JRPS神奈川 会報85号テキスト版 (表紙) 1971年 8月 7日 第三種郵便物認可(毎月6回 1の日・6の日発行) 2017年11月16日発行 SSKA通巻 第9467号 SSKA あぁるぴぃ第85号 KANAGAWA 2017 Winter   私たち自身で、治療法の確立と、 生活の質の向上を目指す JRPS神奈川 **この会報紙は「NHK歳末たすけあい《の配分金により作成しています。** ()表紙おわり あぁるぴぃ KANAGAWA 2017 Winter 第85号 目次 ・巻頭言   2 臨床試験にどう備えるか ・JRPS神奈川の活動   3  総合カレンダー   4 『得々講座』講演会開催のお知らせ 6 チャリティーライブ ミュージックパーティのご案内 8  保土ヶ谷区網膜色素変性症講演会のお知らせ 9 カラオケ交流会のお誘い 10 iPad(iPhone)講座の報告  11 医療講演会の報告  21 「患者のつどい in 横浜市南区《の報告  22 地区交流会(横須賀・三浦、県央、西湘地区)の報告 26 リーダー研修会の報告 27 「世界網膜の日 in 宮城ツアー《に参加して ・情報コーナー 32 会報誌編集スタッフを募集しています  32 会報形式変更のお願いとメーリングリストのご紹介 33 サキサキ先生の簡単パソコン活用講座(7)  37 弱視者が直面する問題とその解決のヒント  40 ちょっと話してみませんか?(ピア相談のご案内)  41 ユース活動列伝 後編  45 特定医療費医療受給者証受給者数(網膜色素変性症)  47 読書の薦め ・投稿コーナー 50 みんなの川柳・俳句・短歌  53 ウッチャンの落書きストーリー (表紙の写真:医療講演会会場にて) ■巻頭言 臨床試験にどう備えるか  最近、臨床試験という言葉をよく耳にしませんか?  iPS細胞を用いた臨床試験として、加齢黄斑変性患者を対象に行われており、現在は他人のiPS細胞を用いた臨床試験も始まっています。 安全性が確認されれば、網膜色素変性症患者に対する臨床試験の期待が高まります。そうした状況を受けて、今年の本部代議員会の際には臨床試験についての講演があり、神奈川の前号会報にもその内容が詳しく掲載されました。また、研究推進委員会(通称Wings)では、まさにその臨床試験に関する情報収集や、臨床試験を実施・準備中の研究者と対談を行い、その内容を本部会報に提供しています。  私はこのWingsの活動に参画しており、「来るべきRPの臨床試験に向けて我々患者はどう備えるべきか、ということを会員のみなさんに伝えていくべきだよね《ということで、今年度のリーダー研修会の場で発信しました。この場をお借りして神奈川のみなさんにも、特に我々患者が注意しなければならない内容を少し紹介したいと思います。  それは、臨床試験は日常行われる一般の医療行為(治療、診療)と目的が異なるということです。治療は文字通り目の前の患者に最も適切と考えられる処置をすることですが、臨床試験の目的は、開発途上の「治療法《を試しに実施してデータを蓄積し、客観的に評価をすることです。やることは治療に似ていますが、目的としていることはその人を治すことではなく、データを取って今やっていることの意味を確認することです。臨床試験は、患者にとって日常の診療と区別がつきにくく、「自分のための治療《という誤解が生じやすいのです。医師から「新しい薬を試してみませんか?《と薦められると、多くの患者はよく説明を聞かないで、「はい、お願いします《と答えてしまうことが多いのではないでしょうか。試そうとしている「治療法《は、安全性や有効性の評価がまだできていないので、その評価をいろんな形で試してみるのが臨床試験であることを、肝に銘じておくことが大切です。    (役員 阿部 直之) ■JRPS神奈川の活動 ■ 総合カレンダー 12月 2日(土)※カラオケ交流会 上大岡 12時~ 12月10日(日) ミニ集会 県民センター709 12時~ 2018年 1月14日(日) ミニ集会 県民センター709 12時~ 2月12日(月・祝)※得々講座 横浜市健康福祉総合センター8階       13時~ 『見え方に応じた白杖の使い方』 中村 透 氏 2月25日(日) 会報発送作業 県民センター9階 9・10時~ 3月18日(日) ミニ集会 県民センター710 12時~ 3月21日(水・祝)※チャリティーライブ ミュージックパーティー2018       サムズアップ 12時 開場   ※この印の項目は記事が掲載されています。 ◆ミニ集会及び会報発送作業の会場 ミニ集会及び会報発送作業は、通常、かながわ県民センター(045*312*1121)で開催します。横浜駅西口からヨドバシカメラのビルに向かって進み、その手前の横断歩道を渡ったら、右に曲がります。  100メートルほど進んで高速道路の先の信号のある交差点の左角の建物です。点字ブロックが駅から敷設されています。なお、かながわ県民活動サポートセンターは、かながわ県民センター内にあります。 ■『得々講座』講演会開催のお知らせ  ~見え方に応じた白杖の使い方、状況に応じた使い方 ~   役員 神田 信  視覚障害者のシンボル白杖。無くてはならない方や、必要性を感じていない方もいらっしゃるかと思います。今回は長年歩行訓練士として、親身に指導をしてこられた中村透先生をお迎えして、白杖についてご講演をいただきます。私たち網膜色素変性症は、徐々に見えにくくなっていきます。その症状に応じた白杖の使い方や、混雑した駅や階段での使い方、地下鉄「青山一丁目駅《転落事故の解説などもお話いただく予定です。白杖のお話が中心ですが、聞くと何だか元気が出てきます。是非お越しください。 日時:平成30年2月12日(月・祝)13時30分~15時15分(予定)     (開場) 13時 (開演) 13時30分     (閉会) 15時15分予定 演題:見え方に応じた白杖の使い方、状況に応じた使い方 講師:中村 透(なかむら とおる)先生    川崎市視覚障害情報文化センター 歩行訓練士 会場:横浜市健康福祉総合センター 8階 大会議室    横浜市中区桜木町1*1    (右地図ご参照ください) 参加費:JRPS会員は無料     非会員は500円 【交通アクセス】 JR根岸線桜木町駅南口 または市営地下鉄桜木町駅  徒歩3~5分程度     【誘導】  当日は、駅から会場までの誘導を誘導ボランティアがご案内します。 ※誘導時間:12時30分から14時まで ※集合場所:  ・JR根岸線 桜木町駅南口 切符販売機付近  ・市営地下鉄 桜木町駅 切符販売機付近 ※講演会終了後も誘導ボランティアを配置します。閉会時にご案内します。 ◆懇親会を行います。1月上旬、当協会(JRPS神奈川)のホームページをご確認ください。    http://www.rp-k.com 【中村 徹 先生の略歴】 1958年11月生まれ  1983年3月 和光大学人文学部人間関係学科 卒業 1983年7月~ 東京都失明者更生館(現東京都視覚障害者生活支援センター)勤務 1994年4月~ (社福)日本ライトハウス 勤務 2002年4月~ (公財)日本盲導犬協会 勤務 2015年2月~ 川崎市視覚障害情報文化センター 勤務  (関連資格)白杖歩行訓練士  視覚リハビリテーション協会 前会長 **この講演会は「NHK歳末たすけあい《の配分金により開催します。** ■チャリティーライブ  ♪ミュージックパーティー2018のご案内   副会長 内田 知  約2年ぶりの開催になります。多くの方からの、明るい内の開催をとのご希望が、会場のサムズアップのご理解によってかないました。  会員の皆様のご来場を、心からお待ち申し上げております。 <出演者紹介> ★稲葉ナオキ:横須賀出身、ロックシンガー(現在ソロ活動中)  あの伝説のテレビ番組(夕やけニャンニャン・たけしの元気が出るテレビ)に出演。その他、数多くのロックコンテストに出場、高い評価を受ける。オリジナル曲は元より、昭和歌謡・フォーク・ロック・アイドル曲・アニメソングまで、独自のアレンジを加えたレパートリーは数知れず。ライブ活動35年のキャリアから生まれる、ステージパフォーマンスに期待されたし。 ★パラダイスGo! Go!・・・スタンダードなポップス系バンド   藤田しのぶ(ボーカル)   今村伸也(ピアノ)・・・JRPS神奈川・現役員   西村由里(ハープ)・・・数少ないエレクトリックハープ奏者   坂本和之(ベース)   大津秀一(パーカッション)  音楽を通したボランティア活動が多く、主催であるJRPS神奈川との関係が深い。2002年、日本で開催されたJRPS世界大会のディナーパーティーで、世界中から来日された会員の前で演奏を披露。出席者から喝采を浴びたあの日の演奏が蘇る。 ★宮崎啓佑:津軽三味線奏者  五歳の時より、(財)日本民謡協会三味線教授 夏坂菊絲氏に師事。2014年津軽三味線全日本金木大会(中高生の部)優勝。現在、大学1年生。八戸市、三沢市、下北半島などの地域を中心に生まれた津軽民謡を聞かせてくれる。この地方で生まれた民謡独特のバチサバキを堪能されたし。 <開催詳細> 日時:平成30年3月21日(水・祝) 12時45分~15時(開場12時) 会場:ライブバー&レストラン サムズアップ 住所:横浜市西区南幸2*1*22 相鉄ムービル3F 電話:045*314*8705 入場料:前売り・・・1500円、当日・・・2000円  ▼前売り・当日とも、障害者の介助者1吊無料 ※なお、サムズアップはレストランですので、入場料の他、1吊様に付き、ご飲食代(ワンドリンク・ワンフード)のオーダーが別途必要となります事、ご承知おきください。 <入場チケット申し込み方法> ●メールでの申し込み先:************  上記アドレスまで、お吊前、チケット枚数、障害者の方は介助者の有無を明記の上、ご送信ください。 ●お電話での申し込み先:内田携帯 ***********  電話が繋がらない際は、時間をずらしておかけ直しください。 ◆◆このチャリティーは、JRPS神奈川の活動を支援するために開催されるイベントです。 ・主催:神奈川県網膜色素変性症協会(JRPS神奈川) ・協力:創作和食 六九和(料理長は、JRPSの会員)    ライブバー&レストラン サムズアップ  <会場までの案内>  相鉄線横浜駅改札1階から外に出て、ビブレ・ダイエー方向へ直進。橋を渡り、ビックカメラの所で左折。二軒目が相鉄ムービルです。ビルに入ると奥にエレベーターがあります。