●ロービジョン川柳のコーナー



 ロービジョンとは、低視力、見えにくい状態のことです。厳密には全く見えていない人は含まないのかも知れませんが、ここでは全盲の人も含めた視覚障害者がよんだ川柳をご紹介します。同じロービジョンの方には「そういうこと、あるある!」と共感し笑っていただけることうけあいです。また、晴眼の方々には、見えにくいってこういうことなんだと、視覚障害者を理解していただける一助になればと願っています。私も川柳詠んでみました。という方は連絡フォームから是非ご投稿下さい。


●第三回募集作品(2018年5月)

【川柳・自嘲】 藤沢市 志屋 京作
*豊穣の あの日の海は 神無月
*嘘と詐欺 怒りが希望を 排除する
*目を病んで 季節はいつも 春霞
*うたた寝の 枕になるか ネット本
*「知らぬ顔」 鏡の中の 老いた顔
*どっちみち あなた女に 持てません
*我が儘を PCゲームで 発揮する
*O脚を なおせぬままに 靴のヘリ
*パソコンを 見て話する 担当医
*「気にします」 医者がつぶやく 独り言

【横浜市 月見草】
*したいこと 数えていたら 朝になり
(あれもこれも出来るといいな・・・空想の世界が広がります。)
*今そこの 包丁どこよ 返事して
(調理に夢中になると、いろんな調理器具を見失います。)
*手探りで 料理を作る まだできる
(いつまで出来るか、やれるうちは頑張ろう!)
*茶碗なら オレが洗うと 腕まくり
(ガチャーン!とうとう手が滑ってお皿を割ってしまった。見かねた夫がそれから手伝ってくれます。)
*今日は 妻をいたわる 休息日?
(今夜はなんかうまいもんでも取ろうか。夫の一声ありがたい!)
*人混みで 白杖出して 蹴飛ばされ
(急いでいる人は白杖に気が付かないのかしら?)
*段差だよ 孫の声かけ ホッとする
(高校生の孫は、いつも生真面目に誘導してくれます。)
*店内の 鏡に会釈 あなた誰?
 (自分の姿に会釈?店内の照明が眩しくて、こんな滑稽な事も起こります。)

【横浜市 清水 秀雄】
*鉄人の 終(つい)の解説 まだ耳に
 (合掌 衣笠さん、最後の解説4/19 DeNA:巨人 BS-TBS)
*脱走犯 まだかまだかの 二十日間 
 (松山脱走事件、住民の不安、捜査陣の焦りがありました。)
*渋滞の車中 家族の関ケ原
 (お父さん派、お母さん派の口合戦勃発。)
*研究者で 語るイチロー 学者肌
 (野球学博士第一号を狙っているのかな。)
*お遍路を 四国に習い 鎌倉で
 (少しは徳を積もう。)

【横浜市 吉川 弘】
*RP そんな難病 あったよね
*もう見える 昨日手術を 受けてきた
 (いつかこう言える日が来ることを信じて。後18年ではどうでしょう?)
*前歩く 人は忍者か 出ては消え
 (真っ直ぐな道なのに、前を行く人が急に見えなくなる事があります。また見直すと歩いているのです。あの人はもしかして!?)
* 覗き見が 好きな訳では ないと友
  ( 同じRP患者でも見え方は様々です。周囲が暗く鍵穴から覗いているように見えるそうです。)
* 君子では ないが行かない 暗いとこ
  ( 何処へ行っても暗くなる前に家に帰ろうという気持ちがあります。懐中電灯は持っているのにです。)
* 君の顔 囲むキラキラ 光の輪
  (目の中に銀河を繋いだような光の輪があります。この光の輪はマドンナの顔を飾ったりします。時に爺さんだったりして笑えます。)
* どこ見てる コップの中に ちゃんと注げ
* ちゃんと見て 注いだビールが テーブルへ
 (友人は私がふざけていると思っていたようです。こんな事があってから誰かと飲む時は手酌でお願いしています。)

【小田原市 井手 章】
<母の日シリーズより・亡き母を偲んで>
―ご両親がご健在の方は、今のうちに感謝の心を伝えましょう!
*里帰り 喜ぶ母が 目に浮かぶ
*お帰りと 母も乾杯 焼酎で!
*一杯だけと 決めてた母が もう一杯!
*味自慢 母のチャンポン うまかっチャン!
*見送りの バス待つ母の 涙目に!
*いつまでも 手を振る母の 面影よ!
*涙目で アイコンタクト 元気でと!
*病床で 目を上げるよと 母が言う!
*墓参り いとこに託す カーネーション!
*墓参り いつまで出来る 里帰り!

