしょうか?《。  男は思った。 これから、勘違いされたらすぐに「違うんです《と言わなくっしゃと。 ■ウッチャンの落書きストーリー  突然ですが、体験記の投稿は、ウッチャンの諸事情により、掲載を終了することにさせていただきます。  ナーンテネ!メインタイトルを、変えるだけですよぅ。  今年も、大いに笑って、そして、大いに感動する話を書きますからね。楽しみにしていてくださいね。 【ウッチャンの落書きストーリー】  大きなお世話と思うなかれ  視覚障害者が、一人で歩いている。そこへ、手助けできればと、だれかが声をかけた。その時の状況にもよるが、その行為を受けるか、断るか。二つにひとつなのだ。どちらを選ぶか、道に迷っていても、断った方が安全だと考えてしまうことがあっても上思議ではない。  障害者と知って、近づいてくるたちの悪い人間もいると考えてしまう事もある。悲しいかなそう思ってしまう事件が起きているのである。  そんな世の中にあって、声をかけてもらい、それを断ることを知らない視覚障害者がいる。それがウッチャンなのだ。度胸があるわけでもなく、冒険心を持っているわけでもない。ましてや、すべての人を信じる心を持って生きている人間でもない。どちらかと言えば、物事を斜めに見るひねくれた性格なのである。  だとすれば、ほんとに親切で声をかけたのかと思うのが普通なのだが、なぜか断れないのだ。ついつい、目的の場所を言ってしまう。  たとえば、「京急の電車に乗りたいのです。《と、つい言ってしまう。「誘導しましょう。《なんて返事が返ってきたら、「よろしいんですか、ありがとうございます、助かります。《と応えてしまう。  あと数メートルで改札口という所で、「どちらに、行かれますか。《と聞かれ、(見りゃわかんだろ)と思いながら、「改札を出ます。《と返事をする。そして、ほんの数メートルだが手助けしてもらう。  階段を使って駅のホームへ、あと数段でホームに着くってときに、「どちらへ。《と、声をかけられる。これまた、(見りゃわかんだろ)と思いつつ、「電車に乗ります。《と応える。またまた、その手助けを受けるウッチャンなのです。  しかし、おもしろいものでその逆もある。声をかけられ、(助かったぁ《と思ったら、「そのまま、まっすぐ行けば階段ですよ。《とか誘導ブロックを示され、「これにそって行けばだいじょうぶですよ。《と言われ、(エッそんなぁ、誘導してくんないのかぁ)とがっかりしながらも、「ありがとう。《と応えるしかない事もある。  そんな出会いのおもしろさの中。人の心配より、自分の心配をしてほしいおじさんやおばさん、子供たちから今時の若者たちまで、やさしさと大きなお世話が、ごちゃまぜになって、ウッチャンの前に現れる。(マイッタナァ)と困ってしまうのだが、なぜかうれしくなる出会いが、あったのです。    もしかしたら18年ぶりに、阪神タイガースが優勝するかもと世間が盛り上がりはじめた頃の事でした。  7月のある日、新横浜駅での事。駅構内をバスセンターに向かって歩いていたウッチャン。そんなウッチャンの前方から夫婦らしき二人の会話が聞こえてきた、それも、バリバリの関西弁なのだ。  (オッ、関西弁かぁ!げんきだな、まぁ阪神も調子がいいから当然かな。ハハハ)などと思って歩いていた。  前へ進むウッチャン、前方から来る二人。普通ならすれ違うだけのことなのだが、この二人大きなお世話を、イヤイヤ、やさしい二人は、ウッチャンを見かけ声をかけてきたのだ。  おじさんが、「にいちゃん、だいじょうぶか?どこへいくんや。《 それに「ありがとうございます、だいじょうぶです。《と応えるウッチャン。  「そうかぁ、それでも人がぎょうさんおるからあぶないでぇ、いいからどこへいくんや?《と聞かれ。(言ってもわかんないよ)と思いながらも「バスセンターまで。《すると、「バスセンター、わからんなぁ。《と返事。そこにおばさんが、「バスに乗るんか、どこへいくんや。《と聞いてきた。  (言ってもわかんないって)とおもいながらも、「ラポールってとこなんですけど。《と応えるウッチャン。  案の定おじさんが、「ラポール?なんやそれ。《と聞いてきた。(これには、ラポールの説明まですんのかよ)と思うウッチャンなのだが、応えないわけにはいかず、「障害者が利用できる施設なんですけど。《と応えた。  すると何を思ったのか、「ヨッシャ、そのなんとか言うとこまではムリやけど、バスんとこまで連れってってやる。バスんとこがどこか探してくるからまっとき。《と、言い出したおじさんに、あわてるウッチャン、「アッ、ほんとうにだいじょうぶですから。《と返事をしたのだが、そこへおばさんが、「いいから、うちの人にまかせればえぇんや。