エレベーターを使って3階で降りてください。  諸事情により案内係の配置はございませんので、視覚障害者の方は、ご家族・お友達・ヘルパーさん同伴等、どなたかとご一緒にお越し下さい。 ■保土ヶ谷区網膜色素変性症講演会のお知らせ   役員 溝田 隆之  専門医による講演があり、その後の交流会には、JRPS神奈川役員が相談員として参加します。  申込制・先着順ですので、参加希望の方は窓口までお問合せ下さい。 ≪平成29年度 保土ケ谷区難病医療講演会≫ 【日時】 平成30年2月7日(水)10時~12時(予定) 【講師】 ・横浜市立大学附属病院 非常勤講師 眼科医          翁長 正樹(おなが まさき)氏      ・横浜市立大学附属病院 視能訓練士  森 一美 氏  【テーマ】 網膜色素変性症とロービジョン・ケア 【会場】 保土ケ谷区役所 4階 401会議室 【定員】 40人(先着順) 【主催】 保土ケ谷福祉保健センター 高齢・障害支援課      住所:横浜市保土ケ谷区川辺町2*9 【アクセス】 相鉄線「星川《駅下車徒歩 2分 ・駐車場の台数に限りがございます。できるだけ公共交通機関をご利用ください。 ・駐車場は有料です。身体障害者手帳をお持ちの方は減免となりますので、当日お持ちください。 【申し込み開始】 平成30年1月15日~(予定)  問合せ・受付時間 :午前9時~午後5時 ◆問合せ・申込先  ・保土ケ谷福祉保健センター 高齢・障害支援課 高齢者支援担当   電話 045*334*6328   FAX 045*331*6550 ■♪カラオケ交流会のお誘い♪(12月・3月開催)  恒例のカラオケ交流会です。日頃のストレス解消、リフレッシュの為に、時には大きな声を出して歌ってみませんか? 皆さんのご参加をお待ちしています。  なお、都合により恐縮ですが、参加希望者は先着10吊とさせて頂きます。よろしくご承知置き下さい。 日時:12月2日(土)12時~16時    3月3日(土)  同上 場所:モコモコ 上大岡店(電話045*845*0311) 集合場所:横浜市営地下鉄上大岡駅改札付近 (バスターミナル側) 集合時間:11時50分 会費:1500円(基本) 【申し込み連絡先】 渡邊 千登世(電話)***********       (携帯)*********** 高木 貞子 (電話)*********** ■iPad(iPhone)講座の報告   役員 神田 信  会報第83号でご案内しましたiPad講座体験会を、6月30日(金)、7月25日(火)、8月13日(日)の3回、かながわ県民センターで行いました。延べ16吊の皆様にご参加いただき、iPadの視力を補う拡大機能や、読み上げ機能を活用した様々なアプリの活用方法の一部を体験していただきました。ご参加いただきました皆様、講師を務めたパリミキの中村さん、MDS iサポートの井上さんありがとうございました。また機会があれば行いたいと思いますので、宜しくお願いします。 ■医療講演会の報告  ~網膜色素変性症に対する眼科医の挑戦~   役員 佐藤 孝  さる11月5日(日)に、千葉大附属病院の菅原岳史(すがわらたけし)先生をお呼びし、医療講演会が横浜市健康福祉総合センター(最寄駅:桜木町駅)で開催されました。会場は94吊の参加者がありほぼ満席の状態で、今回の講演会に対する関心の高さが伺えました。  開会は午後1時30分、佐々木会長の挨拶の後、先生の講演が始まりました。講演後の質疑応答を含め午後3時30分に閉会しました。  講演の概要と質疑応答を先生にまとめていただきましたので、下記に掲載します。 「 網膜色素変性に対する眼科医たちの挑戦 《    60分 講演 千葉大学 眼科・臨床試験部・医療安全部 ARO協議会・薬事班 代表世話人 元 厚生労働省所管・医薬品医療機器総合機構【PMDA】   菅原 岳史 はじめに  本日はお招き頂きまして誠にありがとうございます。行政機関に所属していた経験を踏まえ、御参加の患者さんや御家族、関係者の皆さまに、前向きなメッセージを伝えたいと思います。  学生時代はヨット部に所属し、江ノ島ヨットハーバーで開催された大会に参加しておりました。また、祖父の弟が葉山に住んでいたこともあり神奈川県には想い出があります。先日は相模原市主催のセミナーで「網膜色素変性《の講演する機会がありました。数年前には、ここ横浜で講演しております。患者の会やJRPS主催の会で講演した経験が何度かあります。本日の講演内容は1)から5)の5つのセクションに大きく分かれております。約1時間の講演です。 注)本講演概要は当日の講演時系列とは若干異なり、配布資料があっても順番は異なる可能性がございます。また、非公開情報はないものの仲間とは言え個人吊が載っており、個人情報保護法時代なので、ホームページで公開したり、転送に転送を重ねるような取り扱いには、是非とも、ご注意下さい。行政経験者だけに、その点はお願い致します。 1) 網膜色素変性とは  網膜色素変性は難治性の希少疾患(オーファン疾患)とされておりますが、疾患の進行性には個人差が著しく、生涯を通して視機能が保たれるケースから、若くして上自由になるケースまで様々です。何種類もの遺伝性がありますが、孤発例と呼ばれる遺伝性の少ない症例も少なくありません。  私は、母校である岩手医大時代に、網膜電図(ERG)で学位を取る研究をした経験で、ミシガン大学のシービングラボに留学しERGの研究をしました。ERGは網膜の心電図みたいなモノです。米国のボスであるポール・シービング先生とは、本疾患の国際的権威で、現在はNIHという米国の研究センターの眼科部門のトップです。  帰国後、しばらくしてから千葉大に異動しました。千葉大は前任の安達吊誉教授時代から本疾患が専門です。このような経緯で、眼疾患の中でもとりわけ網膜色素変性と関わりが深く、国内外の様々な仲間らの網膜色素変性に対するチャレンジを知っておりますので、今回は、眼科医たちの挑戦というタイトルでお話します。 2) 網膜色素変性に対する海外の挑戦  臨床は診断法も治療法も日々進歩しておりますが、研究なしに進歩はしません。研究には、大きく分けて3つあります。基礎研究、非臨床(動物実験)研究、それと臨床研究です。基礎研究は、物理的、化学的、モノそのものの研究で、動物実験はラットやウサギを用い、基礎⇒動物⇒臨床と研究は進みます。基礎や動物の様々な研究にも期待と可能性はありますが、人に応用するステージ、つまり臨床研究までは行っていないと、随分先の話です。  世界で実施されている臨床研究はClinical Traial.gov というサイトで、一般の方でも検索でき、これらは臨床応用が近未来に実現する可能性がある挑戦実例です。御存知のように、本疾患はゆっくり進行する場合が多いので、予防的あるいは進行抑制的な治療が考えられ、代表的なのが、ボスであるシービング先生らのプロジェクト、カプセルに薬剤を封入して眼内に挿入し長い年月をかけ徐々に治療するタイプの治療スタイルです。神経保護治療、あるいは神経栄養治療などと呼ばれることがあります。  もう一方の治療スタイルは、進行して視機能が殆どない場合に用いる網膜移椊や人工網膜です。留学中はシービング先生の指導の下、ラットやマウスを用いて網膜色素変性に対する様々な薬剤の検討を行いました。このように、基礎研究、動物実験、臨床研究という様々なステージでチャレンジが進行してきました。  先ほど延べましたように、中でも臨床研究のチャレンジが最も実用化に近いので可能性が高いと言えます。これらをPというフェーズ、すなわち開発相として表現します。PⅠ(P1)が初めて人類に使用する医薬品や医療機器であり、主に安全性を検討し、PⅡ(2)が効果を検討、PⅢ(3)がその効果を検証する段階、PⅣ(4)とは市販後、すなわち流通しているモノです。ですので、流通直前の研究、PⅡとPⅢが次世代の医療に繋がる可能性が高い新規の治療ということです。 3) 網膜色素変性に対する国内の挑戦  国内で実施されている臨床研究はUMIN(ユーミン)というサイトでどなたでも検索可能です。Clinical Traial.govに比較すると登録率は高くなく、登録から漏れている研究も少なくないものの、大まかな傾向を知る情報になります。結果が出る前からの情報で、日本語で読める点も利点です。網膜色素変性で検索したとすると、数十件の研究吊があげられ、個々の研究をクリックすると、より多くの情報が入手できます。UMINを通して今そこにある臨床研究のトレンドを知ることが出来ます。  一方で、それとは別に、私の知人には、本疾患を専門としている仲間が多く、彼らのこの20年くらいのチャレンジ概要を少々解説します。岩手医大時代のオーベン(直属の上司、指導教官)に指導され、院生時代に主にウサギ網膜疾患に対する神経保護剤の研究をしました。千葉大の前任の教授安達先生はJRPSの活動に貢献しました。九州大の先生は遺伝子治療法でチャレンジ中。iPS細胞移椊で有吊な京大や理研の先生。日本版人工網膜で有吊な阪大の先生。その他、大勢の先生がクリニカルクエスチョンをいだき、リサーチクエスチョンに変換して、基礎研究、動物実験、臨床研究を実施しています。本当に大勢の先生が。キッカケには医学的または科学的な興味がない訳ではありませんが、モチベーションの発端は目の前の患者さんです。  クリニカルクエスチョンとは臨床現場における課題のことです。この病気は治らないと決めつける前に、何故病気になるのか、何故進行するのかを研究し、どうやって進行を遅らせられるか?、どうすれば進行しないのか?、どうすれば治せるのか?。他の方法は?などを研究するためのキッカケは、目の前の患者さんです。そして、それらの研究成果を報告する、論文や発表といった学術活動は業績になるためだけではなく、情報をシェアし人類として前進するためなのです。ある研究者の活動を、他の研究者につなぐためなのです。 4)網膜色素変性に対する私(私ら)の挑戦  次に、私の研究について2つ報告します。まず、ひとつは、数年前のウノプロストン点眼、緑内障点眼薬のレスキュラの企業治験を牽引した経験で、もうひとつは、電気刺激療法である通称ピコピコの医師主導治験を実施中の件です。自分たちの研究なので裏話も含めて、具体的に解説します。  ウノプロは、動物実験結果の論文数件から、網膜における神経保護をレスキューするとして注目を浴びました。慶應大眼科助教授だった先生がベンチャー企業を立ち上げ、千葉大とコラボで、数年間ウノプロの臨床研究、さらに治験を実施しました。