【横浜市 佳純目 譲司(かすみめ じょうじ)】
*バイク漕ぎ 大空飛翔 さっそうと
 (ジムのバイクを漕ぎながら夢見ました。外は五月晴。)
*出掛けるか 浮世の風を 人並みに
 (一寸出掛けてGWの空気を吸ってみよう。)
*幸太郎 気負わずハムを 背負い打て
 (病癒え期待してるよ清宮君)
*冷暖房 つけた消したの 昨日今日(きのうきょう)
 (昨日冷房、今日暖房。エアコンは忙しい。)
*晩酌に 熱燗グイッ 冷える初夏
 (何か冷えるね。温まろう。)


●第二回募集作品(2018年2月)

【藤沢市 志屋 京作】
* 運悪く 茶柱飲んで むせかえる
* 言わなくて いいこといって 凹んでる
* 夜盲症 子供の頃は 夜尿症
* 悔しくて 腹が立つから 「寝る!」
* あなたまた 日がな一日 ふて寝する
* 名も告げず 一期一会の お接待
* 片方の 目をやると 母は言い
* 不条理で めしいた故の 親不孝
* 段ボール 箱いっぱいの ミカン狩り
* 花の名を めしいた君に おしえられ

【横浜市 月見草】
* また雪だ 真っ白世界 要注意
 (普段から白っぽく見えているので、雪の白さはさらに目にダメージです。)
* 玉子かけ 大盛りごはん すべり台
 (玉子を割ったとたん、玉子はスルッとお茶碗の外に)
* 湯上りの 素肌ぼやけて 年不詳
 (鏡に映る我が姿。ぼやけて見えて良いこともあります。)
* 見たかった 皆既月食 次はいつ?
* こっちだと 服引っ張られ つんのめり
* 口喧嘩 刻む野菜に 八つ当たり
* 目の前の うごめくものよ 消えてくれ
 (絶えず目に見える様々な現象。これがなければと常に願う)

【横浜市 清水 秀雄】
* ご近所で たまの挨拶 声はずむ
 (白杖使用者には道で声を掛けづらいのでしょう。たまに挨拶されると嬉しくなります
。) * 音が出る この信号機 助かるね
 (ミュージックソン、心ばかりの寄付を致しました。)
* 孫帰る へたり込んだ 老夫婦
 (三が日、普段より大忙しでした。)
* 穏やかな 我が正月は 四日から
 (盃を傾けて静かに過ごしました。)
* 日本の冬 耳に馴染んだ 氷点下
 (今年の冬は氷点下の地域が九州まで広がりました。)

【横浜市 吉川 弘】
* 正面が はっきり見えぬ もどかしさ
 (目玉を動かして色々な見方をして確認します。)
* 行く階を 早く押してと エレベーター
 (マンションのエレベーター。ボタンを探していると早く押せとエレベーターが言います。)
* 買い物も 散歩の道も 裏通り
 (車は通らず人通りも少ない気に入ったコースがあります。)
* お父さん 汚れ見えずに 幸せね
 (床、テーブル、洗面所等々。掃除をしている妻によく言われる)

【小田原市 井手 章】
<季語の3段活用?>
* 鬼は外 豆まきよりも 恵方巻き?
<オリンピックシリーズより>
* ピョンチャンの 運、風まかせの ジャンプかな!
* すべりより スコア気になる フィギアかな!
* 頭脳戦 スポーツの囲碁 カーリング!
* 歓声で 高得点が 見えてくる!
* 感激の 涙こみ上げ 金メダル!
<白杖使い方シリーズより>
* またやっちまった たんこぶできた 駅ホーム!
* 思い切って 出かけなさいと 白い杖!
* 白杖が 出かける気持ち 背中押す!
* 白い杖 魔法の杖に はやくなれ!

【横浜市 佳純目 譲司(かすみめ じょうじ)】
* おかしいな 一年前は 見えたのに
 (この病気は知らず知らずの内に進むのです)
* 年明けて 末の歌番 じっくりと
 (ビデオでじっくりと楽しみました。)
* お正月 過ぎた売り場は ひな祭り
 (もうひな人形とひな祭りの音楽で賑やかでした)
* ポインター たびたび不明 腹が立つ
 (PCマウスポインタ―は直ぐ不明になります。冷静に!冷静に!)
* 雪景色 霞の程度 テレビ並み
 (雪が深々。テレビの液晶画面同様霞んで見えます。)

●第一回募集作品(2017年11月)