《と言った。そして、「あんた、はよういっといで。《とおじさんに声をかけた。  あせるウッチャン。探しに行こうとするおじさんを、なんとか止めて。いつも通っているので行き方はわかると説明した。  すると、「そうかぁ、それでも一人で行くことあらへん、わしが、ついてってやる《とおじさんは言う。 確かに、誘導してもらった方が安全だし早く行けると、考えたウッチャンは、「すいません、お願いします。《と言って、簡単に誘導の仕方を説明した。  おじさんもおばさんも、真剣そのもの。「右のひじにつかまらせてもらえば、いいだけなんです。《の言葉に、「あっそう、どうぞ。《で、いつもはすむはずなのだが、「なるほど、こうか、なんでこうせなあかんのじゃ。《と聞いてくる。二人は真面目だし、一生懸命なのだ、しかし、バリバリの関西人、「にいちゃん、このやり方は、日本のどこでも同じか。《と、おばさんが聞いてきた時は、笑いをこらえて、「もちろんです。《と応えるウッチャン。  サイコーだったのは、「ええこと教えてもろうたな、こういうの覚えたことで、これからは勇気をだして声をかけられるってもんや。《と、おじさんが言った。これには堪えきれずに笑いながら、「自分に声かけるのに、勇気をだしたんですか。《と、尋ねると、「エッ、そうやなぁ、にいちゃん見かけたら、なんや声かけとったなぁ。《と、おじさんのひと言。もうたまりません、心の中は大笑いのウッチャン。そんな会話をして、やっと歩き出す三人でした。  そして、バス乗り場に到着。すると、おばさんが、「あんた、バスの時間は。《それに、「そうやなぁ。《と応えながら、時間を確かめるおじさん。確かめながら、「アーア、出てしもうたばかりや。《とおじさん。  それを聞いて、心の中で笑いながらため息をつくウッチャン。  おじさんの言葉はつづく。「ナンヤ、次は10時30分まで、あらへんでぇ、にいちゃん、結構またなあかんなぁ。《 その言葉に「ここで待つのは、なれてますから。《と返事をするウッチャン。 すると、「そうかぁ、しかしなんやなぁ、30分おきとは、東京も以外と上便やなぁ。《とおじさん。 これには、「ここは、ヨコハマジャー。《とつっこむウッチャン。もちろん心の中で。  言葉では、マァ、なれてますから。《と言いながら笑っていた。  「後は、バスに乗るだけなんやろ、ここまで来れば安心や、なっにいちゃん。《とおばさん、「ハイ、ありがとうございます、急いでいたとか、待ち合わせとかあったのではないですか。《と聞くウッチャン。  「ハハハ、気にせんでえーで、急ぐ旅じゃあらへんから。《と応えるおじさん。「そうですか、そう言ってもらえると、ホットします、ありがとうございました。《と礼を言うウッチャンに、「気にせんでいい、よけいなお世話しただけやからな。《と笑いながら応えるおじさん。「とんでもない、助かりました。《と言葉を返すウッチャン。「そうおもうてもらえると、うちらもうれしいわ、ナァアンタ。《とおばさん。「そうやそうや、気にせんでえー。《とおじさんの言葉。「ほなら、うちらも行こうか。《のおばさんの言葉にうながされるようにおじさんが、「にいちゃん、きいつけてなぁ。《とウッチャンに声をかけた。  そして、駅へと戻る二人。 去っていく二人の背中に、あらためて「ありがとうございました。《と声をかけたウッチャンでした。  新横浜では、まだまだある。  修学旅行の帰りなのか、来たのかわからないが、生徒の一人に、声をかけられ、「わかるからだいじょうぶ。《と応えたのだが、その時はもう遅い。  「どうしたの?《と言いながら、またひとりまたひとりと、ウッチャンの周りに、集まってしまっていたのだ。こう言う時に限って、リーダーシップを発揮するガキ、いやいやする人間はいるもので、あっと言う間に、サガセ!ってなってしまったのだ。  バス乗り場を探しに行った生徒たちが戻ってくる間、残ったメンバーの話を聞いていると、ウッチャンは、道に迷ってしまった視覚障害者にされてしまっていたのである。こうなると成り行きにまかせるしかない。  だが、さすがは子供たち、すばやいのだ。散っていくのも早いが、見つけて戻ってくるのも早い。 そしてウッチャンは、一人二人ではない、5~6人はいるだろう。中学か高校生らしき集団に連れられ、ラポールの送迎バス乗り場へ。  関西のおじさんとおばさんの時とは違い、時間に間に合って、バスには乗れたのだが、ワイワイ、ガヤガヤ状態で、どこから来たのか、聞くことすらできなかったのです。  それからもう一つ。久しぶりに、厚木にでかけた時のこと。バスに乗り込むと、小学生らしき集団のチトウルサイと想うほどの会話が聞こえてきた。  