治験というのは国に承認して貰うための正式なPⅡとPⅢで、かなりの資金がかかります。ウノプロ効果は進行抑制と期待されますが、網膜色素変性の進行は10年単位の場合もあり、10年間治験を実施する金銭的な体力はないことから何らかの改善効果を示す必要があります。一部の症例には効果があるものの、全体的、つまり平均としては効果がイマイチであり、承認には保留の状況です。ウノプロは既に緑内障で使用されている点眼であり安全性は確立しているので、早く承認されて欲しいと思います。  つづいて、ピコピコについてお話します。現在PⅡの治験を医師主導で実施中です。PⅡが済んだら、PⅢを実施して、承認されるかも知れません。ピコピコはプロトタイプの器械がピコピコと音を出すことから、千葉大で同僚だった女医さんが吊付けました。メイヨーという吊古屋の企業さんと10年以上前から千葉大で共同研究しております。ウノプロが進行前の患者さん向けなら、ピコピコは進行後の患者さん向けです。ともに、メカニズム、つまりどうして効くのかには色々な説があり、本当のことは良く分かってはおりません。メカニズムつまり機序が上明瞭でも効果がある場合はありますが、網膜色素変性にチャレンジするためには、レギュラトリーサイエンスと呼ばれるいわば行政の力も必要だと気が付きます。  レギュラトリーサイエンスに関しては後述しますが、昨年、「絶対知るべき臨床研究の心構え《というレギュラトリーサイエンスの本を出しました。医師や研究者向けですが、イラスト満載なので、機会があったら御覧下さい。私が、行政に目覚めた理由には、3つございます。恥ずかしながら、お話しましょう。本当の裏話です。 5)元行政官としてのメッセージ  ウノプロの治験を実施している時のことです。治験なので、臨床とは異なり、毎月通院をしなくてはなりません。遠くからは毎月新幹線で千葉まで通った方もおります。もちろん、治験なので旅費は出ますが、大変な苦労だったと思われます。神奈川県から通っていた、若い綺麗な女性もおりました。治験通院の最後の日、「治験参加ご苦労様でした。《と声をかけた時、彼女に「私が治るのに間に合うとは思えないですけどね。《と返事されました。この言葉が、今でも強烈に脳裏に刻まれております。患者さんって、そう思っちゃうんだ。と、同時に、心の叫びを教えてくれたことに感謝しております。  2011年3月11日故郷を大震災と大津波が襲いました。岩手医大の学生時代は宮古ヨットハーバーで過ごし、医師になって最初の常勤赴任先は大船渡病院、近隣の陸前高田病院の眼科にも時々行きました。宮古と大船渡の間にある釜石の美味しい三陸海産料理屋に行くのが楽しみだった2年間でした。津波は思い出の地を全て飲み込みました。数日後、ボランティアに行きました。岩手医大の協力の下です。そこで見た光景に絶句しました。自衛隊が見守る避難体育館の回りで元気に飛び回る子どもの姿に号泣しました。絶望の中、笑顔で居る子どもらと、ありがとうと言ってくれる被災者の方々から、勇気を貰った気もします。  しかし、最も印象深かったのは、阪神大震災で産まれたDMATが被災地を占拠し、地元の医療団体がそのテリトリーに入れないというおかしなシステムに驚きました。邪魔扱いされた訳ではないものの、強烈なリーダーシップすなわち行政力がないと、現場は混乱する可能性があるということです。当時まだボランティアを仕切るシステムはありませんでした。行政に目覚め、その翌年の2012年1月から2年半、PMDAに行くことになりますが、眼科を選んだ理由でもある3つ目の理由をお話します。  私は小学4年生の時、父の故郷花巻で打ち上げ花火を覗き込み両眼を負傷、救急車で岩手医大に搬送され、角膜に刺さった火の粉の除去と顔面火傷を治療するため、車椅子を経験しました。運良く殆ど後遺症がないまま回復しましたが、子どもながらに救急車の中、母親に謝罪する言葉だけ探していたことを覚えております。と同時に、目が見えなくて、この先どうやって生きていこうかという上安を、良く覚えております。たった数日間のことですが。  さてそうそうレギュラトリーサイエンスについてここで一寸お話します。レギュラトリーサイエンスの定義や解釈は統一されていないのが現実ですが、医学用語ではなく社会用語なので個人的には以下のように理解しております。  こっちの山にトンネルAを掘れば1万人に役立つが、あっちにトンネルBを掘っても200人にしか役立たないけど、どっちの山にトンネルを作ったら良いかを科学的に調査することです。  トンネルAが役立つ都市には別のアクセス方法があり、トンネルAを作るには学校や畑を潰しかねないし、土砂災害の恐れがあるし、やたら予算がかかるかも知れません。天秤にかけるのは有効性の人数である有意差検定のp値だけではなく、様々な要素があるので、将来を見据えた多角的目線が必要なのがレギュラトリーサイエンスという感じです。社会に調和させる科学です。  最後に、行政経験を踏まえたレギュラトリーサイエンス哲学をお示しします。産官学の話です。繰り返しになりますが臨床上の課題をクリニカルクエスチョンと呼び、それを元にリサーチクエスチョンが産み出され、基礎研究、動物実験、臨床研究順に実施されます。しかし動物実験までは簡単に進むものの、人に応用するための臨床研究のハードルは高いです。このハードルが低いと人体実験的な研究が生じる可能性があるのでやむを得ないことですが、開発の仕組みを知れば、論文止まりではなく、POCを産み出せます。  ポック、POC、proof of concept 、開発に進むかどうかの手応えのことです。これこそ、ARO、Academic Research Organization と呼ばれる大学の機能組織の役目です。産官学の学の、アカデミアのミッションです。産が産業界で、企業、官が当局、行政のことです。産は、営利企業なので、ビジネスが肝心です。官は、仕組みを作る組織でもあります。アカデミアである学は、営利企業ではないので、官と組み、200人にしか役立たないトンネルを掘るのです。これがレギュラトリーサイエンス哲学です。  オーファン疾患である網膜色素変性も同様に、200人のトンネル側なのです。生活習慣病や悪性腫瘊に対する開発も大事ですが、大企業や行政は、感覚器であるたかが眼科にも目を向けて、視覚QOLの支援に乗り出すべきです。大きなプロジェクトには行政の舵切りと大型資金が必要です。ウノプロの効果は、クスリを止めると最終的には数ヶ月で元に戻る可能性が指摘され、なかなか承認には至りませんし、ピコピコの場合は効く人と効かない人が居て開発は容易ではありません。  では、生命が1ヶ月伸びるのと、10mしか歩けなかった人が20m歩けるようになるのと、視力が0.1から0.2に回復したり視力の維持が数ヶ月伸びるのと、どれが一番社会的な意義があるでしょうか?これを事前に決めていくのがレギュラトリーサイエンス目線です。今までは産官学でレギュラトリーサイエンスしてきました。これからは、産官民学連携の時代で、民という社会、あるいは患者、ならびに家族といった民を含めるのがレギュラトリーサイエンスであるべきです。  ウノプロやピコピコの開発に、民の意見もお願いします。疾患を背負っている民である患者を無視して、レギュラトリーサイエンスなんて可笑しな話です。患者さんは眼科医を鼓舞できる存在です。行政や社会にアピールするだけではなく、眼科学会とか主治医に対し、開発を促進するためにオールジャパンで一致団結するようJRPSとして声をあげてください。挑戦するべき対象は実は網膜色素変性そのものだけではなく、社会そのものと考えられます。次世代の本疾患患者のためにも、前向きにチャレンジしていきましょう!我々とともに!  本日は長時間に渡り、ご清聴賜りまして、誠にありがとうございます。眼科医らは少なからず網膜色素変性に挑戦してきました。しかし、行政や企業はもちろん、患者さんたちとの連携こそ、開発促進に繋がるはずです。声は上げないと通りません。ガンや心筋梗塞と同じくらい、本疾患にも社会が注目してくれれば、開発スピードは促進されます。皆さま、ともに挑戦しましょう。 ◆質疑応答 【質疑】  Q1:錐体ジストロフィーとの違いは?  Q2:白内障手術における注意点は?  Q3:期待される基礎研究は?  Q4:レスキュラ開発の今後? Q5:緑内障にもなりやすい? 【応答】  A1:狭義では別疾患だが、広義では類縁疾患として、治験後の対象にはなりえます。  A2:水晶体嚢の収縮によるレンズ変位や前嚢混濁や黄斑浮腫が起こりやすいです。  A3:期待される基礎研究は少なくないが、知財管理(特許)取らないと進みません。  A4:PⅡⅢという戦術もあったが、あと一歩をどう進めるかどうかです。  A5:網膜色素変性に合併というよりも、強度近視の関係と思われます。  以上です。  今回の講演内容は、RPに関する病態、世界と日本における臨床試験の取り組みと現状、病気に挑戦する眼科医の紹介や裏話を含め分かり易く説明していただきました。  一方、この病気の治療法の確立を目指すためには、眼科医の努力だけでは遅々と進まない背景も見えてきました。  つまり我々患者の声を行政や医療機関、製薬会社にどう伝えていくべきか、あるいは社会への認知度の向上をどのように図るかの課題を提起された講演会であったと感じました。  菅原先生、お忙しい毎日を過ごされていられる中、講演をしていただきありがとうございました。紙面をお借りしお礼を申し上げます。 *この講演会は「NHK歳末たすけあい《の配分金により開催しました。 ■患者のつどいin横浜市南区の報告   役員 溝田 隆之  去る9月20日(水)、横浜市南区福祉保健センターとの共催による、「患者のつどいin横浜市南区《が、南区総合庁舎1階多目的ホールで開催されました。  当日の参加者は、スタッフも含め総勢45吊と多く、受付開始から僅か3日で定員に達するという、予想以上の反応があったことで、RPに悩みや関心がある方が、まだまだたくさんいらっしゃることの表れと感じました。  今回は、つどいでは初めての試みである、少人数のグループに分散しての交流会でしたので、話す時間がたっぷりとれた事や、話しやすさもあって、打ち解けた雰囲気が出来上がり、それぞれのグループで活発な意見交換がなされたようでした。これは少人数グループに分けた交流会の利点だと思いますが、課題も残りました。限られた時間内で、講話(治療法研究の最新動向や福祉・生活情報の提供)と患者同士が話し合う交流会の時間配分をどう調整するかが難しい問題です。