【藤沢市  志屋京作】
  * 目を病んで 竹輪の中に 妻がいる
  * 「綺麗です」 見えぬ私が 太鼓判
  * どーしても 好みの人に 道を聞く
  * 右側に コップ置かないで こぼすから
  * 「気をつけろ!」 歩きスマホと 酔っ払い
  * 「大丈夫!」 母は臭いで 確かめる
  * 花を活け ヘルパーを待つ 要支援
  * 落ち葉分け 杖で己の 弧を描く
  * 木漏れ日に メガネ付けたり 外したり
  * 遠花火 窓に顔寄せ 音を見る

【横浜市 月見草】
 * 風車や星も見える 不思議な目
   (目の前を絶えず光ったものが飛び交ったり、風車のようなものがクルクル回ったりしてそれらが出現しては消えます)
 * 気休めと 知りつつ今朝も 飲む薬
 * 雨の日は 白杖たたみ 足早に
   (雨降りは比較的よく見えていました)
 * 眩しくて 見知らぬ人に 会釈する
 * 間違って 履いたこの靴 誰の靴?
 * 今日も霧 明日は晴れるか 見えるのか
   (目の症状が進むにつれ、目に映る物は全体的に白っぽく見えます)
 * いつからか 勘が頼りの さじ加減
 * 前もって 教えて欲しい 曲がり角
 * こっちだよ 孫の手引きに 笑い出す
 * 白杖の 鈴の音響く 日暮れ道 

【横浜市 清水 秀雄】
  世界網膜の日ツアーシリーズ (2015〜2017)
 ―in群馬(2015)
 *夕暮れの 車窓に映える 赤城山
   (夕焼けが山の稜線に映えてきれいでした)
 *湯けむりと 繭に癒され 上州路
   (伊香保温泉並びに富岡製糸工場見学時の繭ちゃんに癒されました)
 ―in三重(2016)
 *四百畳 遠くに霞む 「えりか」さん
   (こんな広い畳の宴会場は初めてでした、「えりか」さんはステージ上のゲスト歌手)
 *わっ、近っ! 足が生えたか 夫婦岩
   (昔は遥か遠くに見えた記憶がありましたが)
 *はぐれまい 電車ゴッコで 伊勢詣り
   (参拝客が多くて、はぐれまいと必死でした)
 ―in宮城(2017)
 *スイスイと その足運び 健常者
   (五大堂手前の踏み外しそうな「透かし橋」、皆さん躊躇なく渡りました)
 *伊達さまも 両目で睨めば 天下人(てんかびと)
   (「瑞巌寺」を再興した独眼竜政宗公、没後に描かれた肖像画は全て両目が開   かれているそうです)
 *眼を閉じて 浮かぶ島々 ガイドより
   (実際見えないが、船内ガイドから松島湾260余の島々を思い浮かべました)
 *お目当ての 土産リュックに 目が笑う
   (皆さん結構買い込みました。アベノミクスが浸透したのかな) 

【横浜市 澤田 有希】
 * つり革が つかめず誰かの 頭つく
 * カギさして 開かないここは 下の階
 * コーヒーの 砂糖こぼして まだ微糖

【横浜市 原 邦夫】
 * 見えづらい このもどかしさ 分かるかな
 * 外出は 昼の長さに 比例する
 * 顔よりも 声に惹かれる 異性かな
 * あちらです 指しても分からず 連れてって
 * ご馳走も 何時の方に なにがある?

【小田原市 井手 章】
 * 混雑の 優しい声に ホッとする!
 * 駅ホーム 戸惑う自分 そっと手を!
 * ありがとう 困ったときの お声がけ!
 * 今日もまた 駅員さんの 肩を借り!
 * もう5時だ つるべ落としに 急ぎ足!
 * ケガのもと 余裕を持って 出かけよう!
 * 暗い道 背中追いかけ 逃げられた!
 * はまりすぎ ポケモン夢中 水たまり!
 * すみません スマホの人に あたまさげ!
 * しっとりと 恋に落ちたい みぞに落ち!

【横浜市 吉川 弘】
  私の目は見えているようで見えてない、見えてないようで見えている不思議な目です。
  その上、暗いと見えず明るいと眩しくて見えにくいという厄介な目でもあります。

 * 視野欠ける 暗い眩しい やっかいな
 * そっち見ているが そこここ見えてない
 * 一人来た あら子供づれ 犬もいた
 * 横見えず 肩ぶつけては すみません
 * 指さした その指先が 消えている
 * よーく見て 注いだお酒が 猪口の外
 * 薄暗い 赤黒緑 同じ色
 * まだ見えているが 白杖手離せず


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