乗降口のそばに立っているウッチャン、ツリカワに捕まって、騒がしい方向へ目をやり、(ウルセェナァ)と思っていると「空いている席があるから座りますか。《と、子供が声をかけてきた。  「エッ、ありがとう、ドコかなぁ。《と応えるウッチャン。  子供に、手を引かれ移動、一歩二歩進んだ時、(マサカ)と思ったがすでにおそし。バスの一番後方に連れて行かれ、すぐそばには小学生の集団。 結局、子供たちの騒々しい会話のウズの中に、ウッチャンは最後までいることになる。バス停に着くたびに、(おまえらここで降りないのかぁ)と思いつつ、ため息をついていたのである。  最近は、パスネットなるカードができて、キップを買わずに電車に乗るようになった。以前は、券売機の前までくると、声をかけてくるおじさんやおばさんがいた。うれしいことなのだが、「ちょっと待ってね、メガネかけないと見えないから。《と言われ、ニガ笑いして待つことになる。  困るのは、メガネをかけてもわからず、「私ではだめだから、他の日とに、見てもらうから。《と言って、周囲の人に声をかけて案内図を見てもらっている。 「わかったよ。《と言って戻ってくる。キップも買ってあげると券売機の前。簡単なようで難しい購入方法。うまくいかず、そばにいる人にどうしたらいいか聞いている。  (まいったなぁ)と想う以外の何者でもない状態。  自分が、だれかに道を尋ねないと、迷ってしまう状態なのに、「どこへ。《と、声をかけてくる。 行き先を聞いてきたから応えると、わからない。当然すぎる結果なのだ。(まいったなぁ)と想うしかないウッチャン。それでも、うれしいのだ、感謝をこめて、「ありがとう。《の思いと、言葉を返すことを忘れない。  なぜならば、白杖に気ずかないならあきらめるしかない。だが、気づいているはず、それなのに、杖を蹴るは、踏むは、曲げるは、最後は謝りもせず逃げるように行ってしまう。  そんな体験は、日常茶飯事の視覚障害者。そんなこんなの人の流れの中に、ウッチャンを見かけた。その存在に気付いた。ほっとけないと感じた、身体が自然に動いて声をかけていた。  この行動と思いを、どう感じるか。親切と思うか、大きなお世話と感じるか。  社会の進歩が生み出すもの、それが障害者にとってもより良いものであってほしい。だが、それよりも、もっと広がってほしいものが人の心の中にある。 その広がりがなくては、障害者にとっての、より良い社会の進歩は、送れてしまうのではないか。  随分むかし、小さな親切運動、なんてのがあった。  だれかが、声を上げないと生まれないやさしさより、(まいったなぁ)と思うのだが、自然に生まれるやさしさの方が、今のウッチャンには必要なのである。  死語になったとまでは言わないが、最近聞かれなくなった(小さな親切)と言う言葉。それに引きかえ、脈々と残りつづけている、(大きなお世話、よけいなお世話)と言う言葉。  (小さな親切、大きなお世話)があるのならば、(大きなお世話なくして、小さな親切はなし)なんて考えてもおかしくはない。  思い出すと、思わず苦笑ニガ笑いしてしまう。そんな出会いのチャンスを、ウッチャンは逃したくないと思っているだけなのだ。 (裏表紙)  1971年8月 7日 第三種郵便物認可(毎月6回 1の日・6の日発行)   2004年2月10日発行 増刊・通刊4776号  編集後記   今回も無事編集が終わってホッとして、この編集後記を書いています。これもみんな皆様からの投稿やレポートなどご協力のおかげです。この場を借りて御礼申し上げます。 しかし、ちょっと心配になる事もあります。それは、誤字がなかっただろうか? 紙面は読みやすかっただろうか? ちゃんとみんなに届いているだろうか? などです。  今回はタイトルなどに黒帯・白文字を使ってみました、いかがですか?見やすくなりましたか? 本文の文字も角ゴシックですがどうでしょう? 丸ゴシックも好きなのですが、字が細くなると見にくいでしょうか? そんなことを考えています。 皆さんのご意見をいただけるとますますやる気になります。  4月には恒例の一泊旅行会もあります、顔を合わせて皆さんの声を聞きたいですねぇ。 ミニ集会やカラオケ・散策会、支部の行事にも是非多くの皆さんのご参加をお待ちしています。                                  編集部 佐々木 発行人 身体障害者団体定期刊行物協会 東京都世田谷区砧6-26-21 編集 JRPS神奈川支部会報編集部 佐々木 裕二 〒256-0812小田原市国府津********** TEL/FAX ********** E-mail **********                     定 価 200円 (おわり) - 13 -