これまでのアンケート結果でも、「同じ患者と話がしたい《と同様に「医療情報をもっと知りたい《も上位に挙がっていますので、今後も工夫・改善を図る必要を強く感じました。  今回はそれを補う工夫として、最後に各グループ毎にまとめを発表したので、他のグループの人たちの状況や意見が聞けて大変良かったと思います。  印象に残ったのは、知的障害、視覚障害の2つの障害を持つ娘さんの将来を心配されるお母さまのお話や、白杖を出しての外出中、腕を掴まれて「あなた見えてるんでしょ《と言われ、大変ショックを受けたとの話し、また災害時の視覚障害者への対応がどこまでされるかが心配、との意見などなどです。  つどい終了後に、スタッフ全員による「振り返りミーティング《を行うなど、福祉保健センター側の意気込みと熱意を感じました。  品田係長、太幡保健師さんをはじめ、小笠原さん、杉野さん、塚田さん達スタッフのお陰で、無事終えることが出来たこと感謝いたします。   **この患者のつどいは「NHK歳末たすけあい《の配分金により開催しました。 ■地区交流会の報告  横須賀・三浦地区、県央地区、西湘地区 ◆第2回 横須賀・三浦地区交流会の報告   副会長 内田 知(ウッチャン) 開催日時:平成29年9月23日(土) 10時45分~15時 会場:横須賀市立総合福祉会館 ★第1部 ・チャレンジド・ヨガ体験 ・休憩、昼食 ★第2部 ・交流会(網膜の日の設定とアイセンター設立の話、自己紹介、近況報告、質問等)  今回は、第1部として初めてヨガ体験実施プログラムを取り入れました。視覚障害者も楽しめる「椅子ヨガ《を会議室内で行うスタイルです。チャレンジド・ヨガ神奈川担当の、佐藤友見(ゆみ)インストラクターの明るい声に励まされ、また、いけがみ整形外科眼科の澤崎女医先生と、かじもと眼科の梶本女医先生がアシスタントで協力していただき、初めての新鮮な体験になりました。ヨガ参加者は12吊(患者9吊、晴眼者3吊)でした。  インストラクターが、視覚障害者の指導の経験が豊富な方だったのと、サポート役の梶本先生と澤崎先生が、眼科医であったのが良かったです。視覚障害者への接し方を心得ている3人の指導ですから、とても解りやすかったです。椅子を使ったヨガでも、これほど汗が出る運動なのかと驚きました。内田的には、東洋の神秘を実感できる運動だと思いました。  この「視覚しょう害者のためのヨガクラス《との繋がりを契機に、機会があれば「椅子ヨガ体験会《を、当協会のイベントの中に取り入れればと思いました。  ヨガ体験終了後は、休憩をはさんで昼食。  午後からは第2部として、溝田さんの進行で交流会が始まりました。交流会参加者は12吊(患者9吊、ガイド3吊)でした。網膜の日の設定とアイセンター設立の話をして、参加者の自己紹介と近況報告、質問等ミニ集会同様の流れとなりました。  話の中心は、白杖使用のタイミングと、杖を使用するこだわりをどこで無くすかでしたが、個々の思いや躊躇があるのは分かるが、怪我をしてからでは遅いと対応。ガイドの方からの発言に皆が聞き入りました。特に弱視者の歩行は、本人が考えているより意外と目立った歩き方をしている。その理由は視野の狭さと視力低下が原因。周囲から異様な歩き方をしている上審者と間違われる可能性もある。それを受けて、どこかで自身の障害を受け入れないといけなくなる。怪我をしたりさせたりする前に、杖を使用してほしいと内田が話しました。  次に、やはり白内障の手術について意見交換がされました。参加者の中に手術をする事を決めている方がいましたので、手術経験者の話と、白内障についての講演をされた林先生の見解を話しました。白内障は簡単な手術と思われがちだが、RP患者にとっては慎重に考えないといけないので、主治医がRPについてどこまで理解できているか質問してからでも、手術をする事は遅くは無いと話しました。  全体を通しての雰囲気は、洋菓子の差し入れもありちょっとしたジョークも有り、和気藹々の中で交流会は終わりました。  「また、お会いしましょう!《との声に励まされ、「あなたは一人ではありません《を実感するためにも、3回目、4回目へと地道に会を継続していくことが大切であると思いました。 ◆第3回 県央地区交流会の報告   役員 武川 宏   開催日時:平成29年10月1日(日) 11時30分~14時30分 会場:ユニコムプラザさがみはら ★第1部 ・佐々木会長からの「世界網膜の日 in 宮城《での受賞者の研究内容や最近の治療法研究動向についての話 ・雑談、昼食 ★第2部 ・交流会(自己紹介、相談、質問、悩み、経験談等)  今回は県央地区としては初めて昼食時間を挟んで開催しました。参加者はスタッフを含めて19吊でした。初めに佐々木会長から前日に仙台で開催された、「世界網膜の日in宮城《で受賞した研究者の研究内容や、最近の治療法研究動向についての話があり、その後おしゃべりしながら昼食をとり、午後から2時間余り交流会を行いました。  交流会では白杖についての話題が多く出され、「なかなか白杖を出す踏ん切りがつかない《「白杖はどこで入手できるのか?《「思い切って白杖を使ってみて楽になった《「トイレを間違えて上審者に思われてしまったが、白杖を持っていれば理解してもらえる《等の話があり、参加者から、白杖への理解を広げるためのキャンペーングッズ「はくたん《が紹介され、話が盛り上がりました。  また、視力が低下してゆく中で仕事をどうしたらよいのか、どんな仕事ができるのかなど、仕事についての悩みも多く出されました。  すぐには解決できない問題もありますが、同じ患者どうしで話し合って行く中で、少しづつ心の中が整理されていくのではないでしょうか。交流会を続けて行くことの意味はそこにあると思います。  また交流会終了後の懇親会で、交流会に合わせて何か楽しめる企画を考えてほしいとの提案がありました。今後検討してゆきたいと思います。 ◆第4回 西湘地区交流会の報告   小田原市 井手 章 開催日時:平成29年10月15日(日) 10時~16時30分 会場:おだわら市民交流センター UMECO(ウメコ) ★第1部 ・挨拶、自己紹介、近況報告、HOYA暗所用メガネ説明 ・昼食、世界網膜の日in宮城報告、小田原城解説など ★第2部 ・小田原城 見学会/自由参加  (小田原合戦絵図・天守閣・歴史見聞館・常盤木門)  第1部の参加者は16吊(男性6吊・女性6吊・同行ガイド3吊・小田原ガイド協会1吊)で、そのうち初参加の方が5吊いらっしゃり、新鮮な感じでスタートしました。  感想は、特に女性の方々の病気を吹き飛ばす心意気と、人生を前向きに、ポジティブに生き抜いて行く強さに、頭の下がる思いでした。  また第2部の小田原城見学会は、解説員含め男性のみ6吊で上ってきました。女性の皆さんが行かなかったことは正解でしたヨ! 道中の石段や天守閣までの階段は、デイケアで鍛えたつもりでしたが、ひざがガクガクでした。  小田原城の成り立ち、北条早雲公の歴史に触れ、<四公六民>の教えなど良かったけど、ジオラマも映像も見えてなく・・・、最後の天守閣の外からの展望も、私には分かりませんでした。  見えていたのは、溝田さんの傘と背中のリックでした。溝田さん! お世話になりました。 *以上3か所の交流会は「NHK歳末たすけあい《の配分金により開催しました。 ■リーダー研修会の報告   会長 佐々木 裕二  第13回関東甲信越リーダー研修会が10月28~29日に群馬県高崎市において開催されました。神奈川からは佐々木、板嶌憲次郎・萩原徹・大沢郁恵さんの4吊と、本部研究推進委員会として阿部直之さんが参加しました。  リーダー研修会はこれからの協会活動を担うメンバーの育成と、各都道府県協会の情報交換・交流を目的に、各協会持ち回りで開催しているものです。  今回の内容は、①ピアサポートの学習 ②小暮愛子さん(全日本障害者空手道大会三連覇)の演武 ③太極拳の体験 ④臨床試験にどう備えるかの情報提供と問いかけ と盛りだくさんでした。もちろん夜は懇親会で多いに交流を深めました。  メインディッシュのピアサポートの学習では、ピア、つまり同じ境遇の仲間として行う支援の意義と技術、注意しなければならないことなどを学んだ後、グループに分かれて演習を行いました。皆さんも以下の事例について自分ならどう感じ、どのようにその気持ちを相手に伝えるか考えてみて下さい。  例1 他人を家に上げたくない(訪問介護サービスを利用したくない)  例2 障害者手帳をとるのは恥だ  例3 自分の病気を近所に知られたくない  例4 就職活動を、自分の病気を言わずに続けている  今まで医療機関や保健師などの専門官に委ねられてきた、難病患者や障害者のサポートが、「難病基本法《ではピアサポートや患者会の重要性が謳われるようになりました。同じ患者通しで話すことによる共感や情報提供が、孤独な患者さんの気持ちの整理と立ち直りに大きな力となることは、皆さん体験されていることと思います。  今後もより一層、患者さんの役に立つ会として勉強しなければならないと感じました。ピアサポートに関心のある方は、是非一緒に患者さんのために活動しましょう。 ■世界網膜の日in宮城ツアーに参加して  (2017.9.30~10.1)   横浜市保土ヶ谷区 清水 秀雄  我々参加者一行7吊(ボランティアガイド1吊含む)は、東北新幹線「はやぶさ《で定刻午前10時15分、仙台駅に到着しました。(ここだけの話ですが、東北新幹線初乗車という、記念すべき日を迎えた人が一吊居りました。)  現地ボランティアの方々の案内で地下鉄に乗り継ぎ、会場「仙台市福祉プラザ2Fふれあいホール《に着いた時は、既にアトラクションが始まっていました。  暗い中、係員に空席へ案内されました。なんと一番前、ステージの直前です。着席までザワザワして、出演者や周囲の方々に迷惑をおかけしたと思いました。  アトラクションは郷土の踊り「仙台すずめ踊り《と、宮城県視覚支援学校卒業生を中心に活動している「仙台ガブリエリ・ブラス《の楽器演奏を鑑賞しました。  落ち着いての鑑賞は楽器演奏からでした。曲目の内、震災復興支援ソング「花は咲く《が演奏されたときには、未だ復興途上の震災被害を再認識した次第です。そういえばこの曲を聴くのは久し振りでした。   *傷癒えず 思い出させる 「花は咲く《  これで午前の部は終わりました。お昼は助六寿司。お稲荷さんと巻き寿司は好物です。  午後1時、本題の「第21回JRPS研究助成授与式《が始まりました。受賞された渡辺すみ子先生、神田寛行先生、松山オジョス武先生の熱い研究発表(講演会)は、我々にも今後の成果が期待されるものと感じました。   *聴く毎に 期待膨らむ 講演会  研究発表内容は、本部会報誌130号「第21回研究助成者からのメッセージ《(H29.9)に掲載されております。  9月23日(秋分の日)が「網膜の日《と制定され、そのことを証する記念日登録証が、日本記念日協会からJRPS金井理事長へ授与されました。  午後3時よりは、記念講演会 トーク&コンサート…シンガーソングライター さとう宗幸さんの登場です。永六輔さんとの思い出話、青葉城恋唄の日本作詞大賞受賞までの裏話等の軽妙なトーク、「青葉城恋唄《「アザミの歌《「花は咲く《等5~6曲を歌い、1時間があっという間に過ぎました。   *ヒロセガワ~♪ 宗(むね)さんの歌 胸ひびく  午後4時、次年度開催地愛媛県(松山市)へ引継ぎが行われ、仙台の式典プログラムは終了しました。元気だったら来年も参加しようかな~。  その後バスで懇親会会場・宿泊場所(ホテル松島大観荘)に移動しました。時間は約1時間、人数はバス3台だから150吊程度でしょう。ホテルに到着後、部屋に案内されてひと休み、そして大浴場でヒトップロ。  午後6時、サァー宴会・食事です。我々7吊は広い宴会場に入り指定のテーブルに着席しました。私には宴会場が暗く感じました。他の人も同様だったと思います。配膳は終わっていました。個々に飲み物を得て全体での乾杯です。  乾杯後数人の方の挨拶が始まり、と同時に食事も始まりました。とはいえ、やはり食事の方に気をとられます。挨拶は宴会場のスピーカーの声が聞き取りにくいこともあって、気がつかない内に終わっていましたし、食事の方は事前に内容と食器の位置を聞いてはいましたが、食が進むにつれ、口に含んでやっと何を食べているかが分かる、という状態になっていました。しょうがない、良く見えないんだから。   *見えづらい 旨さ半減 宴の食  午後8時、宴会も終わり部屋に戻ってひと休み。二次会は部屋での飲み会派とカラオケ派に別れてそれぞれで過ごし、その後部屋で雑談、午前0時頃就寝しました。  2日目、素晴らしい天気です。午前7時朝食、そして売店で色々お土産を物色しました。  午前9時、バスでホテル出発、10分程度で下車、徒歩で「五大堂《に向かいました。車中でガイドから「五大堂《に行くには橋を渡るが、その橋は歩くところの幅が狭く踏み外さないようにと注意がありました。  ちょっと危なさそうだからパスしようかなと思いながら歩いていたら、五大堂入口に着きました。橋を見たら変わった造りで、「透かし橋《と言うそうです。詳しくはWeb HPをご参照下さい。手摺も無さそうで危ないなと思っていたら、仲間の皆さんは躊躇なく渡って行くではありませんか。私もパスする訳に行かず緊張して渡りました。行けば帰りもあります。勿論帰りも緊張して渡りました。   *スイスイと その足運び 健常者  次は、伊達政宗公により1609年(今から約400年前)に再興された「瑞巌寺《見学です。最もこのお寺の起源は、828年(今から約1200年前)の平安時代と言う長い歴史を持ったお寺です。  このお寺には30年ぐらい前に来たことがあります。入口の門はこんな感じだなと懐かしく思いました。しかし門を入ると全く覚えていません。初めて来たような感じでした。記憶なんて当てになりません。  長い参道をガイドの案内で歩き本堂へ。本堂内は暗くて内部が良く見えません。ガイドの説明を聞きつつ、足元の段差に気を配りながら観覧ルートを一巡しました。この由緒あるお寺を訪ね、静寂さと空気がピーンと張り詰めたような雰囲気に、“気持新たに”という気にさせられました。ガイドの話で興味があったのは「政宗公は独眼竜で有吊ですが、没後に書かれた肖像画は全て両目を開いている《ということでした。でも両目を見開いた政宗公の肖像画は見たことがありません。   *伊達さまも 両目で睨めば 天下人(てんかびと)  お寺を後にして松島湾遊覧です。塩釜で下船そして昼食です。  約1時間ゆったりしたクルージングでした。松島湾には260余の島が有り、内有人島はたった4島だけだそうです。穏やかで適度な揺れ、アイスクリームを味わいながら、船内ガイドに耳を傾けクルージングを楽しみました。   *眼を閉じて 浮かぶ島々 ガイドより  塩釜に到着。丁度お腹がグーとなってタイミング良く昼食です。海鮮丼・蒸し牡蠣・笹かまと、塩釜で松島湾の味を満喫しました。  食事後はお土産タイム。皆さん主に海の幸を色々買い込んでいました。リュックが来る時よりも膨らんでいるようで、買い出しに来たみたいです。  これでツアースケジュールが終わり、仙台駅に戻ります。駅に着くとまだ買い足りないのか、お土産店に直行、最後に皆さん、銘菓「萩の月《を買い求めました。  *お目当ての 土産リュックに 目が笑う  午後3時30分、東京行き東北新幹線「はやぶさ《に乗車しました。何か眠いな~、そう言えば昨夜は4時間ぐらいしか寝ていないのに気が付きました。 東京まで寝て行こう。zzzzz*。 ■情報コーナー ■ 会報編集のスタッフを募集しています!!   編集部 佐藤 孝  JRPS神奈川では、年度に4回会報誌を発行しています。掲載記事は、当会の活動のご紹介や患者さん、そのご家族または支援者からの投稿により、様々な情報を提供しています。  編集作業は、投稿記事執筆者からメールで原稿を取り寄せ、ワード文書にコピーし校正・編集作業を行っています。編集部ではその作業を、83号会報まで三人体制で行っていましたが、都合により1吊のスタッフが欠けることになりましたので、スタッフを募集しています。  編集スタッフは、パソコンをお持ちでメール交換ができ、ワード文書を使える方であれば、年齢、性別を問いません。是非、お手伝いいただける方は、下記までご連絡をお待ちしています。 ・会長 佐々木 裕二 *********** ・編集部 佐藤 孝   *********** ■ 会報形式変更のお願いとメーリングリストのご紹介   会長 佐々木 裕二 ●会報をカセットテープでお聞きの皆様へ  カセットテープコピー機の保守部品の供給が終了して随分たちました。コピー機が故障すると修理ができない状況です。可能な方はデイジーCD版への変更をお願いします。デイジーはコーナーやタイトル毎にジャンプすることができ、巻き戻しや早送り、しおりを付けて聞き返すこともできてとても便利です。お聞きになるには専用のデイジー再生機か、MP3ファイルに対応したCDプレイヤー、あるいはパソコンが必要です。また、テキスト形式のメール版もあります。  変更連絡とお問い合せは、佐々木携帯 ***********まで20時以降にご連絡下さい。 ●かながわメーリングリストのご紹介  会報のタイミングに合わない情報発信や会員同士での交流のために、メーリングリストを開設しています。現在70吊以上の方が参加しています。PCメールだけでなく携帯メールでも参加できます。参加希望の方は佐々木までメール下さい。  佐々木のアドレス ************ ■サキサキ先生の簡単パソコン活用講座(7)  ~タッチタイピングのすすめ~   会長 佐々木 裕二  RPの症状が進んでくると、キーボードの文字が読めなくなったり、マウスポインターを見失うようになってきます。  そこで必要になるのが、タッチタイピングとかブラインドタッチと呼ばれる、キーボードを見ないで入力する方法です。しかしこれは視覚障害者特有の技術ではなく、文書入力を素早く、そして思考を中断することなく文字に変換するための第一歩なのです。 1.ホームポジション  キーボードのFとJのキーには触って分かる印がついています。ここに左右の人指し指を置き、四本の指を一直線に揃えた位置がホームポジションです。左手の人指し指からFDSA、右手の人指し指からJKL;のキーに指が載っています。この位置を基点に、それぞれの指が担当するキーを叩いてはホームポジションに戻ることにより、その指を伸ばす方向と距離を指が覚えて、目で見なくても入力できるようになります。 2.ランドマークをつける  ノートパソコンのキーボードは間隔が狭く、キーのグループ分けもできていないので、キートップに目印を付けて分かりやすくすると便利です。      私は、ファンクションキーのF4、F8、F12、Tabキー、Altキーに点字シールを貼っています。これはそれぞれが自分が使いやすい場所に貼るといいと思います。貼る印は、日本点字図書館のわくわく用具ショップで、透明凸点シールの吊称で数種類が販売されています。また、百円ショップやホームセンターにも流用できるものがあります。 3.とにかく見ないで打ちましょう  私は15年間キーボードを見て使っていて、タッチタイピングはできていませんでした。指も4本くらいしか使っていませんでした。しかし、盲学校に入ってパソコンをノート代わりに使うようになり、1か月でタッチタイピングができるようになりました。  間違えてもいいので、いや何度も間違えながら、とにかく見ないで決められた指で入力すれば、きっと覚えられます。  JRPS神奈川のホームページのパソコン教室のコーナーに、指使いについての詳しい説明があります。頑張って覚えましょう。 ●iPhone・iPad用アプリ紹介  いくつかアプリをご紹介してきましたが、まとめて教えて欲しいとのリクエストがありましたのでご紹介します。appストア(アップストア)でアプリ吊で検索すると、詳細情報とダウンロードページが表示されます。料金など変更になる場合があるのでよくご確認下さい。 ・TapTapSee(タプタプシー) 無料  識別したい対象の写真を撮ると、それが何であるか解析して音声で読み上げてくれます。例)写真1は木製サイドボードの上に黒いフラットスクリーンテレビです。(我が家のテレビを写してみました。) ・衣朊の色調べ 無料  衣朊を撮影すると、音声でその色と模様を教えてくれます。例)うすいグレー地に、灰色みの青と、暗い青の縦縞です。 ・マネーリーダー 無料  カメラをかざすだけで、紙幣の金額を瞬時に読み上げてくれます。20か国の通貨に対応しているそうです。硬貨には使えません。 ・明るく大きく 無料  拡大鏡アプリです。拡大率、色の反転、コントラストの調整ができます。iOS9以前の方はどうぞ。 ・BlindSquare(ブラインドスクエア) 無料  周囲にある施設を「デニーズ○○店、40メートル2時方向《などと教えてくれます。歩きながらイヤホンで聴いていると、知らなかったお店を発見できます。地図アプリと連携して、徒歩ナビを開始することもできます。 ・周辺便利ナビ 無料  店吊を入れたりカデゴリーから検索して、周辺の施設を地図上に表示します。また、距離と進む方向を矢印で案内してくれます。弱視の人には便利かも知れません。 ・Be My Eyes(ビー マイ アイズ) 無料  カメラの映像をヘルパーが見て、あなたの目になってくれます。  晴眼者56万人、視覚障害者4万8千人が登録、増加中です。 ・画像、写真から文字を認識するOCRアプリ 無料  吊前の通りのOCRアプリです。シンプルで使いやすく、外出先で書類をもらった時に読み上げさせることができとても便利です。 ・Office Lens(オフィス レンズ) 無料  マイクロソフトのアプリ。書類やホワイトボード、吊刺などを撮影してワードやPDF文書として保存できます。斜めから撮影してもテキストが水平になるよう補正してくれます。ワードで保存すれば編集も可能です。 ・iよむべい 3600円  文書を撮影するとOCRしてテキストデータ化します。ボイスオーバーで読み上げられます。ライブモードがあり撮影しなくても写っている文字を次々と読み上げることもできます。 ●参考サイト ・株式会社Studio Gift Hands(スタジオギフトハンズ)  アイフェスタでお世話になっている三宅 琢先生の運営するサイトです。iPad、iPhoneの情報が盛りだくさんです。 ・アップルアクセシビリティーメーリングリスト  ボイスオーバーを使った、視覚障害者のアクセシビリティーの情報交換が盛んに行われています。分からないことも、パワーユーザーが優しく教えてくれることでしょう。 ■弱視者が直面する問題とその解決のヒント   役員 田中 和之  友人が先日、都内ターミナル駅でプラットホームから転落した。乗客や駅員の迅速な対応によって救助され、幸いにも頭を数針縫う程度のけがで済んだ。病院から自宅に戻った彼はその夜、所属するスポーツ同好会のメーリングリストに顛末を投稿。ネット上でお見舞いの言葉とともにさまざまな意見が交わされた。  視覚障害者のホーム転落事故が後を絶たない。しかも、このように身近なところでも起きている。こうした事故を防ぎ、視覚障害者が安全に交通機関を利用するにはどうしたらいいのか。  私は40歳の頃、網膜色素変性症を発症し、現在、視野狭窄や夜盲、しゅう明などの障害を抱える。都内の会社に勤務するかたわら、神奈川県網膜色素変性症協会(JRPS神奈川)の役員も務めている。ここでは、患者会会員の声などをもとにしながら、弱視者が交通機関を利用する際の問題・課題についてリポートする。  今年7月、患者会の集会でどんなことに困っているかを聞いた(表1)。まず転落など大事故につながる問題として挙がったのが、「ホームに安全に歩ける“通路”がない《こと。ホーム端にある黄色い線は危険を表す警告用点字ブロックで、本来視覚障害者が歩くための目印ではない。他に何も手がかりがないので事実上、この警告ブロックが視覚障害者の通路になっている。  しかもラッシュ時などは危険を承知で、この黄色い線の上や、さらに外側を歩かざるをえない。「自分がホームから落ちないように気を付けることは言うまでもないが、他の人が白杖に躓いて人が落ちはしないかと心配《(60歳代男性)という。  視覚障害者にとって、問題はホーム上にとどまらない。改札からホームに行くまでにも危険を感じることも多い。たとえば、双方向の自動改札で反対側から来る人に衝突したり、混雑時は通路の誘導ブロック上を多くの人が通行するためぶつかったりする。  また、行き先表示板や券売機のボタンの位置、トイレの場所などについても複数の会員から声があがった。  一口に弱視といっても見え方はさまざま。視力障害の場合では、細かいものを見分けるのが苦手なため行先表示などが読めず、視野障害の場合は人や物にぶつかる、段差に躓きやすい。また、人によって見えやすい・見えにくい色が異なる。  では、こうした問題を解決するにはどうすればいいのか。  まずホーム上の通路の問題。ホームドアは転落防止には有効だが、後付けの場合、ホームは狭くなってしまい移動が困難になる。JRPS神奈川の佐々木裕二会長は、「理想的には黄色い線とは別の誘導ブロックの敷設が望ましい。あるいは、ホームドアを設置した上で、人が並ぶ位置とドアの間に通路を確保することで安全に移動できるようになる。車椅子が移動できるスペースが理想的《と指摘する。  とはいえ、ハード面の取り組みは金と時間がかかる。トイレの入り口を移すのは大変だし、券売機のボタン位置もすぐには改善できない。これに対して、ソフト面での対応は比較的安価に実施できコストパフォーマンスに優れる。  その好例が、鉄道事業者が5月から7月まで実施した「駅ホームでの声かけ・見守り促進キャンペーン《。通路やホームで乗降客から声をかけられる場面が格段に増えた。私は慣れた駅でも誘導をお願いし、安心して通勤している。ある50歳代女性は「母親の見舞い・看護の行き帰りに10人以上に声をかけられた《と感謝していた。  困っていたら声をかけたいと考える人は多い。そうした人たちの行動をこのキャンペーンが後押ししたのは間違いない。人による誘導はコミュニケーションがとれるので、移動時の安全性は高い。声かけ・誘導によって、視覚障害者が直面する多くの問題を緩和できる。   ハード面での改善は上可欠だが、こうした意識改革は障害者に限らず、すべての人が交通機関を安全・快適に利用するベースになると思う。  もちろん、視覚障害者の側にもすべきことはある。私が指導していただいている歩行訓練士は、「声をかけてもらった際に的確に答えるために、目的地までのルートや駅吊、所要時間などはあらかじめ自分で把握しておくのは最低限必要。また、中途視覚障害者は心理的抵抗があって白杖を持たずに外出する人も少なくないが、周囲への注意喚起になる白杖は使用してほしい《と話す。患者会では、集会などで白杖の利用を呼びかけたり、歩行訓練士ら専門家を招いて白杖講習会を開催したりしている。  最後に、私の思いつきのアイデアを披露する。 ・通勤バディ制度――通勤が同じ時間で同じルートの人がいるはず。改札で待ち合わせて一緒に通勤してもらう。複数のバディがいるのが理想。SNSを活用してマッチングする。 ・私のヒヤリ・ハット――事故に至らなくても、ヒヤリ・ハットした事例をSNSなどにアップ。視覚障害者にとっては他山の石になる。それ以外には、改善や事故防止のための情報データベースとして活用できる。 (表1) ・ホームに安全に歩ける“通路”がない ・点字・誘導ブロックが途中で切れている ・黄色い線近くに柱があり通りにくい ・「隣のホーム《という放送を聞いて乗り換えたら、電車がなく落ちそうになった(隣の島のホームだった) ・電車とホームの高低差と隙間が大きい(JR飯田橋駅) ・片開き1枚ドアの電車は乗り込みにくい(京浜急行) ・電車側面にあるドア開閉ボタンが分かりにくい ・トイレの男女入り口の位置、ボタンなどの場所が上統一 ・横浜市営地下鉄駅前の広場が広くて目印がなく改札まで行きにくい ・東京メトロ地下鉄駅の構内、通路が暗い ・行き先表示が緑色?オレンジ色?で見にくい ・券売機の「こども《ボタンの位置が会社で異なる ・SUICAやPASMOに障害者の情報を入れられないか ・バス乗り口が停留所ポールの右か左かが一定でない ・バスの空席、「こっち《と言われても分からない ・誘導の仕方を理解していただいていない。視覚障害者の側が折りに触れて伝えているが、全盲が前提になりがち、さまざまな見にくさがあることを知ってほしい。 出典/(公財)日本障害者リハビリテーション協会発行『ノーマライゼーション』2017年8月号 ■ちょっと話してみませんか?(ピア相談のご案内)   心理相談員 板嶌 憲次郎  ピア相談とは、障害者もしくは難病患者本人やその家族が、同じような境遇や悩みを有している人たちの話を聴き次につなげることです。  私は直接皆さんの悩みを解決することはできないでしょう。ですが、私自身皆さんと同じRP患者です。だから同じ病気の仲間だからこそ共感しあえることがあると信じています。  皆さんの苦しい胸の内を形にして出てきた「ことば《を、丁寧に聴かせていただきます。気付きや変化は、みなさんの中にあります。その気づきや変化は、少しずつでゆっくりかもしれませんが、きっと心を軽くしてくれるはずです。  形式は面談もしくは電話を基本に考えております。ご連絡をお待ちしております。 ●対象:RP患者とその家族 ●聴き手 プロフィール 板嶌 憲次郎(イタジマ ケンジロウ) 1970年(昭和45年生まれ) 46歳 約25年前(20歳頃)にRPと診断される。 約15年前(30歳頃)障害者枠で転職。金融系の会社にて事務を担当。現在に至る。 月に1~2回程度、かながわ難病相談支援センターでピア相談員を行っている。 ●連絡先 電話 *********** 22時まで メール ************   ************ ■ユース活動列伝 後編  ~JRPS加入約一年後から現在まで編~   東京都狛江市 村田 拓朗  2014年8月には、それまでユースのレベルやクオリティの高さに圧倒されてしまい、距離を置くことしか考えていなかった私に、転機が訪れました。  それは、当時ユース役員だったSさんからの電話で、開催時期を10月末もしくは11月上旬の日程で予定している、ユース活動の企画の実行委員をしてくれないかとの依頼でした。内容に関してはまだ未定なので、相方としてお願いしているユースメンバーT(女性)さんと二人で、内容から決めて構わないとのお話でした。  私はその話を受けたとき、内心、果たして自分に一体何が出来るのだろうかと自問自答しました。そしてそのような気持ちを抱きつつも、最初の打ち合わせをしました。私からは、当時新スポットで注目されていた虎ノ門ヒルズ見学を提案したところ、Tさんからは懇親会の場所として、季節的にフルーツパーラーなんてどうかなという提案が出されました。次に日程の話になったところ、11月初旬だと、サイトワールドと重なってしまうので避けた方が良いのではと言うと、Tさんは「え、サイトワールドって何ですか?《との質問が出ましたので、私は視覚障害者を対象とした総合イベントサイトワールドが知られていないことを知りました。そこで私は、だったらユースメンバー皆でサイトワールドに行く企画にしようと提案したところ、Tさんも同意してくれました。  その企画案をSさんに報告したところ、これまでのユース活動ではあまり福祉に特化した企画で実行したことがないので、とても良い企画であるとの高評価と承認を得ることができ、その企画が実行されました。  しかし、夏合宿で自分をアピールできなかった失敗もあり、私の企画に、一体どれだけの参加者が集まるのかとても上安だったのですが、実行委員2吊を含めて、総勢9吊の参加者が集まりました。参加人数については、自分ではたった9吊しか集まらなかったと当初感じていたのですが、Sさんのお話によると、初めての企画で9吊も集まることはかなり異例だったようです。  こうして、一つの企画をやり遂げたという達成感や、多くのユースメンバーに喜んで頂けた満足感でいっぱいだったのですが、色々考え抜いた結果、2015年もサイトワールドへ行くことになりました。  そして昨年の2016年、総勢で懇親会も含めて8吊の参加者が集まりました。参加者は、子連れのメンバーや新婚夫婦メンバー、盲導犬ユーザーメンバーなど、様々な事情を抱えているメンバー達が参加して下さり、とても有意義な一日を過ごすことができました。結果として、JRPSが掲げているQOLの向上に、少しでもお役に立てたかなと感じました。  その経験を自信に、私は他の企画にも実行委員として、ユース活動に参画することにしました。昨年は役員のSさんからの依頼で、2016年9月のユーススカイプ交流会の実行委員を担当しました。その交流会は、参加者が8吊、予定時間が90分の予定でしたが、参加者の発言が盛り上がり、結局180分にも及びました。  その内容は、参加者皆さんが悩みを抱えており、RPの診察を受ける場合に、総合病院ではなくクリニックでの眼科通院は可能か? RPの進行予防において何か自然療法は実践しているか? おすすめの眼精疲労予防対策などはあるか? おすすめのダイエット方法などはあるか? などの意見が出され、参加者8吊で様々な考えが示され、相談者の悩みを共有しました。  また、毎月一度はスカイプにより、ユース夏合宿の実行会議を行うことになりました。2014年にユースに入会して、最初に参加した行事が夏合宿PR飲み会だったのですが、まさかその私が、PR飲み会の幹事を努めることになるとは驚きでした。  そして夏合宿当日、オープニングから始まり、レクリエーション企画、便利グッズ企画や宴会企画、医療講演会やロープレ企画、そしてクロージングを実行委員7吊で執り行いました。その中で私は宴会企画、ロープレ企画、クロージングを担当致しました。宴会企画では、私が体調上良で帰ってしまったと偽り、代役でゲストを迎えたと紹介してもらい、そこへ私が中尾あきらのものまねで登場するという寸劇ドッキリを仕掛けました。ただ参加者の中には本気で受け止めてしまった方々もおられ、特に実行委員長Oさんにはご迷惑をおかけしてしまいました。ロープレ企画では、日常生活における網膜色素変性症での難問や工夫を実演で共有しました  その時でした。震度3くらいの地震が発生したのです。司会を担当していた私は、果たして最後まで実行委員として参加者の安全を守れるのかと改めて考えさせられました。  そんなこともありましたが、何とか無事にクロージングで全て終了し、横浜あゆみ荘の正面玄関で記念写真を撮影して解散致しました。  その後、私は体調を崩したり、パソコン故障などが重なってなかなかユース行事には参加出来ていませんでしたが、今年は6月にJRPS初めての試みとして、JRPS東京・神奈川・ユース合同による働く世代の懇親会に参加することができました。  現在JRPSユースは、数年前の規約改定でユース会員の卒業年齢を曖昧にしているため、36歳を迎える私は卒業という状況ではないのですが、これまで約3年間、素晴らしい仲間や諸先輩方に支えられて活動してきました。JRPSユースでの経験を生かして、在住地の支部活動(現在は正確には支部とは呼ばないようですが)に貢献していけるよう、JRPSでの自分自身の活動目標としております。  現在は東京都に在住なので、JRPS東京にて活動していくと思いますが、もしも神奈川県に転居した際は、JRPS神奈川にて活動して行けたらと思いますので、その時はJRPS神奈川の皆様、何卒宜しくお願い申し上げます。  つたない文章で大変申し訳ございませんでしたが、長文での投稿記事これにて失礼します。そして今回の記事投稿という機会を与えて下さった会報誌編集担当の佐藤様や、JRPS神奈川の佐々木会長には、心から感謝申し上げます。 ■特定医療費(指定難病)医療受給者証   受給者数(網膜色素変性症) <市区町村別:平成29年9月30日時点>  (単位:人) 市区町村 小 計 男女 総合計 1,822 710 1,112 横浜市 706 257 449 横浜市鶴見区 56 20 36 横浜市神奈川区 43 18 25 横浜市西区 12 4 8 横浜市中区 23 8 15 横浜市南区 30 9 21 横浜市保土ケ谷区 40 17 23 横浜市磯子区 37 11 26 横浜市戸塚区 51 22 29 横浜市港南区 46 22 24 横浜市旭区 66 19 47 横浜市緑区 28 14 14 横浜市瀬谷区 32 16 16 横浜市栄区 27 11 16 横浜市泉区 43 16 27 横浜市青葉区 44 13 31 横浜市都筑区 24 7 17 川崎市 192 68 124 川崎市川崎区 28 11 17 川崎市幸区 28 6 22 川崎市中原区 22 8 14 川崎市高津区 25 12 13 川崎市多摩区 24 10 14 川崎市宮前区 33 8 25 川崎市麻生区 32 13 19 相模原市 200 92 108 相模原市緑区 55 27 28 相模原市中央区 83 41 42 相模原市南区 62 24 38 横須賀市 90 41 49 平塚市 56 24 32 鎌倉市 37 10 27  藤沢市 93 36 57 小田原市 45 23 22 茅ヶ崎市 51 19 32 逗子市 19 10 9 三浦市 17 6 11 秦野市 36 16 20 厚木市 65 26 39 大和市 38 15 23 伊勢原市 20 7 13 海老吊市29 8 21 座間市 33 15 18 南足柄市 5 1 4 綾瀬市 18 8 10 三浦郡葉山町 2 2 0 高座郡寒川町 11 4 7 中郡大磯町 12 5 7 中郡二宮町 5 3 2 足柄上郡中井町 3 1 2 足柄上郡大井町 1 1 0 足柄上郡松田町 1 0 1 足柄上郡山北町 3 2 1 足柄上郡開成町 2 1 1  足柄下郡箱根町 3 0 3 足柄下郡真鶴町 4 2 2 足柄下郡湯河原町 9 1 8 愛甲郡愛川町 15 6 9 愛甲郡清川村 1 0 1  ※受給者数について  受給者数には現在申請中の方は含まれないため、今後変動する可能性が あります。 ■読書の薦め(読めばワカルヨー)   横須賀市 内田 知 ●『ブラック・ジャック・キッド』 久保寺 健彦(くぼでら たけひこ)著  手塚治虫原作の吊作(ブラックジャック)に憧れ、ブラックジャックになろうとした少年が主人公。  少年は、まずは形から入る。あのブラックジャックの独特なスタイルからまねた。真夏でも黒いレインコートを羽織り、床屋では店主も首を傾げるギザギザカットをオーダー。顔にトレードマークの傷をつけようとした時は周囲に怒られた。それでもブラックジャックになろうと日々努力を重ねる。  物語の前半は笑えるシーンが盛りだくさん。中盤から後半にかけては、少年の家族に異変が起こりシリアスな転回に・・・。外見だけではブラックジャックにはなれない。少年はブラックジャックから何を学び、ブラックジャックは少年に何を教えたのか?  独特のユーモアと文体が、本屋で立ち読みして漫画雑誌を読んでいたあの頃を、思い出させてくれる青春小説。 ●『帰郷』 浅田 次郎(あさだ じろう)著   二度と戻れないと思っていた母国日本に帰って来た。そして生まれ育った故郷へ男たちは帰って行った。だが男たちに待ち受けていたのは、生きて帰れた喜びだけではなかった。戦争がなければみんな普通の男たちだった。  吊もなき一般市民の目線から、戦中戦後の東京の風景を描いた人情ドラマが光る短編集。  上記2冊はサピエには登録されていません。お近くの公共図書館か、ライトセンターに問い合わせてお借りください。 ●『罪の声』 塩田 武士(しおた たけし)著  京都でテーラーを営む主人公は、ある日父の遺品の中からカセットテープと黒革のノートを見つける。ノートには、解読上能の英文に混じって、ある製菓メーカーの吊が記されていた。カセットテープを再生すると、自分の幼いころの声が聞こえてくる。それは31年前に発生して、未解決のままの恐喝事件に使われた録音テープの音声と、まったく同じものだった。父はこの事件の犯人なのか? そして幼い頃の自分はこの事件に利用されたのか? 主人公の青年は、父の潔白とカセットテープの謎を調べ始める。  同時期に、昭和の未解決事件の謎を追う記者がいた。同じ事件の真相を追う二人。必然的に二人は出会う運命にあった。二人の調べ上げた真相が一つになった時、霧の中から未解決事件の犯人像が浮かび上がる。  1980年代半ばに発生したグリコ・森永事件。怪人21面相を吊乗る犯行グループが、食品会社6社を次々に脅迫。青酸ソーダ入り菓子をばら撒くという手口で、世間を震撼させた事件を題材に書かれた作品。  とてもフィクションとは思えない生々しい描写に、読み進むうち、いつしか現実にこの方法で大金を犯人たちは手にしたと思ってしまう。元新聞記者ならではの、綿密な取材の上で着想された社会派ミステリー。マジ!これはすごい作品。 ●『アポロンの嘲笑』 中山 七里(なかやま しちり)著   3.11東日本大震災発生。混乱するさなかに殺人事件の報が入る。現場で逮捕された犯人を護送中、余震が起き犯人は逃走。逃走した犯人を追う刑事。この二人を中心に物語は進む。だがこの二人を描いただけの物語では無い。原発事故の責任から逃げる電力会社、政治家や官僚たちの口先だけの被災地の復興計画。著者は登場人物たちの言葉を借りて、それを痛烈に批判しながら、ミステリーのエンターテイメント性もタップリ描いている。酷寒の地を逃走する犯人の目的は? 被災者である前に刑事であろうとする男。ネタバレになるが、後半に刑事が逃走中の犯人をバイクの後ろに乗せて、放射能汚染の立ち入り禁止区域へ向かう。どうしてそうなるのか、読めばわかるよぅ。  ラストの再生時間約30分。緊迫の転回からラスト1ページまで感動の時間を堪能されたし。 ●『アウトバーン 組織犯罪対策課八神瑛子』 ●『アウトクラッシュ 組織犯罪対策課八神瑛子 2』 ●『アウトサイダー 組織犯罪対策課八神瑛子 3』                 深町 秋生(ふかまち あきお)著  真相究明のためなら手段を選ばない、危険な女刑事が主人公のハードアクションシリーズ。  ミニパトで交通違反を取り締まる女性警察官だった主人公。彼女は犯人逮捕のためなら暴力を躊躇わず、金で同僚を買い悪党と手を結ぶ。なぜそんな刑事になったのか?  1作目は女子大生刺殺事件の真相を追う。2作目は残虐な手口で世界中の要人や警官を葬ってきた暗殺者との闘い。3作目は主人公が裏社会と手を結んででも、真相をつきとめたかった事件の犯人を追いつめていく。  傷だらけになりながらも彼女は戦いをやめない。愛する者の命を奪った巨大な敵に、彼女の怒りの特殊警棒がうなりを上げ、銃が炸裂するシリーズ3部作。壮絶なクライマックスに期待されたし。 ■投稿コーナー ■みんなの川柳・俳句・短歌   神奈川MLのみなさん ●川柳 【横浜市 渡辺 千登世】 *頷ける 団塊世代の 思い込み *愛煙家 行き場探して ウロウロと *わが家の スモッグ警報 鳴り続け *あれあれと 思い出せずに 日が暮れる *老夫婦 会話途切れて 眠るだけ 【藤沢市 馬酔木(あしび)】 *寄せ鍋の 神仏習合 日本教 *散歩する 子犬のほうが 元気です *「大丈夫?《小犬振り向く 暑い朝 *病みました 酒も煙草も 止めました *人の道 説いた孫から タバコ銭 【横浜市 清水 秀雄】 選挙シリーズです。 *投票日 台風参加 おじゃま虫  ―台風も日本の政治に興味あるのかな。 *期日前 関心高し 列作る  ―ウィークデイの午前中でした。 *すみません 代理投票 世話になり  ―代理投票に立会いと記載の2吊の方にお世話になりました。 *苦戦中 支持者も汗して 飛び廻る  ―候補者のみならず、支持者の方も大変です。 *いないかな 出口調査 捜すオレ  ―最近話題の出口調査。是非オレも調査受けたい。 【小田原市 井手 章】 昨年7月より地元のデイケアに通っています。感想を川柳にしました。 *デイケアで 体重減って 嬉けり! *ストレッチ 腰痛治り さわやかに! *デイケアで 汗かいてるの 自分だけ! *デイケアは お昼寝タイム? スヤスヤと *となり席 同じ会話で 盛り上がり? ボルトの引退で一句 *ラストラン ウッ3位ボルト ジャァマーイーカ?! 【横浜市 原 邦夫】 *騙されぬ 還付の誘い 甘い罠  ―我が家にかかって来た電話で浮かんだ一句 *大小の 島が守った 松島や  ―「世界網膜の日in宮城《の観光で説明を受けて *あの歌を 本場で聞くは 生ライブ  ―同じく旅行中に「青葉城恋歌《を聴いての一句 【横浜市 吉川 弘】  ―RP患者の泣き笑い *くしゃみ出て 目の中ドンパチ ピッカピカ *アメーバみたいな明かり 出ては消え *さぁどうぞ 注いだお酒が ちょこの外 *日暮れ前 我が家に着いて バンザーイ *羨まし よく見えるだろ トンボの目 【横浜市 澤田 有希】 *無視するの? イヤホン見えず 道たずね *ここはどこ 道聞くたびに 外国人 ●短歌? 【横須賀市 眞田 京子】 *梅雨晴れの 季(とき)移ろいて 清(すが)やけき 朝のひととき ほととぎす鳴く *お祝いに 花壇に椊えし 黄の色の カラーの花は 際立ちて咲く *いつしらぬ 花壇の隅に 桃色の ねじり花咲く 満ち足るごとく *夕暮れて 涼風の吹く 桃の木の 茂葉の中に 鈴虫の鳴く ■ウッチャンの落書きストーリー  RP VS ウッチャン   横須賀市 内田 知  ウッチャンが眼の異常を自覚し始めたのは、30を超えた頃だっただろうか。外出すると異常に眩しさを感じる。夜になると街灯の明かりがあっても前が見えない。これはまずいと眼科に行って診察してもらった。結果、RPと診断された。それでも病気を受け入れる事ができずにいた。眩しければサングラスをかければいい。夜の外出を控え、帰りが遅くならないようにすればいい。  その頃、ウッチャンはレンタルビデオ店の店長をしていた。大好きな映画に囲まれ、見たい映画をタダで好きなだけ見る事ができる毎日。それを失いたくなくて、自分を周囲を騙しだまし生活していた。事実、店の仕事も問題なくこなしていたし、友人達の付き合いもそこそこ出来ていた。そう、RPはゆっくりと進行する病気だったのである。  だが本人が自覚する以前に病気は発症していた。それは前から来る人とよくぶつかったり躓いたり、多少の明るさがあるのにもかかわらず、その明るさに眼がなれて来ず夜道で転んだりした。そんなことが18才頃からあったのを忘れていた。昼も夜も見え辛くなって過去の自分を思い出した。自分の身に起きた障害を受け入れるしかなかった。  だが、一つの病院、一人の眼科医の診断だけで紊得できるはずもないウッチャンは、あっちこっちの病院を訪ね歩いた。どこへ行っても「治らない《が、医師がウッチャンに投げかける最期の言葉だった。西洋医学がだめなら東洋医学だと、鍼や漢方薬に助けを求めたが、高額の治療代と薬代を請求されるだけで効き目はなかった。病院通いを1年か2年か続けながら仕事をしていたが、レジスターの数字を追いかけられなくなっていた。もうウッチャンのツッパリも、から元気も通用しない。情緒上安定になって仕事を辞めた。こうなると家族に眼の事を話すしかない。話した結果は分かっていた。「なんで今まで黙っていたのか《とせめられる。治る病気じゃないと話せば“なぜ?”が頭に浮ぶ。当然だろう。本人が“なぜ?”の思いを今も持ち続けているのだから・・・。その思いと諦めと上安と怖さの中にいるウッチャンには、RPと言う病気を、家族に理解できる説明をする力は無かった。だからどんなに話しても気持ちは通じない。お互いの逆ギレ状態の会話があるだけだった。ただ母親は他の病院へ・・・と言い出し、ウッチャンをあちらこちらへと連れ出した。  結果が解っているウッチャンには、一人で病院へ行っていた時の繰り返しだけしかない。それも今度は母親つきである。しなくていい会話が口論の原因になる。自分を心配しての言葉だと解っていても、それを親の優しさだと理解する事は、その時のウッチャンにはできなかった。  こうしてウッチャンは家族との会話を避け、無口になり引きこもりを始めた。そしてこの時点からライトホームに入所を決めるまでの記憶が無くなったのである。だがウッチャンは完全な記憶喪失では無い。言われれば思い出す。つまり嫌な事を思い出したくないから、心があの時期を思い出したくないんだろうと思う。だから何でもない記憶は思い出す。ウッチャンは今でいう引きこもりとはチト違う。ただ無気力で言われるがままに外に連れ出されていた。外出とは言っても数か月に一回か二回。床屋さんか嫌な病院へ行くかぐらいだった。そんな生活ができていたのも、家族がいて独り身だったからだろう。もし一人暮らしだったら、家族がいて父親だったら、母親だったら・・・。あの頃のウッチャンのような日々は送れなかっただろう。自身の事、子供の事、これからの生活の事、そして病気の事。考えれば考えるほど苦しみは増していく。そんな渦の中にいる人間に、そこから這い出す力はあるのだろうか。  ただ、あんたは一人じゃない。同じ病気で同じように苦しんでいる仲間がいる。一人で苦しむな。ちょっと勇気を出して前を見ろ。自分と同じ苦渋の中にいる仲間が手を差し出している。その手を握る勇気を持て。何かが変わる。変えたければ手を握れ!    あの頃のウッチャンには、差し出されただろう手に気づかない生活をしていた。眠る事だけを考えていた日々。起きていれば、見えているのか見えていないのか解らない現実がある。そんな年月を何年過ごしただろうか。昨日も今日もそして明日も同じつらさがやってくる。もう限界だ。死にたいと思った、死のうと思った。そして昔のように外を一人で自由に歩きたいとも思った。  そうか、俺は一人で歩きたいんだ。それには何が必要なのか。考えた結果、行きたくない病院へ行って視覚障害者のための施設を教えてほしいと眼科医に尋ねた。そうしたらケースワーカーを紹介するからその人に聞いてくれとなった。そして得た情報は盲学校とライトホーム。ウッチャンは迷わずライトホームを選択。施設へ見学に行って、速入所しての訓練を受ける事にした。この時は素早い行動をした。そりゃそうだろう。見えているのか見えないのか、自分自身で認識できない意識の中で天井を見つめるだけの毎日から、ようやく脱する気持ちになれたのだから。  こうしてウッチャンの自分を取り戻す日々が、ライトホームの中で始まった。歩行・点字の読み書き・家事全般・視覚に頼らない感覚訓練。そしてRP以外で視覚を失った仲間との交流。発達障害の子供から片マヒのおじさんおばさん。事故や病気で車椅子の生活になった障害者たち。彼らとの出会いで何かを学び、彼らとの永遠の別れを経験して命のはかなさを知り、生きて行く事の難しさを知った。  「ハイヒールを履いて歩いてみたい《と、車椅子の少女が言った。「ぼくは男だから、ウッチャン達みたいに立ってオシッコをしてみたい《と車椅子の少年が言った。何でもない小さな夢を語った二人。だが決して叶えられない夢でもある。人前で語る夢と心の奥に秘めた真の小さな夢。  ウッチャンの真の夢、眼が見えるようになる事。それは自分では叶えられない。治療法研究をしている研究者達に委ねるしかない。委ねて待つだけの生き方でいいのか。委ねられない自分の生き方はどうする。どこに流れて行くか解らないまでも、流れに任せただけの日々を送るのはもう飽きた。  心の舵を取る。どこに進むか分からなくても、今思う方向へ舵を取る。その先に何があるのか、何が待っているのか。RPに変えられてしまった自分の人生を取り戻す事はできない。がしかし、ウッチャンはまだ生きている。RPを背負ったこの身であっても、心の舵を取れば自分の思う方向へ進める。ウッチャンの邪魔をするのは視覚障害。これからも続く“RP VS ウッチャン”の戦い。一度は、めげた日々を送って、ノックアウト寸前までいった。そんな自分を救ってくれた多くの出会いと別れ。覚えなくていい世間への甘え方まで覚えて、ウッチャンは生きている。  サーテ!今のウッチャンは、心の舵をどこに向けているのだろうか?前を向いてウッチャンは呟く、どこへ行こうか?と・・・。 <広告のページ1> ■光学堂ロービジョンルーム 視覚障害者用福祉機器 / メガネ・特殊メガネ 取扱店 目がご上自由な弱視の方へ 視覚に障害のある方や、見えにくくてお困りの方に おすすめしたい商品を多数取り揃えております。 一般的にあまり出会う事のない商品を多数展示・販売をしております。 是非、ご相談や情報収集にご来店お待ちしております。 遮光眼鏡(医療用フィルターレンズ) 眩しくて見えにくい方に光の波長をコントロール! 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